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悪の覚醒

オッス!オラたろちゃん組!
さぁ今回はどうしても語りたいのがこちら!
〝悪の覚醒〟です!

バトル漫画において主人公たちと対立する
敵がいかにして〝敵〟になっていったのか
なってしまったのか、
そういった経緯や生い立ちがフォーカスされた
ヴィランキャラは僕すごく感情移入出来て
好きなんですね〜

元来、主人公より敵派、
アンパンマンよりバイキンマン派という
悪役に魅せられ続けている僕は普段から
いかに魅力的な敵であるかが
その漫画の魅力だと豪語しています。
敵が魅力的だからこそ、それを倒す主人公は
さらに魅力的になるのです。

悪と一口に言っても
やはりなぜ悪なのかが大事なのです。
現実で言えば不良少年は
なぜ非行に走るのかという点で
おおむねよく例えとして挙げられるのが
家庭環境が複雑だからとか
誰かに認めてもらいたいからだとか
あるいは、女の子にモテたいからだとか
悪ぶったり目立とうとするのには
理由が必ずあるのです!(僕がそうでした!)
生まれながらにツッパリなんて人はいません
それと同じです
生まれながらの赤子がただ、この世を支配したい
なんて思わないでしょう
なぜ支配したいのか?
なぜそんな悪さをしているのか?
目的は?理由は?
そこがしっかり描かれている敵は
見ていてスッと入るんですよね僕の場合。

ONE PIECEの悪のカリスマ・ドフラミンゴは
元々天竜人の家系でしたがその父親が
普通の人間として暮らそうと、天竜人の住む地から
離れ人間の住処へと移住します。しかし、
天竜人に恨みを持った市民から家族全員が
迫害を受け壮絶な幼少期を過ごします。
幼い頃に受けた屈辱や憎しみや恨みから
父親すらも手にかけてドフラミンゴは
悪に染まっていくのです。
これは悪になる理由が背景がわかりますよね。

呪術廻戦の夏油と五条の関係も秀逸です。
過去編で夏油こそ〝弱者生存〟として
弱きを助け強きを挫くことこそが第一と考え
むしろ五条は弱者に気を遣うなんてと、
その思想は相反していました。
しかしさまざまな経験の中で
弱者(呪術廻戦で言う非術師)を
救うことに対する疑念、
力なき者たち自体の愚かさ
身を削りながら弱者のために戦う中で
終わらないシーソーゲームのような現実に
かつての思想は崩れ、闇堕ちしていきます。
昔は弱者は救うべきと考えていた彼は
気づくと弱者は排除すべき対象と考えるようになったのです。
そして昔こそ弱者なんてと思っていた五条悟本人に
倒されていくのでした・・・。

ヒロアカはヴィラン側が
大大大好きなたろちゃん組ですが
荼毘にしろ死柄木にしろその過去は強烈なもの。
堀越先生の描く家族間の話が好きで
現代にも通じる複雑な家庭環境を
ヒーロー社会というテーマに添えて
深く描いています。
本作のヴィラン・死柄木弔(本名志村転狐)は
ヒーローを目指す心優しき少年でした。
しかしその父はアンチヒーローなのでした。
(それも複雑なわけなんですが。)
息子の夢を否定するばかりか
トラウマを植え付けるほど暴力を振るいます。
転狐は家庭のストレスから
全身が痒くなり、かきむしって肌はボロボロに。
彼は父親が嫌いで父に逆らうことのない家族も
すべて憎しみの対象にしてしまうのです。
そんなある日触れる者をみな崩壊させてしまう
力が発現し、愛犬が粉々になくなります。
自分でも何が起こったかわからないまま
母や姉すらも崩壊させてしまったのです。
直感的に自分のふれたものが崩れることを悟る
転狐は明確な殺意を持って
父を崩壊させていくのでした・・・。
このように堀越先生の親と子、家族間の話は
さまざまな登場人物を経て描かれます。

一世を風靡した鬼滅の刃の鬼たちもそうです。
彼ら鬼一人一人にも人間だった頃の
思い出があります。皆が悲しい過去を背負い
鬼になっています。
鬼滅の鬼で抜群に好きなのは炭治郎の
ライバル的存在でもある猗窩座(本名:狛治)です。
彼は生前江戸時代でスリを頻繁に繰り返して
腕中に罰として墨を入れられていた罪人でした。
しかしこれは全て病気の父を救うために
お金が必要だったからです。
捕まえられてボコボコにされても
スリをやめないのはそう言う理由だったからです。
しかし盗んだ金で生きながらえたくない
とある日、父は自殺してしまいます。
貧乏人はまともに暮らせないのかと
自暴自棄に陥る狛治は暴力のかぎりを尽くしますが
道場の師範代慶蔵と出逢います。
慶蔵にボコボコにされ道場に入ることになった
狛治はその道場の娘・恋雪と出逢います。
彼女もまた病を患っていて
かつての父に重ねた狛治は懸命に
彼女の看病につとめていくのでした。
寝たきりだった恋雪はやがて
普通に生活できるほどに回復していきます。
二人は愛を誓い末永く幸せに暮らしていける、
と思った矢先に彼らの道場に毒が流され
その井戸水を飲んだ妻と師匠は殺されてしまいます。
狛治は毒を流した隣接の剣術道場に復習をし
全てを殺していきました。
もうどうにでもなってしまえ
自暴自棄になっている
矢先に鬼舞辻無惨と出逢い、
鬼にされてしまうのでした。

このように悪には悪の背景があり
読んでて苦しくなるのが良い悪役・敵かなぁ
なんて思うのです。
ナルトとサスケの有名な
『逆だったかとしれねェ』
はまさしく読者にも起こります
自分が彼だったらそう思っていたかも
堕ちていたかも、殺してしまったかも
だから悪に染まることが理解できるのです。
仕方のない悪とも言えます。

やはり元々悪というわけではなく
何かしら現実で起きたことに因果関係があり
悪に染まっていく、闇に堕ちていく
と言う構図があるだけで読者の
感情移入の深さが変わると思います。
元来悪い人なんていない
が、優しくて生真面目な人ほど
崩れたら脆い、といったところでしょうか。

ただ、これ注意が必要で僕個人の観点から言うと
人の姿をしている悪役に限り、ですね!

ONE PIECEもNARUTOも
ヒロアカも鬼滅も呪術も
相手は対人間(もしくはかつて人間だった、
人間の入れ物をした存在)です。
だからこそ背景が重要なのです。

ですが相手が人ならざるものの場合は?
と言うパターンだと
ここで〝純粋悪〟の出番でしょう!
(実はこっちのパターンも複雑な過去や背景とか
ない分読んでて単純にスカッとできるし好き)

例えばドラゴンボールだと、
フリーザやセルや魔人ブウなんて
人の姿をしていないじゃないですか。
人ならざる者や宇宙外生命体であれば
純粋悪としてただ破壊を楽しもうと
戦いを楽しもうとしても良いと思うんです。
彼らの悪に理由なんていらないのです。
なぜなら人じゃないから。

ジョジョ二部の柱の男たちも
人の見た目はしているものの
人ならざるものすぎますものね。
闇の一族ですから。違う種族と考えると
彼らの目論みは僕らが理解できないものでもいい。
なぜなら人間ではないので。

この手のヴィランは人の情緒・趣きなど必要なく
ただ衝動的に破壊したい、
地球を侵略したい、支配したい
それでいいんです。理解の範疇を超える
異形のものの思考は気にする必要がありません。
むしろ極悪のかぎりをを尽くしてくれたほうが
そんな侵略者を倒すときの気持ちよさが
倍増するのです!

ですが純粋悪としてただの破壊者なだけでは
なかったのがHUNTER×HUNTER史上
最も泣ける敵であったメルエムです。
キメラアントと呼ばれる多種間交配で
さまざまなキメラを産む蟻から生まれた王メルエム。
彼は生まれるや否や圧倒的な力と知恵をつけ
この地球の〝人間〟をも支配していきます、
が、彼は支配していくと同時に人間を
理解していくのでした。
囲碁や将棋を誰と何千手打とうと
決して負けないほどの頭の回転を有している
メルエムは盲目の少女コムギに軍議という
ボードゲームで毎回負けてしまうのです。
コムギとの打ち合いの中でさまざまな感情が
芽生えていく純粋悪だったはずのメルエムは
やがて感情を理解します。
あろうことかキメラアント討伐に来た
ネテロ会長の方が一瞬悪に見えてしまうほど
コムギを大切に思ってしまうメルエム。
聞いていた話とは違うその敵の有様に
ネテロや読者自身もメルエムの変化に
複雑な感情を伴いながら読み進めていくのでした。

これは完全に宇宙外生命体である
破壊者の純粋悪をフリとした
人間味のある背景が作られていく過程でしたね。
冨樫義博先生は天才を優に越えているのです、、、

ダイの大冒険も大好きですが
ここの敵の登場人物の面白いのは
両極端!なぜなら舞台は元々ドラクエだから!
人と人ならざるものの敵が両方います!
禁呪法から生まれたフレイザードという敵は
炎と氷のエネルギー体みたいな見た目をした
魔物みたいなキャラですが彼の思想は
残虐で巧妙でとにかく勝ちにこだわるタイプ。
一方人間(の見た目をした竜の騎士)の敵である
バランは主人公ダイの実の父親です。
バランにはきちんと人間を憎む理由があります。
彼は人間を守るために戦ってきました。
しかしあろうことかその人間によって妻を殺され
息子であるダイとも離れ離れにされてしまうのです。
人の醜さに激昂し怒りを覚えたバランは
人間を滅ぼす決断をしたのでした。
ダイ大はいわゆる数字敵幹部的な感じで
敵幹部陣営が充実していていろんなタイプの
魅力的な敵が現れるので読んでて面白いです。

BLEACHはというと死神の世界の藍染惣右介や
滅却師と呼ばれるユーハバッハに関しては
たしかに人の見た目をしつつも立場が
現代の人間と違いすぎます
だからこれも大まかな過去背景とか
ぶっとばしても世界を支配しよう系のことを
言っても私が天に立つなんて言われても
成立するんだと思います
死神の中では、滅却師の中では
そういうことになっているんだ、という
概念ごと飲み込んで読めるのです。

ヒロアカとかはヒーローを基盤にした
現代社会が舞台で
呪術も呪術師を基盤とした
現代社会が舞台です。
BLEACHはというと死神を基盤にした
現代とソウルソサエティなど
明らかにフィクションな土地・環境なども
含めた上で進行するお話なので
死神の世界はこういうものだからという
独自の観点・価値観から敵の思想が
生まれるから悪の理由はそういうものだ、
と解釈して読めるのです。

まあだから結局、
敵キャラのバックボーン
あるなし問題ってのはその作品の
構築している世界観次第ですかね!笑
それは自然とその漫画の
生死感にもつながりますね!

正直こんな頭使わないで娯楽なんだから
サクッと楽しんだらいいんだよ!とも思います笑
ただ考えれば考えるほどに
面白い少年漫画の数々・・・
これからもたくさんの名作が
産まれるんだろうなぁと思うとワクワクしますね!



さぁそんな悪がここにもまた誕生していましたよ...!

たろちゃん組

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