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家の近くの神社の話。

高校卒業まで住んでいた実家の近くに、近所ではそこそこ大きい神社があった。
初詣はもちろん、七五三のときもその神社に行った。

その神社では、夏になると茅の輪くぐりという催し物があった。


近所の神社の場合、事前に四角い提灯の四面に無病息災の文言や願い事を書いておく。当日、神社に持って行って、中に蝋燭を立てて火を灯す。それを持って千灯万灯(せんとう まんとう)と口に出して唱えながら、神社の周りをぐるっと3周する。境内の正面に茅の輪があるので、そこを通るときは踏まないよう、つまづかないよう気をつけながら跨いでくぐる。

その3周を終えたら、決められた場所に提灯を吊るし、あとは神様に委ね置いていく。帰りにアイスを配っているので、それをもらって食べながら帰る。わたしはよくスイカバーをもらっていた。

今これを思い出しながら書いていて、なんだかあれは夢だったみたいだという思いに駆られている。それほど自分の中で遠く、けれど大切な思い出になっているということなのか。

話は少し変わる。
一緒に住んでいたおばあちゃんは、その神社のコミュニティ(正式名称はわからない)に所属していたため、毎月1日になるとその神社に“月参り”なるものをしていた。
幼少期の思い出にかなりの頻度でこの神社が含まれているのは、おばあちゃんの影響かもしれない。

両親が共働きだったこともあり、平日のお散歩はおばあちゃんが連れて行ってくれた。もちろんその神社にもよく行った。
天狗の格好をした神主さんがいたとき一緒に写真を撮ってもらったが、なにぶん見慣れないものだったので、わたしは泣いていた。小さい頃から小柄だったこともあり、下駄を履いた天狗がより大きく見えて怖かったのだと思う。

秋になると、敷地内にある大きな銀杏の木がライトアップされる。おばあちゃんたちは炊き出しで豚汁を作り、銀杏を見にきた人たちに振る舞っていた。
今まで知らなかった人たちが、同じ空間で和気あいあいと同じ食べ物を囲んでいるその雰囲気が、幼いながらに好きだった。

大学進学を機に一人暮らしを始め、徐々に実家に帰る頻度も減っていった。ましてやコロナ禍となり、今やその催しをやっているのかも定かではない。

最終的に何が書きたいのかわからなくなってしまったが、戻れるのならばもう一度、あの夏の夜に戻りたいと思う。毎年この時期になると思い出す、わたしの幼少期の思い出。

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