与え続ける人間になる。
情けは人の為ならず。
この言葉の意味を知っているでしょうか?
人に対して情けをかけることによって、いつかは巡り巡って自分に良い報いが返ってくるという意味の言葉です。
この「情け」こそが、相手に「与える」ことです。
理想論を語ると、皆が相手に情けをかけ続けるような人間社会であれば、きっとこの世から争いは無くなるでしょう。
ですが、人間社会は「受け取る」ことに重きがおかれがちなのが事実、
・SNSのいいねやフォロワーを欲しがる人たち
・無料サービスに群がる人たち
・一方的に話し続ける人たち
といったように、受け取ることに重きを置いてしまう人たちは少なくありません。
もちろん、そういった生き方をすることを否定するわけではありません。時には受け取ることも重要です。家族を守るためにはお金が必要になるし、自分の国(地域や会社、コミュニティなど)を守るには他国から受け取る、時には、奪う必要さえありました。
私は、歴史や人間心理に専門性を持っていないので机上の空論となってしまいますが、これまでの歴史や現代社会で起こってきた争いは、与える心よりも受け取る(奪う)心の総量が多いことが、原因だと思っています。
今回は、その「与える心」について考えていきましょう。
「与える」とは何か?
与えると言うと、人に物を与えたり、お金を分け与えたりといったことが思いつくかもしれません。ですが、与えることができるのは、目に見える物質的な物だけではありません。
知識や知恵、時間、労力、思いやり、感謝といった、目に見えない情報や想いなども与えるものの対象となり得ます。
物質的な与えるという行為は、経済的に豊かである必要があります。そうでなければ、生きることが困難になってしまい兼ねません。
反対に、後者の目に見えない物を与えるのは、言ってしまえば誰でもできることです。
人に感謝する。
人を思いやる。
困っている人に手を差し伸べる。
こういった想いや奉仕を与えることは、誰でも難しいことではありません。
つまり、与えることに、お金や地位などは十分条件ではあるものの必要条件ではない。
というのが、私の見解です。
なぜ「与え続ける」のか?
私たち人間にとって与えることは、単なるアクションではありません。自分の持つ感情や価値観、人間性そのものを表現する手段の1つであり、他者との関係性を深めてくれるという恩恵があります。
まずは、与えることが個人にもたらす影響について。与えることは、それ自体が喜びや満足感につながります。
人が満足して喜び、時には自分に感謝をくれることもある。その姿を見ている側のにも、そういった感情は伝播していきます。そして、その喜びや感謝を素直に受け止め自分も幸せな気持ちになれば、さらに相手にそれが伝播して幸せの相乗効果が生まれます。
また、与えることは、自身に成長をもたらす行為でもあります。他人に何かを与える行為は、自分を理解することに繋がるからです。
他人のために動いている時(または、他人を思っている時)、その行動をもたらしてくれる源泉は何なのか?
どういう時に、自分は人を助けたくなるのか?
人を思いやりたくなるのか?
こうして、与える心を発揮している時こそ自分の姿が映し出されていきます。自己の価値観、思考パターン、感情など己を知る材料が「与える」ことによって浮き彫りになってくるわけです。
この自己理解こそが、自分の成長の大きな後押しになります。自己の経験や能力を再評価し、新たな視点や理解を得る機会になってくれる。それこそが、目に見えないけれどもとてつも大きな成長につながっていきます。
また、個人だけでなく視点を広げて、与えることが社会全体にもたらす影響についても考えていきます。
まず第一に、与える心はコミュニティの強化、信頼関係の構築に大きく役立ちます。やはり、信頼を得るためには、コツコツと人のためになることを積み重ねていかなければなりません。
1人がみんなのために。まずは自分がその想いを胸に生きていくことで、やがてその輪が他者へ他者へと広がっていきます。自分の周りにいる5人の人間の平均値が自分であると言われます。つまり、自分のレベルが上がることで、その影響は他者にももたらされるということでもあると思います。
つまり、このように1人が「与える心」を持って生きる=レベルアップすることによって、周りの人の平均が上がります。これが連鎖的に発生することにより、社会全体の向上につながります。
また、1人1人が与える心を持つことによって、感謝や奉仕の心からできた絆が生まれます。それが社会(チームや会社、コミュニティなど)の結束力を高めます。このように、与える心を持つことによって、他者への理解や尊重、敬意の総量を増幅させ、より良い社会を創り出す役割を果たします。
このように、他者へ与える心を持つことによって、自他共に大きな良い影響が生まれます。他者へ与える心が、自分の環境をより良いものにする。これこそが、情けによって自分に返ってくるものだと思っています。
何かを与えたら感謝して、お返しをしてくれる。
これは与える心ではなく、ただの等価交換を求めていることです。直接的なリターンではなく、巡り巡って返ってくる。きっとこの与えるという想いや経験は将来に生きるだろう。
そう信じて、社会全体をより良いものにしていきましょう。
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