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マーケティングと陰陽五行と 其の伍:「不適切にも程がある」

TBSドラマ「不適切にもほどがある」、面白すぎますね。
・・・と言っても、このnoteは基本的に陰陽五行と帝王学とマーケティングについてのものなので、別にドラマ考察をしようということではありません。

今日は僕が学んでいる陰陽五行/帝王学でよく出てくる「球体思考」について「不適切にもほどがある」を例に考えてみようと思います。


球体思考とは?

陰陽五行に基づく帝王学がいわゆる占いと最も違うところは、未来を予見するためにあるわけではないところだと思います。

様々な角度から事象を見て、流れを考えるヒントを与えるのが陰陽五行であり、帝王学です。

たとえば、生まれた時にダウンロードされてきた性質を見る陰占の観点で見ればこうだけど、表に出やすい特性を表す陽占の観点から見ればこうだ。

さらに陽占で見られる性質が陽転すればこうだけど、陰転すればこうなる。

また、天中殺を考慮するとこういうことになるし、相手との関係を見る相生相剋論の観点から見ればこうだし、同じことを仕事の観点から見るのと、家族に及ぼすインパクトという観点から見るのとでも考え方が変わってくる、

といった塩梅です。

つまり「あなた死ぬわよ!」というようなことをいうようなものではなく、死にそうな傾向が強いという観点が強く出ているなら、それを回避する方法を考えたり、あるいは限られた人生を意義深く生きる思索をするための学問なのです。

ポイントは様々な観点からみること。
ネガティブな事象のポジティブな面にスポットを当てる、
ネガポジ変換(コーチング的にはリフレーミングとも言いますね)を言う人がいますが、それを更に二面にとどまらせずにできるだけ多くの観点から検証するということです。

僕はこれまでそうした思考を「多観点化」という言葉を使って表していましたが、多面体どころではなく、球になるまであらゆる角度で検証しようというのが球体思考です。

不適切にもほどがある!

さてさて、そこで「不適切にもほどがある」。ゴリゴリの昭和おじさん(阿部サダヲさん)が、令和にタイムスリップするという話で、このnoteを書いている2024年3月20日現在では全10話のうち8話まで放送されています。

そう聞くと世代間ギャップを笑ったり、ポリコレバキバキの令和を空気が読めない昭和おじさんがパワープレーでかき回して溜飲を下げるドラマと思うかも知れません(実際そういう側面もなくもないですし、そういう文脈で観ている人もいるのですが)。

でも実際はもう少し立体的です。たとえばこのまえ放送された第8回は浮気がテーマになっています。

昭和は「3年目の浮気くらい多めに見ろよ」と言い放つ曲が大ヒットするような時代でしたから(第8回の途中の楽曲でそのオマージュが入っていて笑えました)、まあ良いワケはありませんよね。

でも他方、一度浮気(不道徳ではあるけど、犯罪ではない)しただけで、ずっとデジタルタトゥーがごとくつきまとい、公の場にでることさえ許されなくなりかねない時代、それが令和だったりします。

男性が好き勝手をせず、女性に我慢を強いないことは素晴らしい、というよりはむしろ当然されるべきことです。

でも一度過ちを犯しただけで、一生許されることなく責められ続けながら、精神的な圧迫を受け続けながら、再チャレンジのチャンスがもらえない社会は寛容でないとも言えるかも知れません。

「不適切にもほどがある」は、そうした移り変わった価値観を棚卸しすることによって、多面的、球体的に考えようとしているドラマなんです。

だから「こうだ!」という胸のすくような結論は出しません。
観る人によってはモヤモヤしてしまうかも知れません。

でもそれだけに真摯で、上品なドラマなんです(下品なギャグで溢れているけど)。

マーケティングと球体思考

仕事柄、マーケティングのコンサルをすることがあります。
もちろんクライアントはベストソリューションを求めます。
そして「答えはこれだ!」と言い切れたらカッコいいと思うし、相手も気持ちがいいと思います。

でも実際は球体思考で観なければいけません。

投資収益率の観点からみたらどうか?
ブランディングの観点からみたらどうか?
会社のミッション・パーパスと照らし合わせたらどうか?
そして、お客さまの幸せ(カスタマーサクセス)の観点からみたらどうか?

こういうことを真剣に考えれば考えるほど、「これだ!」というわかりやすい切れ味のいい答えは出てこなくなってしまいます。

もちろん時には明快な答えを出してお客さまの背中を押すことも大切です。でもそれも一つの観点です。

ありとあらゆる観点から考え尽くす。これが大切です。

でも当然経営者だったら何らかの決断を出さなければいけない。

その時の最終的な判断基準にするのはなにか?

帝王学ではそれを「徳」に置くんですよね。

ということで、今日は長くなってきたので、次回は「徳」について書いてみましょうか。

では!

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