見出し画像

未来の建設業を考える:「100年続く建設業へ」

100年企業の特徴

 100年以上続く企業に共通した特徴とは、100年ごとに(新商品を生み出す)革新が起き、コアビジネスを時代の流れとともに変革させてきたことにあるそうだ。
 また、昨今のファミリー企業統治に関わる問題が生じている一方、同族企業経営だからこそ、子や孫までの企業を残すために、企業の社会的意義を定め、コーポレートガバナンスコンプライアンスを重視することにつなげている。従業員や顧客といったステークホルダーに対する責任を果たしてきたことも、企業存続の大きな要因と言われている。CSRという言葉を知らなくても、これらの企業はそれを当然のごとく実行してきている。

100年企業のトップは京都府

 明治末年(1912年)までに創業した企業は全国で2万5千社あり、都道府県別では京都府がトップとのこと。業種別では「清酒製造」、「旅館等」が多い。

大手建設業の100年企業

 一方、大手建設業者を見てみると、清水建設の創業は1804年、鉄骨造を導入したり、大成建設は1873年、竹中工務店は1610年、鹿島は1840年、大林組は1892年、それぞれ100年、200年を超える老舗企業となっている。世界に誇れる技術力も有し、1兆円もの売上高を誇る世界的な企業にもなった。
 しかし、これら建設の老舗企業を見ていると、本当に次の100年続くのか疑問に思う。日本の建設市場が80兆円から40兆円へと半減する社会的環境の中で、企業間の競争も厳しくなり、新たな革新を生み出す余裕がなくなってきているように感じるからだ。
 20年前は少なくとも現場環境の改善や建設をベースにしながらも「生物」や「宇宙」や「化学」といった分野まで視野に入れたダイバシティーを発揮していた。しかし、年々夢を語れる分野が少なくなってきていると思う。

建設業が次の100年も続くためには

 やはり、建設業が次の100年も続くためには、時代を拓く革新が必要だ。
 今で言うなら、建設をコアビジネスにしながらも、設計やコンサルタント能力を高め、信頼される発注者の相談者、パートナーとなることもひとつではないか。昔に戻るように聞こえるかもしれないが、より積極的に社会や発注者との関係を技術やノウハウで結び、品質、工期、コストが最適化される事業化段階や企画段階での取り組みをもっと増やすことが重要ではなかろうか。
 老舗企業の多くは、その成功要因を取引先、社員、社会からの信頼・信用が大きいと言っている。
 少なくともこれまでの建設業は十分発注者の信頼に応えてきたと思う。しかし、今こそ、発注者だけでなく、下請けや職人、地域の人々といったすべてのステークホルダーの信頼を得ることが繁栄への近道となるのではなかろうか。

日本最古の会社・建設会社「金剛組」

 ちなみに、老舗企業の創業年ランキングによると、寺社仏閣建築を手がける578年創業の金剛組、創業587年の池坊華道会など1000年を超える古い企業もある。ぜひとも、日本のゼネコンが永く愛され100年と言わず1000年続く企業となってもらいたいものだ。そのためにも、自社の利益を超えて、社会的使命を果たす役割を担うことに期待したい。

この記事が参加している募集

#創作大賞2024

書いてみる

締切:

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?