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桜羽満廻

その桜はとても優しく咲く。

冬が明け、春の温かさと共にこの世界を白からピンクに彩る。

どこかで冬眠していた鳥もピンクに彩る美しさに引かれ、巣から飛び立つ。

鳥もきっと桜の真似をする。

優しく咲く桜をみて鳥は優しく羽ばたく。

桜はそれを見守る。

少し鳥が弱ってる時は桜は木の下に鳥を抱き抱える。

桜は自分の花弁を削りながら鳥を守る。

削れた桜の花弁は地に落ち、雨に濡れる。

けれど鳥はその桜の花弁の上に羽を落とす。

花弁が濡れないように、風邪をひかないように。

きっと羽と桜はお互いを満たしあって需要と供給を成り立たせている。

きっとお互いの上に乗ったり、下に乗ったり。
体を温めあっているのだろう。

羽と桜だけの世界で

満廻している。

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