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現場体験をさせたが、もう2度としないと決めた話

久しぶりにこの記事を読んだ。

僕が何者でもないどころか天狗のように伸びた鼻は間も無く浜松から東京に向かって熱海を抜ける頃だった。
地方から来たお登りさんとは僕のことで承認欲求もiPhoneの容量もお腹まで満たしてもらっていた。

映像の仕事をしているとこんな僕でも3日に一回くらいは「無料でいいから現場について行かせてください」という連絡をもらう。基本的にお断りをしていたのだが、今回は受け入れた。そんな話を備忘録的に彼とできなかった振り返りの意味を込めてここに残したい。
彼は1度会ったことがあり、お酒も一緒に飲みそのままうちに泊めるほど気概の合った青年だった。

最近の僕の状況としては独立して2年が経ち、先日法人設立したこともあってか動画制作だけではなくプロデューサーであるという認識の上で、プロデューサー業の依頼やSNS周りにおけるコンテンツを相談ベースでの連絡をいただくことが増えてきている。

僕としてもゆくゆくは社員であったりもう少し近い距離でやる仲間が欲しいと思ってはいるが、まだ人様の人生を本当の意味で預かれるほどの業務はなく仲間の助けを借りながら自分で仕事を繋いでいる。
そんな背景もあり、知らない仲ではなかった彼の覚悟を問うて本気なのであれば受け入れようと思った。

改めて電話をし、遊びではないということ、本気でやる覚悟があるのかということ、現場が最優先だからその場で教えられることは一つもないということ、今後共に働く可能性があるという意味で本気でぶつかるということ、これらを伝えた。翌日改めて覚悟を聞くと、ついていきたいとのことだったので段取りを組み僕の都合で今後のために人を入れることを関係各所に承諾してもらい彼を受け入れる体制を整えた。

結論を先に書くが、彼は逃げてしまった。

何日か同行してもらったのだが、同行最終日に決めた目標についてはLINEの文章「未達でした」のみで僕の前から去っていってしまった。
なんなら、去り際さえも見ることがなかった。

実際現場では彼に込み入った話をすることはできないと伝えていた。僕はプロデューサーという立場であるから、その現場にいる人たち全員の仕事のしやすさを常に考えて動きたかった。

だから僕は彼を受け入れると決めた時、1通のLINEを送った。これは会社員時代に僕の直属の後輩になるメンバーとは必ず約束していることだ。原文ママ記載する。

本当は直接伝えたかったんだけど忘れそうなのでLINEで

基本的に河合の行動には意図があるので
なんでそうしたのか?と疑問があることがあればなんでも聞いてください。
もう一つ、〇〇君の中ではこういう意図で河合が行動したのではないか?というのがあったとしても
思い込むのではなくて意図の確認をしてください。
人間思い込みからズレが始まっていくので。

もし聞かれて僕がなぁなぁに「いやいいからやれよ」とか「めんどくさいから(効率という意味ではなく)」という
意図がない旨の返答をしたら
一発無言でビンタの権利が付与されます笑

もちろんそうならないようにはしているんだけど
後輩と最初に必ず結ぶ契約なので
そう思ってもらえたら!

僕自身意図があるということをとても大切にしているので、自分にとっても相手にとっても覚悟の約束をしている。

先述したように現場では話すことができないので毎日約1時間、夕飯を食べながら他のことはできる限りせず、彼の振り返りとそれについて僕が思ったことを伝える時間を作った。
彼が言うには今回来た目的は2つ。

・河合の仕事現場を生で見て体感すること
・自分が学んできた映像制作が本当に現場で通じるのか確かめること

僕のことを尊敬してくれるのはとても嬉しく、地方せっかく来て人生の大切な時間を投資してくれているのだからできる限りこの目的に応えたかった。

逆を言うと僕は最初から彼に何も期待していなかったし、できることは雑用だけだということも伝えていた。だからこそ何かして欲しいのではなく、何かを持ち帰って欲しいと心から思っていた。もし仮に彼にできることがあるのであればそこに役職と責任を与え、きちんと報酬を支払っていた。
だが、最初にも書いたように「無料でもいいから」という言葉を受け取り、彼には報酬を支払わないことを条件に受け入れた。僕の私情に大切なみんなの予算を使えるわけがない。
とはいえ、お昼ご飯などは用意して最低限の労いはしたつもりだ。彼のご飯を用意しないということもできたが、とはいえ力仕事を一生懸命頑張ってくれている。みんなでご飯を食べながらコミュニケーションをとってそこでも学びになる機会を作りたかった。

お金ではなく経験と本人が感じたこと、僕との会話を通して何か一つでもきっかけとなることを報酬としたかった。

今回、何もできないことは僕の思い違いで、やりやすく本当に力になってくれたのであれば今後APとしてきちんと報酬をお支払いしお願いしたいと思っていただろう。


実際現場での様子を少し振り返ろう。一生懸命何か仕事がないかを探してくれていた。彼がいてくれたことで助かったことはもちろん沢山ある。荷物を運ぶことも、配送物の受け取りも時にはひとっ走りしてもらうこともあった。本来僕がやる予定だったので、彼のおかげで現場から離れずに済んだり、各地への迷惑は抑えることができた。
だが、パシられるために来たわけでもないだろうし、僕も使い勝手のいい人間を作りたかったわけでもない。再三伝えているが本人の学びになることをしてほしかった。

だが、目的を見失って何かしなければと言うことが先行しすぎるがあまり、部署関係なく「何か手伝うことはありますか?」と聞いて回っていた。
それを見ていた僕は彼に、何か手伝うことがあったらお願いをされているし、そう聞かれると仕事を与えると言う仕事を増やしていることは迷惑であると伝えた。
やはり後から別スタッフからそのクレームを受けた。現場に迷惑をかけてとても申し訳なく思っている。


他スタッフからの印象はどうだったか。彼の気概の良さはやはり伝わっており合間合間に何か迷惑をかけていないですか?力になっていますか?と聞くと、とてもいい子で頑張ってくれているとみんなが口を揃えていってくれた。
気にかけて雑談をして仲良くしてくれるスタッフもいた。とても嬉しかった。


僕は最終日、目標を決めるように伝えた。彼から出てきた目標は「誰よりも動いて自分が現場にいて良かったと思ってもらうこと」だった。秒速で却下した。目標というのは感情論の定性的なものではなく誰が見ても判断ができる定量的なものを指すからだ。
誰よりも動くが目標になってしまったら全員の万歩計を見させてもらって一番歩いていたら達成になる。めちゃくちゃ意味がわからない。
一晩経っても出てこなかったので僕の方で設定をした。

・河合の仕事現場を生で見て体感すること
・自分が学んできた映像制作が本当に現場で通じるのか確かめること

これらのために来ているのだから、それぞれ10個ずつ見つけることを目標にしてもらった。
その見つけたことが僕の意図と同じかどうかはどちらでもよく、まずは目標を達成するということに執着してほしかった。

現場のためになるように動くということは僕からすると当たり前も当たり前でそんなことを目標にしないでほしかった。来た目的に対してもっと純粋に取り組んでほしかった。

既に書いたように、彼は未達でしたというLINEのみでいなくなってしまった。振り返りをすることも現場で感じたことの確認をすることもなく。
何個足りなかったのかもわからない。

届いたLINEには学んだことが3つ書かれていたがそもそも10個見つけることが目標だったから意味がわからないし、なんだか満足げのある文章なので結局彼自身の定性的な目標は達成したのだろう。


僕は彼を受け入れるということに責任を持ちました。いろんなことがありましたがそれは全て僕の責任ですので、関係各所の皆様何か思うことがあれば僕に連絡をください。


打ち上げも事前に来ていいよと伝えた上でこない選択をしてたけど、打ち上げでこそ盛り上げて挽回するチャンスでしょ!!って別部署の後輩がテキーラを片手に言ってました。まじでそう。てか、そういうラフな場でこそネットにはない情報がたくさん落ちてるのに。

現場に行かせてくださいについて

今回初めて「無料でいいから現場について行かせてください」を実際にやってみたが、お互いにとっていい時間になった気はしなかったので今後この類のことはやらないと心に誓った。
出会った中で手伝って欲しいことがあれば僕からお願いさせてもらいますのでどんなことができるかを教えてください。

とはいえ、現場についていきたい、見たいという気持ちはあると思うのでそれはセミナーとして行いますのでDMでご相談ください。
本格的な撮影講座や実際にあった依頼を模擬体験してもらうような講座を行います。

この形の講座は15万円以上から受け付けます。

自分達で企画した講座が先日第3回を終えました。お金の代償に限らず僕たちは来ていただいた方に対して全力で情報を伝えたいと思っています。来て良かったと1個でも思ってもらえるように話し続けます。

無料より高いものはないと言いますがまさしくその通りだったのでもう今後は受け付けません。
無料ではなくセミナーという形で対価をいただいた上でそれ以上に価値提供をしていきます。

終わりに

冒頭の佐野さんのブログを当初見た時の感想は「絶対にもう一度一緒に仕事をするぞ」だった。
昨日も普通に考えてダメなことをしてしまい佐野さんに怒られたが、今では仕事の依頼をお願いしたり受けたりする関係になることができた。

インターンしていた頃の僕は相当に使えないやつで、今回登場した彼の方が何倍も仕事のできるやつだ。
今改めて読んでもむしろマイルドに書いてくれていてもっとできなかったよなと思っている。

今回のことを前職で直の後輩だった2人に話したら「あー将太郎さんっぽいわー、まじで嫌でしたもんその理詰め、飲み会の時と将太郎さん違いすぎてその子めちゃくちゃ驚いたと思いますよ」って口を揃えて言ってました。

詰められまくってまじこいつ!って何度も僕に思っていた彼らは6月17日に開催するtape nightでスタッフをやってくれるので、先輩後輩関係にあった時どんなことがあったか聞いてみてください。まじウケます。


ということで、現場に無料でついて行かせることは今後は無いので、これからはセミナーの内容としてご連絡ください!!

間も無くVIDEO SALONさんの雑誌が出ます!現場についていく前にこれ見て勉強して!僕がやっていることを記事にしてくださりました。


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