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『何者』を読んで

朝井リョウの『何者』を読んで、
胸がざわついて、胃がキュっときしんだ。

拓人は私じゃないか、と。
読者にそう思わせる作者はやはりすごい、
といいわけじみた感想を思いつつ、

ここにいるのは私なのかもしれない、
私はこんなに醜いのかという絶望感だ。

人はみんなもがいてる。
私ももがきたい。でも、こわい。

もがいてるひとを、痛い、とか
カッコ悪いとか、あがいててみっともないとか、
どこかでそう思っていたのだろうか。

Twitterを眺めていると、
まゆをひそめたくなるのは、なぜだろう。

なぜみんな、何者かになりたいのだ。
私も含めて、だ。

なぜ、必死にがんばるんだ。
何者かになれるなら、もうなってるはずだ。

何者にも、なれはしないんだ。
でも、期待してしまうのはなぜだ。

キラキラとした未来を。
そんなものはないと、まだ諦めたくはない。

いまに満足したいのに、できない。
いつまでも、できないのだろうか。

俺はまだ本気だしてないだけ、
といつまでもいい続けるのだろうか。

いまするべきことは、
目の前の人を全力で愛して、
目の前の仕事を全力でこなして、
目の前の時間を楽しむことだけだ。

わたしはしあわせになりたい。
それだけのはずなのに。



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