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江童短歌帖

78
今まで投稿した短歌をここにまとめる。
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#文語短歌

我立てと己にしひて立たれぬは
我が過ちとさらに我責む

心なく力も見えぬ者ならば
人のそしりも否むべきかは

明日の飯憂へねど今日食ふことは
少なし餓を恐るまじくや

鱈井元衡
4年前
2

新たなる命を注ぐ光道
新たかといふこともあらじを

昔見し心地のするはいつはりか
夏の駅舎の夢のたたずみ

鱈井元衡
4年前
1

限らるる時と言へども道なくは
泥のごとくに棄つるほかなし

鱈井元衡
5年前
5

落つる日を嘆くも乗せて行く国に
立ちては乗りて栄ゆるもあり

鱈井元衡
5年前
2

生き行けば知らぬ楽しみあまたにて
人の心のなほ捨てがたき

鱈井元衡
5年前
2

血も汗もいでてはけがすものなれば
衣に涙落としぬべくや

鱈井元衡
5年前
3

親しめば疎くなるこそ望まねど 痩さしき人は耐へがたきなれ 恐るれば必ずとこそ言ひやまね 口に誓へばまた破りてむ 過ちを繰り返さじと心得ば 露も残さじ種たち末を

試みは百度千度受けしかど
覚えしことは教へにあらず

昨日にはいかに多くを忘れけむ
起きしことみな背負ひてやある

鱈井元衡
5年前
1

かげろふの命と変はるものあらば
我もいにしを悔いてかふべき

家満たし取り集めたるこの文もかの文もまた消えぬべきなり

鱈井元衡
5年前
2

金もなき人助くるに金なくは
あるべからねば富は求めよ

鱈井元衡
5年前
1

語らへば語るものなき身の上の
うつろなるこそ悲しかりけれ

必ずと言ひてしことぞ忘れぬる
覚えたりとは傲りなるべし

思ふより見分けがたきは形なり
顔よりは声 声より言葉

正しさを言ひてしやまず人そしる
さのみ言ふこそ幸に満ちぬれ

鱈井元衡
5年前
1

あまたたび失すとも人に鳴り響く
古き心は消えやらぬかな

変はりたることもなき日を許さぬが
人も時をも貫きにける

苦しめば鍛へらるべく思ひなす
世のたはぶれにげにとは言はじ

人のため言ふにはあらず我がくぶさ
欲しければなり他こそ知らね

くぶさ…利益。
#短歌 #tanka

鱈井元衡
5年前
1

くろがねの冷ゆる口より投げられば
あらがふ空は澄みわたりなむ

「大阪に行きて」
よろひ着る大鳥せまり去る空に
土はふ者のもろきをば知る

人はいさ恨み絶ゆるはえ求めず
思ひはやりて安からしめよ

え~ず…とても~できない
いさ(間)…さあ。

鱈井元衡
5年前

聞きし声もてあそぶなよ頭にて 我身朽つやと怖れさすまじ 家にても帰らまほしとつぶやける 辛さ命の成るにて知りぬ