語らへば語るものなき身の上の
うつろなるこそ悲しかりけれ

必ずと言ひてしことぞ忘れぬる
覚えたりとは傲りなるべし

思ふより見分けがたきは形なり
顔よりは声 声より言葉

正しさを言ひてしやまず人そしる
さのみ言ふこそ幸に満ちぬれ