見出し画像

#14.心から好きになるまで、この部屋から出られません。【なつめさんち】【ガムテ×恋愛】

目が覚めた時、まず視界に入ったのは、真っ白な屋根だった。
遊びのない無機質なその色は、学校の保健室を彷彿とさせた。私は昔から病弱で、保健室のベッドにはよくお世話になっていたのである。…と、そこまでは思い出すことが出来たが、私は肝心なことを忘れてしまっていた。それは、”私の名前”だ。

名前どころか、何故自分がここにいるのかもわからない。いわゆる”記憶喪失”の類だろうか。しかし、大事なことは忘れているのに、なぜ学生時代の保健室の天井を覚えているのか。そう思った瞬間、思わず吹き出してしまいそうになった。自分が何者かはわからないけれど、図太い性格の持ち主であることはわかった。

部屋の向かい側には、もう一人の人間がいた。
壁に背中を預けて、俯き加減に佇んでいるので、顔が見えない。
ゆっくりと彼の元に近寄るが、動く気配はない。彼も、それまでの私と同じく気を失っていることがわかった。

男の呼吸は浅い。息はしているものの、明らかに衰弱した様子でそこに佇んでいる。無理に動かせば、そのまま二度と起き上がれなくなるのではないか、と心配になるほどである。

「落ち着け。まずは現状を把握して…」
その時、その男の背後のメッセージに目が留まった。

スクリーンショット 2021-07-16 20.07.24


「心から好きにならないとこの部屋から出られません」
は?
情報が多すぎて、頭が痛い。まずはこの状況を整理する必要がありそうだ。

・私は記憶喪失
・私は知らない男と二人、この部屋にいる。
・私はこの男を好きにならないと、部屋から出ることが出来ない

落ち着いて部屋を見渡してみると、そこは異様な光景だった。
本棚が倒れていて、中身の本がそこらに転がり落ちている。ゴミは散らかっていて、まるで誰かが荒らした跡のようだった。そして一番異様なのが、玄関だ。ドアが開かないように、細工されていた。特定の鍵がなければ、内側からは外に出られない仕組みになっている。そして当然、電話機のようなものはどこにも無い。

犯罪に巻き込まれた、と考えるのが妥当だ。
明らかに誰かを隔離する為の部屋だと思った。しかし、その割に食べ物が用意されているし、水道や電気も通ってる。だからこそ、余計に不気味なのだ。

いまさら、自分の置かれている状況を理解した。
私は今、誰からも助けてもらえない、極めて危険な状況にある。

再び私は男を見る。袖の長いカーディガンを着ている男の手元に、何やら焦茶色の物体が見えた。私はそれをゆっくりと手に取る。

それは、使いかけのガムテープだった。

【あらすじ】
いかがでしたでしょうか?
最近ハマっているYoutuber「なつめさんち」の動画から着想を得て、このような物語を書いてみました!

げんさんの考えたコンセプトを聞いた瞬間、「これは、面白い物語になりそうだっ!」とキーボードを叩き始めました。結果、この1000文字ほどの冒頭シーンが完成したのです。
(げんさんも「どうぞ、続き書いてください」とおっしゃっていたので…いいよね?盗作じゃないよね?)

実はこの後の展開や、オチまで考えているのですが、今日は仕事で疲れたので、気が向いたらまた続編を書きたいと思います。
「【ギネス級】プロ絵師なら「ガムテープでぐるぐる巻きにされてても」イラスト描けるでしょ?www」に便乗した
「プロシナリオライターなら、プロ絵師が考えた即興設定で物語をかけるでしょ!?www」
でした!

民奈涼介


最後まで読んでいただきありがとうございます! ▶︎「4コマ漫画」「ボイスドラマ」 などで活動中のシナリオライターです。 活動費用が意外とかさむため、よろしければサポートして頂けると嬉しいです!“あなた”のサポートが私のマガジンを創ります。 お仕事のご依頼もお待ちしております!