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タラ夫と楽しむ「本城直季 (un)real utopia」

千葉県は市原市にある市原湖畔美術館で開催中の「本城直季 (un)real utopia」展にきたよ。

本城直季(ほんじょう・なおき)さんといえば、ANAの機内誌『翼の王国』の連載でご存じの方も多いのでは。

有名なのはこちら。

"Tokyo, Japan" (small planetシリーズより)

俯瞰の構図で撮影されたプールにはたくさんの人。
みんな楽しそうに遊んでいる様子が伝わってきます。
それにしてもこの細かさ、模型で作るには大変そう…そう思いませんか?
でも実はこれ、実在の風景を撮った写真なんです。😲
つまり、ここに写るたくさんの人はみんな、ある日ある時に撮影された、ほんもの!
どこからどうみてもミニチュアの世界にしか見えないのに不思議…!

本展は、本城さん初の大規模個展としてこれまで撮りためた150点に及ぶ作品を展観するものなんだとか。

本城さん独特の「世界の見え方」がぎゅっと凝縮された展覧会。
さっそく中を覗いてみましょう🚶‍♂️

代表的シリーズ「small planet」

本城さんは2006年、写真界の芥川賞とも呼ばれる木村伊兵衛写真賞を受賞されており、そのときに対象となったのが代表作と名高い「small planet」シリーズです。(ちなみにこの年の木村伊兵衛写真賞はW受賞で、もうお一人は梅佳代さんでした)

モチーフは東京駅や東京タワーといった名所に加え、ビーチや競馬場、公園、住宅街といった身近な日常の町などさまざま。なのに、本城さんの手にかかるとどれもミニチュアのような世界に見えてきます。

実は本城さんの写真は、本城さん自身が生活するなかで感じたちょっとした世界の違和感を捉えたものなのだとか。

家も、公園も、港も、町も、ぜんぶ人間が作り上げた世界。
そしてその作られた世界にまるごと囲まれて暮らすわたしたち。
それは、たとえば映画『マトリックス』で描かれた現実と瓜二つの「仮想空間」とどう違うんだろう?
――いま、ここにあるこの世界は、どこまで本物なんだろう…?

本城さんが抱くそんな世界への見え方は「ミニチュア風」の写真と重なって、頭の中が現実と虚構を行ったり来たり…

でもどこか愛おしさが残る写真に思わず引き込まれます。

東日本大震災を記録した「tohoku 311」

虚実が入り交じる不思議な写真が魅力の本城さん。
その被写体はアフリカのサバンナやきらびやかな宝塚のステージなど、自在に移り変わります。

なかでも強力なイメージを与えるのが「tohoku 311」シリーズ。
2011年の東日本大震災を記録した一連の写真は、震災3カ月後に思わずヘリコプターで飛んで収めたものだそう。

これまで見てきた写真は、人間の営みの結果きれいに作り込まれた「完成された世界」。
それが作り物のように見えることが不思議さ・面白さの一因でした。

一方、「tohoku 311」にはそうした牧歌的雰囲気はありません。
災害を受けて倒壊した建物や道路。
震災直後の町が放つ、現実と虚構のあわい。
同じ技法で撮られた写真にも関わらず、そして「しょせんは町なんて人間がつくったもの」という素性が曝されているにも関わらず、なぜだかこのシリーズは「つくりもの」のようには見えません。

ずしんと体の奥に響くシリーズでした。

俯瞰だけじゃない!「LIGHT HOUSE」

俯瞰して撮られた「ミニチュア風」の写真ばかりが注目される本城さんですが、実はこんなシリーズもあるんです。

"Taito-ku, Tokyo" (LIGHT HOUSEシリーズより)

町の路地裏で、真夜中に街灯や家の光だけを頼りに長時間露光で撮影された「LIGHT HOUSE」シリーズは、路地裏の静けさと微かに漂う人の営みの痕跡が不穏な空気を与えています。

これもまるで、映画やドラマのセットを撮影したかのような「つくりもの」感漂う雰囲気。

展示室もまるで路地裏に迷い込んだかのような雰囲気。
目が慣れてくるとだんだんと写真が浮かび上がってきます。

開催地の撮り下ろし作品も

様々なモチーフ、被写体で展開される本城さんの写真は美術館の地下展示室にも広がっていました。
(ぜひ現地で直接見てみてね😉)

もう一つ興味深かったのは、開催地・市原市を撮り下ろした作品も展示されていたこと。
この展覧会のためにコロナ禍のなかヘリコプターで飛んで撮影したのだとか!

ミニチュアのように収まった美術館の写真はもちろん、市原という町のさまざまな顔を見ることができますよ。

さいごはもちろんグッズも

コンクリート打ちっ放しの個性的な美術館も、本城さんの写真と相まって素敵な鑑賞空間になっています。

そうそう、忘れちゃいけないのはグッズ!
どんなアイテムがあるのかな。

こちらは本城さんが使う大判カメラのシートフィルム(4×5、シノゴと呼ばれます)アスペクトのポストカード(税込165円)。
一般的なポストカードよりもちょっと高さがあります。カッコイイ!

そしてポストカードが32枚入った箱入りポストカードセット(3,520円)。入れ物の箱は空押しがしてあってとってもおしゃれ。
(それにしてもセットが圧倒的にお得すぎて計算が大丈夫か心配になります😅)

Tシャツやトートバッグもあったよ。シノゴの比率がきもちいい!
ぜひアイテムもチェックしてみタラ🐟💨

※※
市原湖畔美術館はのんびりとした周辺環境も魅力のひとつ。
美術館前の広場では子どもたちが駆け回っていたり、高滝湖ではボートに乗ったりもできるよ。
敷地内にあるレストラン「BOSSO」(房総だから…?)は地元で獲れた野菜をつかったピザが絶品!
都内からはすこし離れているけれど、その分ここなら開放感もたっぷり!
密を避けつつ芸術鑑賞を楽しみたい方、ぜひどうぞ😉

本城直季 (un)real utopia

会場市原市湖畔美術館
会期:2020年 11月7日(土)~2021年1月24日(日)
開館時間
平日/10:00~17:00
土曜・休前日/9:30~19:00
日曜・休日/9:30~18:00
(最終入館は閉館時間の30分前まで)
休館日:毎週月曜日(祝日の場合は翌平日)、年末年始 [12/28(月)~1/4(月)]
料金:一般800 円(700 円)、65 歳以上の方・大高生600 円(500 円)
()内は20 名以上の団体料金。
中学生以下無料、障がい者手帳をお持ちの方とその介添者(1 名)は無料。

※公共交通機関でお越しの方へ※
小湊鉄道さんが運行する「市原里山ぐるっと周遊バス」が便利ですよ(12/13までの期間限定)。
詳しくは↑のリンクからどうぞ

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