魔法の絨毯_1_2x-8

魔法のじゅうたんのリスク

今日、誰もが「ドラえもんがいればなぁ」とか「集中すれば"気"を扱えるはずだ」とか「奇跡も、魔法も、あるんだよ」とか、いろんな妄想を抱いていることでしょう。

今回はそんなドラえもんや魔法少女を開発し、世に放つ際に意識したいことのお話です。

ある大学教授の話

大学生のころ、ある教授が話してくれた「魔法のじゅうたん」の話がいまだに忘れられません。
デザイナーとして、あるいは社会に何かを提供する者として、今も肝に銘じている話です。

魔神の取引

あなたはある国の「王様」です。
あなたの国は平和で国民は活き活きと生活し、皆あなたを慕っています。

ある日、あなたの前に魔神が現れてこう言いました。

お前に『魔法のじゅうたん』を授けよう。
これを使えば行きたいところにあっという間に到着できる。
お前や国民の仕事は捗り、国はさらに豊かになるだろう。

その代わり、毎年100人の国民の命を生贄として我に捧げよ。
そうすれば、この魔法のじゅうたんはお前のものになる。
さぁどうする?

これ、なんの例え話でしょうか。

社会はリスクを受け入れている

今の世の中、自動車や自転車がもたらす何らかの便益を享受していない人はほとんどいないと思います。
ぼくは自動車も自転車も運転しないけど、Uber Eatsのヘビーユーザーだしタクシーにも乗ります。

一方で、WHOによれば毎年135万人、24秒に1人が交通事故で亡くなっています(※)。

魔法のじゅうたんは自動車や自転車の話だったのです。

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魔法のじゅうたんの話は自動車と交通事故の話以外にも当てはまります。

- 電気自動車が普及する。レアメタルの消費や重金属の排出が増えるリスク etc.
- 脱炭素を推進する。発電コストが高まるリスク etc.

持続可能な開発は、あらゆるバランスを加味して進めていくから困難なのでしょう。

開発者がリスクに対して無自覚であってはいけない

新しい発明が社会に普及するとき、その便益の裏側で何らかのリスクが発生しており、多くの人はそれに対して無自覚である。
でも、作り手がそれに無自覚であってはいけない。

これが教授の伝えたいことでした。

何かを作る開発者として、クライアントやエンドユーザーに価値を提供するという責任は当然のことでしょう。
でも、より視座を高く社会に対して何をもたらすのか、何をもたらしかねないのか、ということを常に意識していきたいです。

つい最近、Twitterの分散化方針が話題になりましたね。Twitterが社会に与える影響とは何か。
こういうのかっこいいと思います。

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※ 2018年のレポートです。合わせて公開されてる動的なインフォグラフィックサイトがなかなかにショッキングです。

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