紅葉した木々が、日光で明るみを帯びて美しく辺りは暖色に包まれ、色鮮やかに姿を表していた。秋あるいは冬かも知れない秋冬の風が、自転車を漕ぐ僕の背中を押し、周りの木々の葉っぱたちをまるでイタズラするかのように音を奏でて通り過ぎて行った。
そんな情景を見せてくれている僕が通っている道は、体育館と公園が隣接する間の道だ。そこではよく、中高生達がお遊び程度でサッカーやテニスをしていたり、体育館のガラスを使って10代20代くらいの若者達がダンスの練習をする場となっていた。僕はその道を通ろうとしていた。その時、ベンチで座って俯き気味にスマホをいじっている女性の姿が視界に入った。
その女性の容姿まで分かる所まで近づいた時、自転車を漕ぐ足を止めた。

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