転校生。

「また新しい学校。。。」と花はつぶやいた。父の仕事の関係で花は子供の頃から一年に一度の割合で転校を繰り返していた。何度目の転校なのか数えるのはもうやめた。毎回転校前は恒例の送別会。そして最後はいつも何人かのクラスメートが泣いてくれた。でも花は子供ながらにも知っていた。すぐにみんな花のこと忘れることを。そして今から出会うであろう新しい友達もきっとすぐに昔の友達になることも。新しい担任の先生に連れられて教室に向かう。また、教壇に立ち初めましての挨拶。クラス中の目が花に集中する。そして休み時間は質問攻め。でもそんな日も数日。あとは普通に学校生活が過ぎて行く。だって花は勉強がすごく得意なわけでもないし、ずば抜けて可愛いわけでも、スポーツが得意なわけじゃない。本当に普通の女の子。ちょっとほかの女の子と違うのはいつもどこか夢見がちなこと。転校のたびに少女漫画のようにめちゃくちゃ可愛いくて学校中の注目の的になるとか、めちゃくちゃ勉強ができてクラスで尊敬のまなざしをあびるとか、そんなことをぼんやり想像していた。

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