COVID-19 第3波まっただ中での考察(11月30日)

11月30日、今月の中旬くらいから全国的な第3波まっただ中です。
今回恐ろしいのは、全国的にもれなく感染者数増加傾向が見られることで、新型コロナは「冬」と「人々の油断」を決して許してくれないんだ…とつくづく思います。

感染がどれだけ拡大しても個人が出来ることは限られているのですが、せめて状況分析と考察を行なう事で、今後の糧としたいと思います。

1.東京都の情勢

例によって、まずは東京都の状況分析です。

東京都60台以上

以前から書いておりますが、重症化率の定義は

 日別重症者数÷過去2週間の60歳以上感染者合計

と言うもので、私が独自に(勝手に)集計しているのですが、重症者の増減と大体リンクしているので、それなりに使える指標かな…と考えております。
ご覧の通り、60台以上の感染者数は11月3週目から激増しております。大体1.5倍~2倍になる勢いです。10月までは上限で50名/日くらいだった感染者数が、ここ最近は110人/日に達しています。
一方で重症化率はジリジリと下がってます(ここでの重症者数はECMO・人工呼吸器接続数で、都が発表している数値よりは少ないです。出典はこちら)。これまでの傾向を見る限り、重症化率は遅効性でない(感染者の増減とかなりリンクする)ので「感染者の増加ほど重症者は今のところ増えていない」のが実態かなあ…と言う感じです。
ただし、重症者数のインパクトは比率ではなく絶対数なので、とにかく感染者総数が減らないことには重症者も減りません。ちなみに、感染者全体における60台以上の比率は、大体18%~20%位で一定していますので、感染者数が増えれば高齢者感染数も増えます。

60台以上比率

2.大阪府の情勢

東京はこんな感じなのですが、問題なのは大阪府です。
大阪府は「行政への負担増」を理由に個票の公表を11月中旬で止めてしまっているので、上記と同様の分析が出来ません。
重症者数は以下になります。

大阪府

毎回思います。大阪って、なんでいつもこうなんねん。
8月の第2波の時もそうでした。重症者が全国他の都道府県に比べても、急峻な伸びを示す。今回の第3波の場合、全国重症者数のほぼ25%が大阪府です。他の都市では重症者はこんな極端な伸び方をしていません。

…「民度」か?(あんまり言うと怒られるのでこのくらいにしときますが)

大阪に限らず、11月以降の感染者増加を何となく臭わせるような動きは、筆者の周りでもチラホラ見受けられました。
先般、所用で岡山県総社市の妻の実家に帰っていたのですが、出かけたときに見る光景と言えば
・小さなクルマに4人乗り合わせで来て、マスクなしで談笑するマダム(推定年齢60歳前後)
・マスクなしで店員に延々と話しかける紳士(推定年齢65歳前後)
・法事にマスクなしで現れる親戚(70歳)
・このご時世にカラオケ店に集団で訪れるお年寄りグループ(伝聞)

…そうなんですよ。
「年寄り緩んでるんちゃう?」
これに尽きるんです。

高齢者がステイホームを徹底し、子や孫にも余程のことがない限り会わない生活をしていれば、感染の危険性はほぼありません(うちの母が正にこれです)。
大阪の重症者急増は、高齢者との同居家族が多いから…とはとても言い切れない。年寄りが街中・3密場所に無防備に出かけちゃってるのが原因ではないのか、そう思うのです。

3.我々はどういう姿勢を取るべきか

さて。
ここまでの論旨から大きくそれるように見えますが、私は「コロナ禍でもホイホイ出かけちゃうアホな年寄り(もちろん若年層も中年層も)」を糾弾したり蔑んだりしたいワケではありません(充分糾弾しとるやないか、と言うもっともなご意見はさておいて)。
つまるところ、これは「正義」の問題だと考えているのです。

我が家は、親兄弟を含め感染リスクに徹底して警戒している部類に入ると思います。一人呑み以外は外食もほぼしないし、一緒に住んでいない家族とはそう簡単に会わないし、仕事は極力リモートだし、家族同士でも接触しないし、手は鬼のように洗います。
そういう我々から見て、上記に記したような人々は極めて軽率に見えますし、できる限り近寄りたくありません。これは我々から見た正義です。
でも、彼らにしたら我々は「そう簡単にコロナかからんやろ、そんな神経質に行動してアホちゃう?旨いもん食って楽しく生活した方がエエで」と見えているかもしれないのです。これは、彼らにとっての「正義」です。

感染症を恐れる人は、緊急事態宣言再発動で経済を止めてでも、感染拡大を止めて欲しいと考えます。一方、観光・外食・エンタメ産業の人たちはそんなことされては文字通り命に関わりますから、GoToでも何でもいいから経済を回して欲しいと考えます。両者の利害は完全にトレードオフです。

両方から出るのが「政府は補償しろ」というセリフなのですが、今年度政府は既に110兆円の財政支出をしています(予備費10兆円を含め)。これは通常の一般会計の1.3倍に当たる規模で、すなわち日本政府は今年度2.3年分の予算を使っているのです。
私はいわゆるリフレ派で「政府はジャンジャン金刷って供給すれば良い」という立場なのですが、それでもこれ以上の財政支出にはさすがに耐えられないと思います。つまり、国に財政で頼るのはとっくに限界があるのです。

それでも国が何とかしろ!政府は何もしていない!と言う人、マスコミのコメンテーター諸氏をはじめ本当に多いのですが、この考えが行き着く先は中国と同じ「全国民が監視され行動制限される社会」です。
そういう可能性を全く報じず、GoToがダメと言ったと思えば一方で客のいない居酒屋の様子を映して「飲食店はこんなに大変だ!政府は補償しろ!」と喚くマスコミは全く使えない…いや、これ以上は本題から外れるので止めましょう。

感染対策をしている人が、していない人を「自分の正義」で責め立てても、お互いの意見が折り合うことはありません。これは詰まるところ言葉の違いと同じくらい、擦り合わない概念です。
であれば
・感染対策をキチンと出来ている自分を褒める。
・感染対策をキチンと行う同志を増やす
・違う正義で動いている人たちには近づかない
が、我々が出来る精一杯のことです。

政府や自治体に文句を言うのは鬱憤晴らし以外のメリットを生みませんし、自分の中でストレスを増幅させるだけです。
そんな情報を垂れ流すテレビや新聞、あるいはネガティブなことを言ってくるSNSも一切シャットアウトして、日々感染対策を行いつつ、できる限り楽しく暮らしたいものです。

最後に、坂本史衣先生が昨日公開した、実によくまとまっている感染対策記事を転載しておきます。
ここでも書かれていますが、COVID-19の主要な感染経路は飛沫であることが分かってきています。最も重要なのは3密回避・十分な換気・マスクであることは論を待たないです。手洗いのガイドラインなども極めて明快なので、全国民必読と言うことでヨロです。

https://news.yahoo.co.jp/byline/sakamotofumie/20201130-00210021/


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