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E-a /中川幸夫先生に出会っていなければ、

文責/平川武治:
初稿/2010年12月22日:

お元気でいらっしゃるのだろうか?
写真展をなさる事を友人から聞く。
パリへ発つ前であれば、行かなければならない。

http://event.n0idea.com/post/2399822735/exhibition-yukio-nakagawa-self-portrait

中川先生に出会っていなければとこゝろに想う、
こゝろが病み始めると中川先生に出会っていなければと
痛む、こゝろの箇所へ想いを置く。

コムデギャルソンのショーの後、
小雨降る青山にあったメトロ広場の
H.ムーアの彫刻の前に連れて行ってくださり
解り易い言葉で素直にこゝろに、
丁度その日の小雨が染み込むように
お話下さった幾つかの
とてつもなく大きい言葉と言葉の断片。

僕たちしか居ない都会の忘れられた空間に
染み込む言霊は
ぼくのこゝろは深く贅沢な風穴が明く。

中野新町へ初めてお伺いした時の
アパートの空間が今も僕の基本空間。
美意識に必要なものだけがあればいい。
少し前に無くなられた半田さまのご礼拝と
土門さんの写真、志功さんの板画、
花器になるのを待っているようなオブジェ群
半田さまのお写真。

富山から送られて来た幾箱かの
チューリップの花首だけが詰った段ボール。
先生に取っては
こゝろ激しい真こゝろの詰まり箱。

恐れを知らぬ、未熟さは
いつの間にか、
その僕もチューリップの華をむしり始める。
ある響きに素直に引き込まれる
それ迄砂漠の上を歩いていたというより、
彷徨っていた僕の、
足下の砂漠に湿りが染み込む
言葉の響きと共に、
湿りが染み込む,先生の。

あのアパートの階段際迄
わざわざお送りくださったお姿は
僕に取っての忘れられない
中川先生のもう一つのお姿。
あのお姿が以後の僕の湿りになる。

やさしさとは、
はげしさ。

限りがあった時間があるとすれば、
その時間の底は何処迄も続く
底なし沼のような静寂さと
覗く僕のこゝろのエコー。

いつも中川先生の作品に接すると
聞こえ、帰ってくるおこゝろの華霊
この華霊は、
ご一緒にむしったチューリップの華触り。

ありがとうございます。

どうにか生かされています僕
籠り生きています。
好奇心に染み込むように
馬鹿だけど、馬鹿でない生き方の味が
染み込み始めたからです。

どうか、どうか、お長生きをなさってください。

かわらぬ激しさの優しさの
おこゝろのさまが
拝見出来ますように
狂気の湿りが響くまで。

どうか、ご健康でお長生きをなさってください。

相安相忘。
合掌。

初稿/2010年12月22日:

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