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"The LEPLI" ARCHIVES-53/ 『モードを語るとは,モードを評論するとは?』—参。

文責/平川武治:
初稿/2011年9月 6日:
 
 モードを語る前に、”象徴の貧困”としてのモード化社会。
『我々の今日的社会はコントロール社会(管理される社会)と言う
調整社会であり、この様な社会に於いては
バランサーとしての感覚的な武器が必要不可欠である。』
ーJeremy Rifkinはこれを『文化資本主義』と論じた。
 参照/「アクセスの時代—Age of Access」
渡辺康雄訳;集英社刊/01年発行: 
 
 例えば、以前読んだ本に、
このような一文もあった。
『ハイパーインダストリアル時代には、
感受性は執拗なマーケティング戦略攻撃に晒されているが、
その感受性こそが今、紛れもなく起っているあらゆる種類の
戦いの争点となっていると言う事。
 その戦いの武器はテクノロジーであり、
被害を受けるのは個々のそして、それぞれの集団
つまり、異文化/異民族の特異性であり、
今や”文化資本主義”の下、我々の消費社会は
”象徴の貧困”が果てしなく広がるに至っていると言うこと。
 例えば、武器としてのオーディオヴィジュアルやデジタルと言った
バーチャルな感覚に関わる技術をコントロールする事が問題なのであり
そして、その技術のコントーロールを通じて、
魂とそれが住む身体の意識と無意識の時間までをも
コントロールしようとの企てが始る。
 それは”流れ/フロー”をコントロールする事で
”意識と生”の時間を調整する事なのである。』*
 参考/*“DELA MISERE SYMBOLIQUE 1. L'epoque hyperindustrielle"
By Bernard STIEGLER EDITIONS GALIEE,04/Paris.
 
 そして、世界は確実にある一つの流れの方向へ導かれている。
世界規模で最近、実施された
地上波の”デジタル化変換”の目的の一つもこの範疇である。
インターネットを介したTVとPCの統合により、
明日の『テレヴィジョン』端末は『テレアクション』端末へと変革する。
 そこでは、文化資本主義の下に文化産業が産業全般
そして、今後の情報社会の基幹産業となる。
 映画+TV+ゲーム+音楽+スポーツ+ショッピング+金融+賭博etc,.
=”テレアクション”
 
 世界はこの21世紀になって以来、
文化資本主義の下、文化産業をビジネス構造化するための”文化価値”と
感覚的武器の一つである芸術の価値即ち、”美-美意識”の
“価値判断”の唯一統合化に依って、
”特異なモノが特殊なモノに”変えられてしまう。

 そして、国際銀行家たちの最終戦略は中国貨幣、元の決断によって今後、
”世界統一貨幣”計画の秒読み段階へと流れ込むだろう。
 彼らたちにとって変わらぬ世界とは、
コントロール社会(管理される社会)が
”金融—価値観—武器”の新たな調整戦略によって
より高度な技術による、
コントロール社会(管理される社会)へと進化,革新してゆく事。
 これが今後の、世界の”グローバリゼーション”の本意本質である。
 
 こうして”未来”を読んだ場合、
ファッションの世界は“象徴の貧困”が表層化されるだけであろう。
そこに“表層のボキャブラリィー”がより、フォーカスされ、
”特異な文化が特殊な世界に”変えられてしまう。

 例えば、ファッションに於ける“象徴の貧困”とは、
ラグジュアリィ—の世界は、
”金メッキなヴァニティ”な世界でしかなく、
“流行/トレンド”とはフアスト-ファッションである。
調和のためのはずの創造性は“キッチュ”へと流れる。
 救われる、
唯一の”身体の意識”と”無意識の時間”のための”武器”は
“過去”の使い方である。
 この過去とは、
“共有したノスタルジア”の不連続な連続における集合体として甦る。
ここでの価値は、
”未来のイメージ”ではなく、”過去へのイメージ”であり、
それ以上に共有し得る
”エピソード”のヴィジュアル化と、“コスチューム”化が
”ハイパーインダストリアル社会”の新たな”武器”だ。
 象徴が貧困化すればするほど、
嘗ての、”カッコ良さ”がノスタルジー化され,
美化され、語り続けたい”エピソード”に変換される。
 
 ここにも、『”成熟”を拒否し始めた世代』の表層が見える。
このような時代観を自らの”形態言語”の環境としたとき、
モードを語る人たちは何を語れば良いのか?
『誰が』『いつ』『誰に向けて』『何のため』
それらを作ったのかという事を
どのような”立ち居場所”で、どのような”眼差し”で、
どのような”ボケブラリィー”で、
どのような”未来”へ向けて語られるのだろうか?

 次回はこれらをもう少し、具体的にまとめてみましょう。

文責/平川武治。
秋への誘い月は恥ずかしさの半月/平成二十三年九月七日早朝。

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