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"The LEPLI" ARCHIVES-84/ 「コムデギャルソンが凄い!」の根拠とは?

文責/平川武治。
初稿/2012年10月20日。

 ◯日本では、デザイナーも、メディアもそして、ファッション学生たちも
「コムデギャルソンが凄い!」を連発する。
では、この“CdG凄い”の川久保玲の今後は?を妄想してみよう。

 例えば,多くのファッションビクティムが一応に口にし、
この世界を解ったふりしている
あの、「CdG凄い!」の川久保玲の今後は?を妄想してみよう。

 どのように彼女の持ち得た嘗ての”夢”の世界から新たな”夢”へ、
どのように完結為さるのだろうか?
 立ち続けて来た自分の立ち居場所を動かず、
“特意性”豊かな創作に励み,
富も,地位も名声も関係性も全てを、
スタイリストを辞めて、好きなファッションの作り手世界へ、
友人3人と始めたブランドの当時の夢は
もう既に総て、手中に為さっているのだ。

 この43年間の彼女の継続とは,
持ち得た、”夢”次なる,新たな”夢”へ,
彼女も又,自分が持ち得た世界観を、
”教養とスキルと経験と技術と関係性”を意識し、
それらが自分にしかない武器である事に気ずき、
自分の望むバランス観で調和し、昇華させるために,
全ては、”理性と努力と勤勉と責任感と決断力”。
 それに、この人の極めて明解な性格である,”潔さ”を持って、
もう一つ、”教養ある強引な上手な、お金の使い方”で
”創作と経営”をバランス有る調和力を身に付け持ち得た、
彼女の、”200%の自我”を
ここ迄集約,集中し継続して来た結果なのであろう。
 
 では,そんな川久保玲のこれからの”夢”、
若しくは、それに変わるブランド継続の大きなモチベーションとは
何なのだろうか?
 僕の結論は以前にも書いた事があるが,
川久保玲という独りの人間が持ち得た
“人間のがんばり”であろう。
 彼女にはこの“人間のがんばり”である持ち得た責任感の強さと、
とてつもない決断力と潔さのバランスで
これらが依然,カオス状態でエネルギィイ源になっている。
 此れに、僕は彼女の人間としての深さそのスケールを
他に、”見られない凄さ”として感じ、リスペクトするのだ。

 この、CdG規模のインデペンデントなデザイナーブランドでは
多分、日本一のファッションビジネスを展開しているだろう。
 世界レベルでも、’09年の統計では、
既に世界で19位のメゾンブランドだった。(”Xerfi700”より,)
 よく並び称される”イッセイやヨウジ”にはこのがんばりが少ない。
この単純な理由は残念だが,”男性デザイナーだから”だろう。
 
 彼女の”人間のがんばり”には三つの寄与があり、
此れが彼女の”夢”への最後のモチベーションであり真の立派さである。
 一つは、此れだけのビジネスを行う事による
日本のファッション産業界への寄与である。
 素材やプリントの開発,デザイン性や生産工程への
無数なる感性と技術の調和による産業寄与。
 そして、それらは99%は国内生産品(小物革製品を除けば,)であり、
使っている素材も多分、全てが国産製品であるという迄の
産業寄与を行って現在がある。
従って、イタリー製とか中国製という世界はこのブランドには無い。
 例えば,海外デザイナーたちも、あのP.スミスブランドの嘗ては,
その全てが自国,英国素材を使ってのブランドビジネスだ。
 二つ目は、彼女の世界が好きで買って着てくれる消費者たちの欲望へ
”満足度や喜びや安心感や豊かさ”を与えているという寄与。
 もう一つは、その結果によって,共に働いてくれている仲間即ち,
600人と言われている社員たちとその家族たちの生活保証という
現実への責任ある寄与である。

 この“人間のがんばり”というエネルギイにはその最終着点は無く、
”カオス”であり,在るのは独りの人間の死でしか無い。
 従って多分、本人は当然であろうが、
独りの人間としてどのように与えられた生を
自分の世界観の内なる立ち居場所で全うするか。
 
 そのためには以前と変わらぬ自分自身の世界観を”調和”させる事。
その立ち居場所で、
彼女にとってはそれが日常性となってしまっているであろう,
“200%”の自我の世界へ、
変わらぬ”特意性”を感じる迄の創作活動を続ける、
努力と忍耐の日々が無事に繰り返される、
その継続そのものが、今の彼女の”夢”であろう。

 この“夢”とは三つの寄与、
「産業のため,社会のため,生活者のため」にという
自由なる生き方を選んだ人間たちが求めなければならない、
為さなければならない
”夢”の最高度なる、最終段階であろう。
 従って,”CdG,川久保玲”は人間本来が持つべき当たり前の
崇高なるレベルに迄達してしまっている希有な
そして,とても幸せな人である。

 「努力するとは?,何に努力するか?」
それは持ち得た自分の自我の成就に対するために
為さなければならない、責任感と誠実さによる
諸行為の”不連続な連続”へであろう。
 従って,可能であるならば,
可能にするだけの勇気と決断があるならば,
持ち得た”自我”は人より多く持つ方が良い。

 ◯おわりに/ 
 先ず,この様な時代性と借金多き僕たちの母国である。
この国のためにみなさんの世界観をデザインに落とし込み,
好きなファッションの世界で、ファッション産業に寄与する事
そして,どのように社会にコミットするか,
デザイナーの役割であるかを
認識してから大いに、デザイナーぶって下さい。
 
『そのためにはデザイナーという立ち居場所に居る者は
何を”夢の根幹”にして行けば良いか?
自分の持った夢のために、
最後は健全なるビジネスの継続である。
 自分の作った世界観あるものが
自分以外の人たちに買われて使ってもらえる事の
嬉しさと幸せさを思い,
それを使った人たちが少しはこゝろが豊かになり,
しあわせ感や喜びや優越感や安心を持って下さる。
 彼らたちの生活が豊かになる。』

 多くの若いデザイナーが気がつかなければならないことは、
この当たり前さである。
 僕は以前から、この当たり前さを
デザイナーのこゝろの有り様として、
"May I help you?"
が必要だと言い続けて来た。

 これが,日本のファッションデザインの世界に欠如している
意識とこゝろの有り様でしょう。
 自分の世界観とは,自分が学びデシプリンをし,
持ち得た、”教養とスキルと経験と技術と関係性”の
バランス有る”調和”を言うのである。
 ただ,人と違った特殊性を見せびらかすのではない。
このレベルは所詮、現代では誰にでも可能なる
”ガキのはしゃぎ”行為でしかない。

文責/平川武治。
初稿/2012年10月20日。


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