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組織は戦略に従う

ジョブ型人事とDX人材の話はここ数年ずっと人事コンサルの業界にバズワード的について回っている。

かく言う私もここ数年は日本の大企業のジョブ型人事導入支援や大手テクノロジー企業のDX人材育成の仕事ばかりしている。

特にジョブ型人事に関するプロジェクトを進める際に出てくるのが、この「組織は戦略に従う」と「戦略は組織に従う」という言葉だ。

前者はアルフレッド・チャンドラーの同名著書から有名になった言葉であり、後者はアンゾフの言葉として有名になった。

(余談だが、今になってそれぞれの本を読んでみると、アンゾフは、チャンドラーの言う「組織は戦略に従う」というのを前提にした上で、戦略が組織に落とし込まれる中で調整機能的に「戦略は組織に従う」と述べていると感じる。両方がバランス良く働くべきだという論とも感じる。しかしジョブ型の議論の中では二局論的に語られているように感じる)

チャンドラーは事業部制の例示を進める中でこの言葉を持ち出した訳だけれど、今のジョブ型の議論もこの話とは切っても切り離せないと感じる。

日本企業の支援をしていると、遅れている会社であればあるほど「戦略は組織に従う」だけが横行していて、現有戦力から戦略を紡ぎ出すことしかしなくなっている。職能主義に浸り切った弊害ともいえるし腰掛けシニア層が増えきった中での思考停止にも思える。

しかし日本企業でも本当に考えている人事担当の方と議論すると、ここに対する意識は相当高い。

なので、私はプロジェクトを進める際にあえてこの「組織は戦略に従う」と「戦略は組織に従う」の議論を持ちかけてみることにしている。

十中八九ちゃんとした問題意識を持っている人事担当の方ならこの話題にビビットに反応して自社の人事の問題点を語ってくれる。逆に問題意識が高くないとほとんど意見が出ない。

問題意識を持っている方は、その議論から事業部門起点での戦略立案とそれに必要なポジションの設計について自社がどのように行なっているのか、その際に、それを支援するためのHRBPやマネージドサービスがどうなっているのか、一連の流れの中でどこに問題があるのかを大体押さえている。

逆に「戦略は組織に従う」しか横行していない企業では、得てして想いを語れないのである。

今後の企業の質は、事業部門の人材力もさることながらコーポレート部門の人材の質に大きく左右されるように感じる。

その中で、企業変革を進める上での一つの踏み絵として「組織は戦略に従う」と「戦略は組織に従う」の議論があるのではないかと感じる今日この頃である。

今更感もあるけれど読み返してみると古典のビジネス書にも気づきがあるので是非参考に!


ジョブ型人事なら元上司であるマーサーの白井正人さんのこの本も是非


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