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おばあちゃんは勘で会話している

祖父母ともに元気の極みを行っているし、年金貰い得な人生を謳歌している。おばあちゃんに関してはいまだに煮しめなどハイクオリティな家庭料理を作り続けており味も絶品であり、おじいさんも相変わらず畑へ通い、自給自足な農作物作成に暇がない。

あまりにも活動的過ぎるし晩酌時には老人にしては狂ったように飲酒も止まらない。父親が放つ「多分こっちが先死ぬから後よろしく」というデッドジョークは毎年定番である。しかしそんな元気ばあちゃんも五感のうち聴覚だけは完全にガタがきていた。

手帳がもらえるレベルで耳が聞こえていないそうであるが、そんな素ぶりを見せずにベラベラと語りかげてくる。こちらもあまりにもフランク過ぎる会話の開始に「聴こえてんじゃねえか?」と返答してみるが、やはり会話の齟齬が発生するので機能性は失われているのだろう。

特におじいさんとの会話はマジで2人とも別の思い出会話発動していることもあり、いつでもアンジャッシュが成立している。両者古の思い出を凄まじく記憶しているという点では90越えにしては優秀過ぎるが、コミュニケーションの一機能が失われたというだけでなんかギリギリ会話が成り立っている。

ホリエモンがAIについて持論を語る動画で「人間なんて実はそんな真面目に情報を交換し合うような会話してない」と言っていたが、まさにそのリアルケースを毎年実家に帰るたびに体感している。コミュニケーションの本質とは会話の内容や音を発生することすらでもなく、顔の表情の交換である。表情や身振り手振りでニュアンスを表現できれば音声情報さえ無くても会話など充分成立可能である。

一応フリップ式のホワイトボードが常備され、フリップ大喜利が日常になっている実家みたいな感じになっている。しかしその内容は大喜利ではなくおばあさんに対する確実な情報伝達である。伝言板としての機能を使いフリップ越しに会話するのはタイムラグに少しディスコミュニケーション感発生してしまうが、そんな特殊な情報処理している家庭もなんかカッコいいじゃないか。

自分は孫という常にヘラヘラして飯美味い!という存在であるためコミュニケーションに難は感じて居ないが、細かいニュアンスをこちら側から伝えるのはフリップ使ったり大変だろなと思う。内容なんて真贋問わず酒が入ってるのもあって笑顔で首を縦に振るか横に振るかで全部逃げ切れるというのはやはり孫に許される特権である。

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