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カルディアのエウメネスさん

2年に一回そろそろですかね…とヒストリエの存在を思い出し、新刊が出る度に読み返しおもろ!と実感するイベントが11巻まで続いていたが、最新刊から4年経った今も12巻目は発売されない。一応去年の夏にストックは貯まり単行本作業に入り休載となっているがそろそろペース的にもレッドゾーンに突入している気がする。レイリの人というカードは安心材料なものの、やっぱり全部岩明氏で読みたい。

史実があるのでネタバレもクソもないけど、もうマケドニアとエウメネスの末路をなんとなくであるが調べてしまった。この漫画は実は連載に追いつき、マケドニア史及びアレクサンドロス史を理解してからが本番である。漫画→史実→漫画と読み返す事により、ストーリーの構造の巧みさに改めて膝を打つ。

マケドニア視点で言えばアレクサンドロスの遠征に次ぐ遠征の結果であるスーパー覇権国家っぷりと、亡き後のオールスター戦であるディアドコイこそハイライトになるであろうが、書記官を主人公に据えている本作は何処が落とし所になるのかも含めて予想が付かない。一応カロンとの再会でカルディア篇は気持ちよくオチがついているが、何処まで射程距離を持つのか。ペルシア帝国陣営だってまだ居るし、あの一巻の海洋研究所なんて全然回収される気配もない。

エウメネスは史実ではパフラゴニアの太守となり、地理的一致が見られるボアの村に凱旋するまではなんとなく読めるが、ディアドコイでアンティゴノスと最期対立するというのはどう決着していくのだろうか。アンティゴノスは作中ではフィリッポスの偽名としてしか登場しておらず、史実視点からみた時のミスリードとして「実はフィリッポス2世でした!」とややこしく作用しており、結末を理解してるからこそあの将棋の如く譲位して、本当にアンティゴノスさんとして転生するんだろなとは予想されている。

へファイスティオンもアレクサンドロスの二重人格設定でこの王家は更なるややこしさを抱えている。史実を調べるとイッソスの戦い後の見間違えエピソードや男色関係にあったという歴史からの逆算しての設定であったと理解できるが、パウサニウスみたいなそっくりさんまで出てきてどうカタルシスをもたらしてくれるのかはもう分からない。この漫画は史実をフリにして必修しているからこその設定を持っており、パラレルな側面として史実との交わりを予感させる鮮度を保ち続けているのが凄い。

こうやって構想が全て決まってから走り出しているであろう漫画はやっぱおもろいけど、走り切れるかどうかが1番キモである。流石に12巻は来年出てくれる事を祈る。(新刊発売のお馴染みである「今月のアフタヌーンで続きが読める!」がなんだか切ない)

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