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「サーカス団の舞台裏」

注意 この文章は眉に唾をつけて読んでくださいませ。
コンチワ、シブタニです。
今回ご紹介するのは、18世紀のドイツ画家ルートヴィヒ・クナウスが描いた『舞台裏』という絵画です。

なんの舞台裏かといいますと、左端の棒を持って綱渡りをしている男からも分かるように、サーカス団の舞台裏です。
次の演目が近いらしく、黒人の団員がカーテンをまくって「そろそろ出番だよ!」とばかりに呼びかけております。舞台の華やかさとは裏腹に、散乱した食器や小道具、干された衣装は生活感がありますね。

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ちらりと見える客席の人々の服装や、ストーブで暖をとる団員たちの様子から、真冬ではないもののそこそこ寒い季節であろうと推測できます。出番待ちの女の団員も、ブランケットをかぶって寒さを凌いでいます。

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まだ幼い男の子と女の子の団員も、やや寂しそうな表情でストーブに手をかざしています。ワンちゃんたちの顔つきもどこか寂しげです。

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なかでも中央に描かれた道化師の男は、すべてを諦めきったようななんとも切ない表情を見せています。白塗りの顔で分かりづらいけど、シワの感じからして40過ぎのおっさんでしょうかね。まだ生まれてまもない赤子を抱え、哺乳瓶でミルクを与えています。

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がしかし、団員たちのしょんぼりとした表情とは対照的に、左端の男女だけは何やら楽しそうに話し込んでおります。
男はそこそこ年配のようですが、ひとりだけサーカスの衣装は着ておらず、洒落たコートにシルクハット、葉巻をくわえて上品な傘まで持っております。おそらくこのサーカス団のオーナーとか団長とか、そういうエラい立場の人なんでしょう。
女の団員は、年増というほどではないけれど、刻まれたほうれい線からそれほど若い女ではない。20代後半の中年女といったところでしょうか。

さて、ここからは完全に憶測ですが、ピエロの抱いている赤子の母親がこの中年女で、父親はピエロの男、そしてこのオーナーと中年女の親密な様子から推して不倫関係にあるのでしょう。
つまり、文句の言えない立場の道化師が、女房を寝取られて途方に暮れている図ではないかと思うのですよね。

そんな妄想をして、この哀愁漂うピエロの男を眺めていると、なかなか味わい深いものがあります。
ま、題名以外にとくに絵画の詳細は出てこないので、本当はまったく違う理由で途方に暮れているのかも知れませんがね。(了)

作者=ルートヴィヒ・クナウス(1829-1910)ドイツ
題名=舞台裏(1880)

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