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【フィールドノート】取手滞在3~4日目|2024.8.18-19|阿部健一

8/18(日)

都内の仕事が朝から夜まで立て込み、台風も接近していたためこの日までは都内で過ごしていた。
仕事が休みだった8月18日(日)は日中にプレイバックシアターのWSを受けた(このことは別途書くかも)。WSから帰宅して荷物を用意したり自宅でないと返せないメールの返事などを済ませたら取手に向かった。

本当はもう少し早く着く予定だったけれどいろんなことがずれ込み、パンパンに荷物の詰まったIKEAの一番大きな青いバッグを背負った状態で22時過ぎに取手駅に着く電車に乗る。日曜のこの時間、常磐線は日暮里〜松戸あたりまでは座れないほど混雑していた。半分くらいは外国の方だっただろうか。
取手駅から井野団地への最終バスは22時なのでバスという選択肢はない。歩きかタクシーか。駅前では男女の若者たちが楽しそうにだべっていた。団地にもビバにもいない年齢層。この荷物を抱えて坂を上り下りすることで失われる体力を考え、タクシーで団地に向かう。
「井野団地まで」
「どこ? 団地のどこですか?」
「とりあえずショッピングセンターまで」
都内では減りつつある、古のタクシーというかんじがした。
23時くらいの団地は虫の声しか聞こえない。

部屋に着いて平井さんと1週間ぶりにお会いする。つい30分前くらいに帰ってきたということだった。都内の100円ショップで買ったせっけんを置くトレイとかタオルかけなどを増設し、シャワーを浴びたらコインランドリーに向かってみた。ケイヨーD2の駐車場に24時間営業のものがあると教えてもらったので自転車に乗ってそこを目指す。

満月。団地以上に高い建物がないこともあって団地をよく照らしていた。走りながら、サンセルフホテルで夜に浮かべられた「夜の太陽」のことを思い出す。都内でのくらし以上にここでは太陽が登った沈んだ、月が出たということが印象的に感じられる。空の広さと、光を受ける団地の面の広さだろうか。

6分くらいでケイヨーD2のコインランドリーに到着するが、一番小さな洗濯機は埋まっていた。よく考えたら当たり前なのだけど、このあたりのランドリーはどこも大量洗濯やふとんの洗濯、あるいは大型乾燥機を売りにしている。家ではできないボリュームのことができますよということが売りとなっているので、一人分の衣類を洗うための6kg程度の小型洗濯機がとても少ない。都内とは全然事情が違う。かといって1000円以上出して20kgの超大型洗濯機を回すのも避けたい。
一台ずつ料金などを確認していたら、あちこちに見慣れないカメムシがいた。薄い茶色で、ちょっとスマートなかたちをしている。よくみると壁にも天井にもガラス戸にも、あらゆるところにものすごくたくさんいる。単体の虫はそこまで苦手じゃないけれど群れになると話が違う。大量のカメムシといっしょに、いつ取りにくるのかわからない洗濯物の主を待つのは厳しいと思って店を出た。近所にあるもう一軒にも立ち寄ったけれどそこは0時閉店だったので断念。そのランドリーもガラス戸にはカメムシが殺到していた。洗濯物をもったまま帰宅。

8/19(月)

起床して着替えたら昨晩空振りだったランドリーへ。幸い小型のものが空いていたのと、カメムシはみんなどこかに消えていた。田んぼに帰っていったのだろうか。
隣のローソンで朝食を食べながら洗濯が終わるのを待つ。作業着姿の男性が多く出入りしていた。そういえば都内よりも取手のコンビニなどでは外国人スタッフをあまり見かけない。

団地からケイヨーD2へ抜ける道の途中に小規模な田んぼがある。ここの横を通るとき、ふわっと田んぼの匂いが香る。あれはなんの匂いなんだろう。何かがほっこりと発酵しているような匂い。

都内で12時から仕事があり、10時42分の電車に乗ればちょうどいいということだった。少し余裕を見て10時25分くらいに自転車に乗って向かう。途中いこいーのの前を通ってみたら、すでに何人も年配の方が集まってきていた。
駐輪場に停めて電車に乗り東京湾に面した職場に無事辿り着く。1.5時間の道のり。

*  *  *

22時に退勤。職場近くの飲食店で軽く夕食を食べたら22時30分。おのずと取手駅に戻ってくるのは0時近くになり、井野団地には0時過ぎに到着した。まだたった一日だけれどなんてハードコアな通勤なんだ。
「都内に通いやすい郊外」という言い方を何度も聞いてきたけれど、決して楽じゃない。駅から遠い場合はなおさら。車があったり、ここに家を購入していたらまた心持ちが違うのだと思うけれどそれにしても楽じゃない。これは都内出身の「わかっていないやつ」が抱く感慨なのだろうか。取手と東京の距離については取手のどこなのか、東京のどこなのかということにも大きく左右される。そのあたりの解像度を上げながらTAPを見ていけるといいのかもしれない。

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