見出し画像

20歳の夏休み全部使って日本一周してみた(10:釧路〜帯広)

第10日目 

現在、道東の上空には低気圧が接近しており、その悪天候に伴って、鉄道が次々と運休を余儀なくされていきます。僕は今日の朝の時点で釧路にいて、何もなければ今日は根室まで行ってレンタサイクルで風蓮湖や春国岱の観光をしたいと考えていたのですが、残念ながら行くことは叶いませんでした。朝起きて運休情報を見るや否や、色々絶望しましたね。

画像1

ということで今日は暇です。東釧路から1駅移動して釧路駅の待合室でゴロゴロしてます。僕の後ろの列に座っている大学生観光客2人組も、今日1日暇じゃね的なことを話してました。そうなのです。暇なのです。

とりあえず根室に行って釧路に帰ってくる頃には帯広方面への列車は運休していますので、根室は諦めるとして釧路で何かをしましょう。外は雨風が激しく、傘は持ってきてないので、駅周辺で楽しめるものといえば、和商市場の勝手丼くらいしかありません。ということで、先程快活クラブでトーストとフライドポテトを食べましたが、さらにご飯を食べて早すぎる昼飯としましょう(8時半)。

駅から歩いて徒歩2分くらいのところにある和商市場というところでは「勝手丼」といって白米の入った茶碗を持って市場を練り歩き、好きな魚を載せてオリジナル海鮮丼が作ることができます。サーモン、まぐろ、甘エビと割と安い具を選んで質よりも量を重視したのですが、800円ほどかかりました。

画像2

行きたいところに行けないなら、食べたいものを食べて観光を楽しむしかありません。駅構内にある土産屋で標津羊羹を買って、この後乗車する根室本線で食べようと思います。駅の待合室で10時11分の帯広行きの普通列車を待ちます。おそらくこの列車が釧路から帯広へ行く普通列車の本日の終電でしょう。

画像3

みどりの窓口では今日中に札幌まで行きたい夫婦が駅員に今日中には辿り着けないことを宣告され絶望の淵に立たされていましたが、高速バスを使えばいけるんじゃないかなぁと思いました。

釧路から乗車し、標津羊羹を食べ終わると激しい眠りに襲われ、いつものように眠りにつきました。途中、寝ぼけ眼でとても楽しそうな駅名を通過したらしく、駅名標の写真は残っていますが、半分記憶がないです。次に目が覚めたのは厚内という駅の手前で、荒れ狂う太平洋の荒波の様子を車窓から観察することができました。

画像4

帯広という街は現在進行形で人口の規模を拡大させており、北海道の中でも指折りの大都市の一つです。旭川駅と同様、街を分断しないようにと高架の駅舎となっていることや駅前のバスロータリーの規模も旭川ととてもよく似ています。

本来であれば到着した13時過ぎという時間は根室で自転車を漕いでる時間でしたので、帯広についても相変わらず暇なのですが、元々翌日以降と予定していた幸福駅というところであれば今からでも行けることが判明し、急いでそのための準備を整えました。

まずは、流石にこの雨の中移動するのは岩手の龍泉洞でもう懲り懲りですので、どうにかして傘を入手しようということになりまして、予約していたゲストハウスに電話を入れて、荷物の預かりと傘の貸し出しサービスの有無を確認しました。

確認したところどちらも可能ということで、駅から徒歩5分くらいのところにあるゲストハウスまで、濡れながら(ここはしょうがない)歩きます。

普通の人であれば、旅行先で天気が大荒れで土砂降りであれば、観光は諦めてホテルでゴロゴロという洗濯になると思いますが、僕は何かと動いてないと気が済まない人なので、雨だろうがなんだろうが動き回ります。

ということで帯広駅の観光案内所でバスの案内をしてもらうために質問をしに行きました。受付していたおじさんは、僕が経験した中で一番ロード時間の長いおじさんでした。今まで色んなところで路線バスの案内を受けてきましたが、大体の場合すらすらとこのバス停からこのバスに乗れとすぐに返答が返ってきます。このおじさんの場合、質問してから1分ほど身の回りの時刻表をかき集め、僕が質問した路線バスを探し出すロード時間があり、何秒かの間、沈黙の時間がありました。最初は質問すべき場所を間違えたのかと思いましたが、返ってきた返答は割としっかりしていて、何分のに乗って、帰ってくるバスは何分で、そこのターミナルで割引チケットが買えるなど非常に具体的に答えてくださいました。

今から行く幸福駅というのは、1987年に廃止された国鉄時代の広尾線という路線の廃駅であり、その後、駅名の縁起の良さから観光開発され、一躍有名になった場所です。元々、「サツナイ」という地名の当て字に「幸震」が使われていましたが、後に福井からの集団移住してきた人々によって「幸福」に変更されたそうです。最初から「幸せ」という意味ではなかったというのが面白いところです。写真は幸福経由の広尾行きのバスです。帯広からは「広尾」や「自由ヶ丘」といった、東京人からしたら聞き慣れた地名を行き先にしたバスが出発しています。

画像5

ここは恋人の聖地に認定されていまして、今までも10ヶ所以上恋人の聖地に訪れたことがありますが、ここ以上に居心地の悪かった場所はありません。なにしろその地名がどストレートに幸せを訴えかけてきますから。

画像6

こんな土砂降りの中誰も来ないだろと鷹を括っていましたが、車で訪れるカップルが2、3組いまして、「愛国から幸福へ」の切符を購入して、愛を誓うメッセージを記入し、駅舎に貼り付けるという恒例行事に勤しんでおりました。その賜物がこの駅舎を生み出しました。見てください、このおびたしい数の切符を。駅舎に入って、内部から駅舎の壁を見つけることが困難になる程です。

画像7

画像8

画像9

気温も13℃と、とても寒く、冷たい風と雨が体に打ちつけてきますから、二重の意味で体が震え上がります。そんなこんなしていると帰りのバスの時間が近づいてきましたので、さっさと帰ることにします。「幸福バス待合室」というのがありました。単に「幸福」というバス停の待合室であることを示しているだけなのですが、幸福というのは待っていても訪れないと思いますので、自ら掴みに行く姿勢を大事にしたいと思いました。まあ、バスは時間になればやってくるんですけど。

画像10

帯広駅に戻ってからは、大人しくゲストハウスに戻って2段ベットの下でゴロゴロしながら洗濯したりシャワー入ったりして明日に備えます。

予定が前倒しになっているので、明日はまさか行けるとは思っていなかった、あの場所に行ってみたいと思います。毎日楽しみが途絶えません。これだけ毎日が一瞬で過ぎ去ってしまうようであれば、日本一周というのは本当にすぐ終わってしまう旅であるかのように思います。

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?