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東洋の哲学まとめ

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東洋の哲学(主に仏教、禅、儒家、老荘、神道)について書いた記事が増えて来たのでまとめました。哲学以外のも混じってるかも。
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#雑記

「有事の際」に仏教が果たす役割とは

ロシアがウクライナに侵攻しました。私自身はウクライナ人の友人がいるわけでもないし、仕事やプライベートでウクライナと直接的な関わりはありません。でもウクライナの人たちが理不尽に日常を奪われ、大切な人とも離ればなれの辛い生活を余儀なくされている様子は心が痛みます。そして「戦争」という悲劇をおっ始めたロシアのリーダーに怒りを覚えます。 ところで昨日(3/11)は11年前に東日本大震災が起きた日です。私は会社のオフィスにいたので当日も帰宅困難者になりかけましたが、数時間かけて歩き、

西洋思想と東洋思想を比較した②

前回からだいぶ時間が空いてしまいました🙄 「オンラインイベントで東洋思想の話をしてきた件」の続きです。 イベントの概要はこんな感じでした↓ ●持ち時間:10分 (質疑応答は別) ●テーマ:自由 (自分が興味のあることについて好きなように語る) ●形式:オンライン (Zoom) ●参加者:主に20代~30代のビジネスパーソン ●想定視聴者数:アクティブメンバーを考えると5~6名と予想 で、色々と考えあぐねた結果、今回は以下の3点に絞って『対比』という形で話すことにしたの

2021年は痛みを伴って新しいものを生む年(辛丑)

明けましておめでとうございます🌅 昨年に続き、今年も干支ネタからいきます。 今年の干支は 辛丑(しんちゅう)です。 「辛丑」の話をする前に、ちょっとめんどくさい事を書いてみます。 「今年の干支は何でしょう?」 という問いに 「丑年!」 と答えるのは、半分正解です。 というのも、干支(えと)というのは 「十干(じっかん)」という十進法の暦の数え方と、「十二支」という十二進法の暦の数え方を組み合わせてできているからです。 表にするとこんな感じ。↓↓ ちなみ

「と」から「の」の関係に変われば世界はもっとよくなる

先日、とある雑誌で、日本を代表する禅学者「鈴木大拙」の特集が組まれていたので読んだところ、思いがけずとってもステキな考え方を見つけました。 それは より多くの人が「と」から「の」の関係に変わっていけば、世界はより良くなる。 という考えです。 どうですか?ステキですよね! ・・・ってなると思うので、順を追って説明します。 そもそも鈴木大拙って誰? 鈴木大拙(本名:鈴木 貞太郎) 1870-1966 歴史上の日本人の中で、海外に最も大きな思想的影響を与えたのは間違

「青春」はレバーで、「四季」だと思ったら「五季」だった件

「青春」っていいですよね。 何がいいって、響きが。 だって「青い春」ですからね。 日清カップヌードルの「アオハルかよ。」シリーズのCM、流れるとついつい見入ってしまいます😅 。。。 いやいやいや。 おかしくないですか?🤔 何で「青」なのかと。 だって「春」は新緑の季節ですよ! 花が咲き誇り萌芽がはじまる、パステルカラーな季節です。 そんな季節に「青」をあてるってのは何かおかしくないですかね? まぁ日本では「緑色の信号」のことを「青信号」って言いますけど・

アイデンティティの問題①

『あなたは何屋さんですか?』 と聞かれたら、どう答えますか? 自営業やフリーランスをやっているなら、自分の生業そのままに「パン屋です」とか「コンサル屋です」とか言えるかもしれません。会社勤めの方なら「技術屋です」「企画屋です」という答え方ができると思います。 私はこの「○○屋」という表現が好きです。なぜなら「○○屋」という表現を使うと、その人の「肩書き」や「所属」といったノイズを吹き飛ばして、その人の「アイデンティティ」(の一部)を端的に知ることができるからです。 こ

今年は継続&更新の年だそうです

明けましておめでとうございます。 今年も変わらず投稿を続けたいと思います。 さて、新年最初は干支の話題です。 2020年はネズミ年ですね🐭 ネズミ年といっても、ただのネズミ年ではありません。 2020年は「庚子(こうし/かのえね)」というネズミ年です。 「庚」って何? 「庚」は、訓読みでは「かのえ」と読みます。 「かのえ」は杵(きね)を両手で持っている様子をあらわす象形文字です。 ようするに「餅つき」をしているわけです。 (厳密にいえば、つくのはもち米だけでなく穀

「復活できる人」と「復活できない人」の違いはどこ?

最近、有名芸能人の不祥事が相次いでいますね🤔 沢尻エリカ、チュートリアル徳井、宮迫博之、ピエール瀧、新井浩文、山口メンバー・・・etc 反社会的勢力と関わったり、違法薬物を使用したり、一般人に暴行を加えたり、脱税したり……今年一年だけでも結構な数があった気がします。彼らは「芸能界」という熾烈な競争世界を勝ち抜き、努力と才能で今のポジションを築いた結果、テレビや映画に出演して生計を立てられるようになったわけで、それが並大抵のことではないというのは芸能界に縁がない私たちでも何

「初心忘れるべからず」の「初心」の意味

今日は「能」の話です☺ 「初心忘れるべからず」という言葉を聞いたことがあると思います。この「初心」の意味について、皆さんはどのように捉えていますか? 「”初心”とは、自分が何かを始めよう!と決意したときの気持ちや、常に立ち返るべき原点や志のことである」 こんな風に捉えている方が多いのではないでしょうか。 でも、よくよく調べてみるとちょっと違いました。っていうかだいぶ違いました😂今回はそんなお話です。 そもそも、この「初心忘れるべからず」という言葉を残したのがいったい

【わびさび】のはなし

※タイトル変えました 今日は1か月遅れの天皇陛下の即位パレードが開催される日ですね。 だからというわけでもないのですが、今回は「日本のひねくれた文化」について書いてみます。 日本の伝統文化といえば?突然ですが、もし皆さんが外国の方にこんな質問をされたら、皆さんならどう答えますか? 「日本ノ伝統文化トハ、ドウイウモノデスカ?」 おそらく多くの方が挙げる回答としては 茶の湯、生け花、歌舞伎、俳句、日本庭園、日本料理… あたりではないでしょうか。 外国人が興味をもつ

「天皇」&「日本」のスタート地点

来週の火曜日(10月22日)は「即位礼正殿の儀」ですね。国民の祝日です。 巷では、先日猛威をふるった台風19号について「天皇陛下がまだ即位してないから被害が大きかった」という説も出てるようです。(結界!?) 結界の真偽はさておき、日本という国は本当に「天皇」という存在が根本にある国なんだなーと感じさせられます。そういえば日本国憲法の第一条にも、以下のように書いてありますしね。 「天皇は、日本国の象徴であり日本国民統合の象徴であって、この地位は、主権の在する日本国民の総意

「禅」と「科学」を比べてみた

普段私が使っている手帳には、最後の方に「人から聞いた話や講義メモなどを書き留めておくスペース」が何ページあるのですが、先日そのページをパラパラめくって見返していたところ、以前どこかの講義でメモしたと思われる内容がちょうど最近読み終えた本の内容とリンクして整理できたので紹介します。 禅と科学の対比メモしてあったのは「禅」と「科学」を対比した(と思われる)以下のような表を走り書きしたものでした。 何の講義のメモだったかわかりませんでしたが、日本を代表する禅学者である鈴木大拙さ

ニッポンの勤労観② 禅編

前回に続き、「日本人の勤労観の原点」、つまり日本人にとって「はたらく」ことって元々どういうことだったの?を紹介します。 前回は、稲作を通じた「神様との共創」という考え方が、日本人の勤労観の原点にあったと紹介しました。日常的におこなう仕事のひとつひとつが、この世界をカタチづくる「神様」に繋がっている。だから毎日の仕事を丁寧にやるんだという、世界でも他に類を見ない崇高な精神性です。これは日本古来の土着信仰である「神道」の世界観からくるものですが、一方で日本の外から取り込んだ世界

ニッポンの勤労観① 田んぼ編

みなさん、「田んぼ」って好きですか? 水田 © 菊池市 クリエイティブ・コモンズ・ライセンス(表示4.0 国際) 私は好きです。特に初夏の水田が😀 子供の頃、私は静岡の片田舎に住んでいたのですが、実家の周りは田んぼだらけでした。(別にコメの生産量が盛んな地域でもないんですけど…) で、毎年6月頃になると田んぼに水が張られて辺り一面が水田になるのですが、水田にはアメンボやオタマジャクシがたくさんいたりして、遊ぶのに事欠きませんでした。夜になると水田から大量の蛙の鳴き声が