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【雑記】アイデアの値付け

 最近思うこと。

 アイデアの値付けって本当に難しい。

 風呂で思いついたアイデアが値千金の価値を生むことがある一方、1ヶ月かけて全く何も出てこないこともあります。一瞬で閃いたように見えるアイデアも、何十年の蓄積や経験に立脚したものであるならば、それをどう評価すべきなのでしょうか。

 会社員クリエイターだった頃はあまりそれを意識することはなくて。
 何故かといえば、業務時間中に閃いたアイデアだろうが、プライベートの時間に思いついたアイデアだろうが、均して1年で年俸分の価値を生み出していれば良いと考えることができたからです。ロングスパンでの評価が可能な環境であれば、細かい単位での労働時間と成果の関係を無視することができました。

 しかし、フリーランスになるとそういうわけにはいきません。数週間~数ヶ月くらいの短期スパンの仕事の成果に対して、具体的な価格を見積もる必要があります。シナリオ何万文字、とか、ゲームのある部分の仕様書一式、といった具体的な納品物ベースならそんなに悩まず、執筆分量×文字単価や、実労働時間×人月単価などで計算が可能ですが、ゲームのコンセプトやキャッチコピー、基本設計のようなアイデアは、文字単価や人月単価といった評価に馴染みません。一瞬の閃きもあれば、辿り着くまでに膨大な資料や時間を必要とする場合もあるからです。

 正式なオファーを受ける前に迂闊にもクライアントの前で会心のアイデアを開陳してしまったら、仕事はもらえずアイデアだけ使われてしまった、なんてことはよく聞く話ですが、例えばその場合、仮にアイデア買取料を請求するとしたらいくらになるのか、という問題があります。

 文字単価や人月単価で計算したら、恐らく打ち合わせに出張った交通費にも満たないでしょう。では、仮にそれに値段をつけるとして「俺のアイデアは100円です」なのか「10万円です」なのか、はたまた「1億円です」と主張できるのか。正直それは、どれもありえます。
 アイデアの値段は、『何でも鑑定団』に登場する、曰く付きの壺の値段によく似ています。パッと見はそっくりでも、100円のものもあれば、1億円のものもある。しかもその真贋の判定は、壺の価値を鑑定するよりも遥かに難しいのです。

 とはいえ、どこかで折り合いをつけないと僕らはアイデアの仕事で食べていくことができませんので、費やした自分のカロリーや、プロジェクトの予算感を鑑みて、なんとなく「こんなもんですかね?」と、提案することになります。企画に対する評価というのはクライアントに拠っても相場観がまちまちで、相手との信頼関係にも依存しますので、これがとても難しい。要するに「未来の自分の脳みそにこれだけベットしてくださいよ」と見えない成果物をぶらさげて提案するわけなので、いくらでも卑屈になれるし、いくらでも自信過剰にもなれる。プロジェクトの予算感から外れてしまえば、当然仕事は取れないことになります。

 こうした、自身のアイデアに値付けする上での「良い塩梅」をフリーランスの先輩方は、どうやって決めているのでしょうか。コツがあればぜひ、こっそりご教授願いたいです。もちろん、アイデア料はご相談の上、生ビール等でお支払いいたします(笑)

サポートいただけましたら、ありがたく創作の糧にさせていただきます。