恥とは
まぁどうでもいいんですけど。
彼女とロックバンドのライブに行ったことがありました。
まぁそんなことはどうでもいいんですけど、その後一泊して先に彼女が地元に帰るって言うので、お見送りをして1人で珈琲屋さんでタバコを吸ってた時のことです。
暇つぶしに買った神田松之丞についての本を読みながら、おしっこを我慢してたわけです。
当然本には集中出来ないし、それでも我慢するのが癖なのでずっと我慢してたんです。
ぼんやり暇を潰していると、隣に座っていた客が帰ったのが目に入る。そこに改めて視線をやると手袋が落ちていたんですね。
帰った客が落としたんだろうと思い、渡しに行こうか迷っていたんです。
こんな大都会で良いことをする。まぁ忘れ物を渡しに行くだけだから、爪楊枝の先くらいの小さい良いことなんですけど、それがなんとなく恥ずかしいというか、偽善者ぶっているように感じたんですね。
でも一応、僕自身免許証を落として困った経験が近々であったので、一応渡しに席を立ったんですね。一応。
肩を叩くと、くたびれた老人、それも何となく裕福ではないような、弱々しい様相の男性が振り返るんですね。
「これ落としましたか?」と落ちていた手袋を見せると、それも弱々しく「違います」と返ってくる。
なんだか恥ずかしくて。良いことだと思っていたことが誰の得にもならない、なんだかわからない奇天烈な行動みたいに思えて、席に戻って10秒後くらいに思い出した時にゾワゾワしてしまうような感覚になったわけです。
そういえば昔にこんなことあったなと思ったんです。しかも特上の、霜降りの、とっておきの、恥ずかしくてゾワゾワしてお尻の穴まで痒くなるような出来事があったなと思ったんです。
でもそれは全く思い出せないし、ゾワゾワした事も忘れてたわけです。
恥とはなんなのか。
大昔に人前で話すのが恥ずかしくて、モジモジしていた自分を変えたくて恥を捨てる事で無理やり変えた事もありましたが、やっぱり恥はどうせ忘れる一時の感情なわけで、どうせ忘れるなら恥になる事も積極的にやれば良いのかなと思いますね。
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