見出し画像

FMが洋楽リスナーの聖地だった時代

今宵の担当のnoriです。

ワタシが音楽を積極的に聴きはじめた中学時代、音楽ソフトのメディアはアナログレコード(当時はそれしかないので敢えてアナログとは言っていなかった)とカセットテープが主流でした。

レコードを何回も聴くと擦り減るなんて貧乏根性で、レコードを再生するのは買った時の一回でその際にカセットに録音して以後はそれを聴くなんてスタイルもありました。ワタシはずっとレコードを再生していましたが。

現在のようにストリーミングサービスは勿論、YouTubeもインターネットもない時代、音楽を聴くにはレコードを買うか借りる(レンタルレコードが始まった頃でした)あるいはテレビかラジオでオンエアされるのを待つしかなかったものです。80年代は小林克也氏の「ベストヒットUSA」、ピーター・バラカン氏の「ポッパーズMTV」、テレビ神奈川の「ファンキートマト」、「ミュージックトマト」、またテレビ埼玉でも(番組名は忘れましたが)洋楽のミュージックビデオをオンエアする番組が始まりました。しかし、当時ビデオデッキを持っていなかったので「良いな!」と思うものがオンエアされてもその時見て聴いて終了でした。

となるとラジオです。SANYOの赤いラジカセを中学生の頃に購入し大学時代まで使ってました。ステレオで録音できるし何度も繰り返し聴ける、またその頃は殆どが録音番組で、今では見かけなくなったFM誌や土曜日夕刊のFMラジオ欄に何日の何時何分頃、誰の何て曲がオンエアされるという情報が詳細に載ってました。なので気になるアーティストや気になる楽曲がオンエアされると分かったら、万難を排してカセットに録音することが可能でした。これが今やすっかり死後となってしまったエアチェックというやつです。

首都圏ではNHK FMとFM東京の2局しかなかった時代、発売されていない海外のアーティストのライブだったり、廃盤で入手困難なマニアックな旧譜もオンエアされていました。そう、当時はメガストアなんてなく過去の音楽はエヴァーグリーンとされている一部の大ヒットしたもののみが在庫、ちょっとでもマニアックになると過去の音楽を入手することが難しかったのです。さらにFMは基本的にイントロに喋りを被せないフルコーラスオンエアするなどの配慮もされ、まさに洋楽ファンの聖地でした。

当時、様々な番組を聴いていたものですが、一番影響を受けたのはNHK FM 「サウンド・ストリート」の火曜日、坂本龍一の担当日でした。
当然YMOファンだったのでYMOや坂本龍一の曲がかかりまくる事を期待して聴き始めたのですが・・・リリースタイミングで紹介程度にかかりはしましたが、かかりまくりはしませんでした。YMOが当時シーンをチェックしていたUKニューウェーヴに始まり、現代音楽、民族音楽までをも網羅してましたが、特に印象深かったのは番組後半に始まった「渋リク」という特集。
「渋いリクエスト」という事なんですが、要はレコード屋で普通に買える程メジャーなエヴァーグリーンではない70年代や60年代の渋いね!という楽曲のリクエスト回でした。
バート・バカラック、トッド・ラングレン、ロバート・ワイアット、アントニオ・カルロス・ジョビン、ビル・エヴァンス、ニック・デカロ、ランディ・ニューマンetc 80年代の中学生が普通にしていたら知ることは出来なかったアーティストをこの番組で知りました。そして彼らのレコードあるいはCDを入手できたのは大学生以降でした。

現在のYouTubeやサブスクのようにいつでも聴けないので、一度エアチェックしたカセットは擦り切れるまで聴いたものです。
やはり音楽好きがちゃんと音楽聴くにはある程度は面倒臭い方が良いというのも、昨今のアナログレコード再評価の一端ではないかと思っています。

今日の一曲:Nick DeCaro / Under the Jamaican Moon (1974 / Blue Thumb)

前述の「渋リク」で中学三年の時にエアチェックし、繰り返し聴きまくった曲。
それから9年後、CDがリイシューされた1992年の発売日に購入しました(笑)

今宵の担当:nori

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?