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タヌキの親子見聞録 ~萩往還編~

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萩往還とは、江戸への参勤交代での御成道として開かれた、日本海に面した萩城下町(萩市)から瀬戸内海の海港・三田尻(防府市)までを結ぶ、全長約53㎞の街道。たぬきの親子による歩破記録。
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タヌキの親子見聞録 ~萩往還編~ 外伝 肆 防府編おかわり

 萩往還完結編である第6弾 鳴滝~英雲荘が、タヌキたちの体力不足のため完璧でなかったので、英雲荘(三田尻御茶屋)周辺を再度散策してみることにした。とりあえずタヌキの親子のバイブルであるルートマップ15ページを参考に、萩往還ができた頃の海岸線沿いにあった「三田尻御舟倉跡」へ行ってみた。  「三田尻御舟倉跡」は防府市記念モデル児童遊園の近くにある。この日は日曜日で、家族連れが園内で遊んだり、ベンチでお弁当を食べたりしていた。弟タヌキもついて早々ターザンロープで遊んでいた。萩往還お

タヌキの親子見聞録 ~萩往還編⑥~ 鳴滝~英雲荘(三田尻御茶屋)

第1章 恐怖の勝坂トンネル  昨日、萩往還第5弾の山口市の瑠璃光寺五重塔から鳴滝のバス停まで歩き、本日は父ダヌキに車で鳴滝バス停付近まで送ってもらい、朝の8時前から防府へ向けて最後となる萩往還第6弾を決行した。第6弾のルートは、鳴滝バス停から防府市英雲荘まで歩く。香山公園前観光案内所でもらったパンフレット「歴史の道 萩往還 ルートマップ」の13ページを見ると、山口市から防府市へ超えるのにトンネル付近を渡るようであったので、どのようにわたるのかインターネットで調べてみた。どう

タヌキの親子見聞録 ~萩往還編⑤~ 瑠璃光寺五重塔~鳴滝

第1章 もう一つのゴールへ  2022年の夏休みから始めた萩往還の旅も、山口市から萩市のルートが完了すると、一段落してしまい、子ダヌキたちにとっては終了した旅となっていた。しかし、親ダヌキたちは正規のルートを知っているため、残りのルートを歩いて、すべての行程を完了させたいとずっと考えていた。暑い夏が終わり、歩くのに最適な秋がやってきたが、母ダヌキの仕事が忙しく、土日祝日を利用して歩くことが難しかった。そうしているうちに寒い冬がやってきた。寒さが苦手なタヌキたちは、冬に萩往還

タヌキの親子見聞録 ~萩往還編~ 外伝 参 藍場川散策

 萩往還第4弾 明木市~唐樋札場跡 の時に、歩くのが精いっぱいで、よく見ることができなかった藍場川を散策してみた。  藍場川とは、18世紀半ば 6代藩主毛利宗広が、参勤の折に岡山城下に立ち寄った際、岡山城下で瀬戸内海に注ぐ吉井川から、城下へ倉安川という大きな溝を掘って水を引き入れ、生活に活用されていたのを真似て、延享元年(1744)、農業用水路程度であったものを川舟が通れるように大きく開削したもので、2.6キロメートルにわたり市内を縫うように流れている。  萩市では、大川(

タヌキの親子見聞録 ~萩往還編~ 外伝 弐 まぼろしの明木まんじゅう

 萩往還を歩くために集めたパンフレットの中に、「明木まんじゅう」について載っていた。調べてみると、「明木まんじゅう」は萩市明木の名物で、自然の素材だけで作られたその味は、毎日食べても飽きないおいしさということだ。これはぜひとも食べてみたいと思った母ダヌキは、一週間後、タヌキ一家によびかけ、「明木まんじゅう」を探すことにした。  「明木まんじゅう」は、なぜ「まぼろし」かというと、めったに売られていないからだ。唯一売られているところは、国道262号「農産加工販売所つつじ」である。

タヌキの親子見聞録 ~萩往還編④~ 明木市~唐樋札場跡

第1章 兄ダヌキ苛立つ  2022年のお盆は、新型コロナ感染症が拡大し、患者数も特に多くなった。タヌキ一家は、普段なら同県内の母ダヌキの実家に泊まりに行くのだが、それさえも控えておいたほうがよいだろうと判断されるぐらい、周りの人々が新型コロナに感染していた。そのため、今年のお盆はやることがない。萩往還第4弾となる、明木市から萩往還の起点である唐樋札場跡のルートを歩くのに絶好の機会であった。しかも、コロナ禍のお盆ということもあって、観光地といえども人がほとんどいないだろうから

タヌキの親子見聞録 ~萩往還編③~ 佐々並市~明木市

第1章 憧れの一升谷の石畳  2022年8月7日日曜日は朝からいい天気であった。タヌキ一家は、父も母も仕事が休みのため、萩往還第3弾となる佐々並市から明木市のルートを本日決行することとした。このルートは、母ダヌキが一番歩きたいと思っていた「一升谷の石畳」がある。香山公園前観光案内所でもらったパンフレット「歴史の道 萩往還 ルートマップ」の3・4ページにも一番大きな写真で載っており、今から歩いた感じがどんなふうかワクワクしている。 朝9時に佐々並市の西岸寺駐車場に降り立つと

タヌキの親子見聞録 ~萩往還編~ 外伝

タヌキの親子見聞録 ~萩往還編②~ 国境の碑~佐々並市

第1章 父ダヌキも応援する  2022年7月29日に萩往還(天花坂口~国境の碑)を歩いたタヌキ親子は、萩往還を攻略すべく、次の機会を虎視眈々と狙っていた。というと、タヌキ一家が全員乗り気だったように思われるだろうが、実際は母ダヌキ一人が、せっかくの夏休みにどこにも行けず、何もしないまま過ごしてはならないと計画を練っていた。しかし前回の旅で痛感したのが、帰り道の辛さである。せっかく目標まで歩き切ったのに、出発点に戻らなければならないというのは、時間的にも体力的にも無駄に思われ

タヌキの親子見聞録 ~萩往還編①~ 天花坂口~国境の碑

第1章 タヌキの親子 萩往還を知る  コロナ禍も3年目に突入した2022年7月。山口市の片隅に住むタヌキの一家は、「今年の夏も何の思い出作りもしないまま過ごしてしまうのか」と、せっかくの夏休みを持て余していた。山口には海も山もあるが、近場の海や山は、昨年の春休み・夏休み・冬休みに行き尽くした感があった。「コロナ禍であって、県外へは出られないが、近場で少し趣向を変えたものを体験させてやりたい」と母ダヌキは考えていた。そんなときに、目にしたのが「歴史の道 萩往還 ルートマップ」