コーチ物語 クライアント20「日本の危機」 第三章 真実とともに その3
羽賀さんのコーチング、それは一見すると優しい口調で私に語りかけるものでもあるけれど、内容としてはとても厳しいものであった。
「では坂口さんが本当に欲しかったもの、それは家族とのゆっくりとした時間ということですね?」
「はい。私は家族を愛しています」
「家族を愛している。だからゆっくりした時間が欲しかったのか。本当にそうなんですね」
ここで羽賀さんはにこりと笑って、語尾を上げて私の目を見る。とても穏やかな表情なのに、「そうなんですね」と質問をされると考え込んでしまう。本当に