コーチ物語 クライアントファイル 8 対決!ファシリテーター その8
そして翌日の朝、一本の電話が私のオフィスに鳴り響いた。
「誰よ、こんな時間に……」
私は眠たい目をこすりながら、ベッドから体を起こした。こんな時間、といいつつも、時計の針は九時を大きく回っていた。今日は何も予定が入っていないので、昨日の夜は一人でビデオを見ながら、ワインをついつい空けてしまったのだ。
「あ、はい……あぁ、楠田さんか」
電話は、私のエージェントである楠田からだった。
「あぁじゃないですよ。もう九時を回っていますよ。また一人で飲み明かしたでしょう。ほんとに」