日本児童精神青年医学会@東大

こんばんは。

今日は職場で勧められて行った初めての学会について。

子どもたちと日々向き合う仕事をしているので、勉強したいと思って参加しました。

1日目に参加したのは、「逆境体験が子どもに与える影響」についてのシンポジウム。

欧米では「ACE study 」と言われる研究も進んでいます。

ACE = Adverse Childhood Experiences 

ACE、逆境体験とはつまり、虐待やネグレクト、家庭の機能不全などの、保護者から与えられる不適切な経験、というふうに言えばいいのかな。

児童相談所や医療機関、大学など様々なところで働いているドクターや心理士の先生方が発表してくださり。

中でも、性的虐待を受けた子の本人Aさんと、性的虐待をした養父、それを見過ごした母、周囲から見守るしかなかった異父弟といったそれぞれの立場の率直な言葉を聞けたことが印象的でした。仮想の事例だとしても、現状を踏まえてのことだと思うと・・

母も養父もAを虐待していた。

母は自分も被虐児だった過去があり、性的虐待を受けた娘に対して娘のほうが悪いと思っていること、なにより自分が大事にされた経験がないあまり、Aが保護され大事にされることが信じられないこと。

養父は性的虐待が身近な家庭で育ち、「嫌なら嫌といえばいいけど、それを言わなかったから、本人も納得していたんだろう」と感じていたとのこと。

「トラウマの連鎖」

その言葉がとても重かった。それが、行為だけでなく、人の認知を大きくゆがませているのだと。

自分自身の治療を拒否しつづける母と、うつ病の診断を受ける養父。

虐待は絶対にしてはいけないけど、そこに至るにはそれなりの理由があってしまう悲しい現実。

Aさんは結局、リストカット、援助交際などなど様々な問題を起こしてしまうことになりますが、保護されているため心理教育を受けていくことになります。

母も養父も、主張はあれこれあるにせよDrの診察を続けていけることになる。

ACEがあると、精神疾患や発達障害様症状のリスクが高まるということ。

仕事で、発達障害か愛着障害か・・・と考えながら所見を書くことが多い日々ですが、の子のトラウマを理解することからすべてが始まるのだと思いました。

専門職でなくても、トラウマが起こると生じるリスクを理解することが大切。

その理解がどんどん広まってほしいなと。

初日から、大変勉強になりました。




男児を子育て中の臨床心理士。公認心理師も受験中。 仕事と家事、子育ての上手な両立に悩む日々。 人の気持ちに敏感になりすぎて疲れてしまう、でも自分の性格でも楽に生きれる生き方模索中。