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【10人目】年下の男の子(23歳から)

 仕事も忙しいし、偶にマッチングアプリで知り合った素敵な男性と会って、友達とのネタにするとかでもいいなって考えてた矢先。可愛らしい年下の男の子とマッチングした。スワイプした時のことはよく覚えている。基本年下は左スワイプなのだが、この子はロン毛で顔も可愛かったから特例だった。

 そのまま電話した。名前は聖(しょう)と言うらしい。有名なブランドのアパレル店員。元カノと別れたばかりだったが、振った側で全く未練が無いとのこと。男の子の別れた後の心境は後から変わるからな、と思いながら早速会う日を決めた。

 それから毎日、寝落ち電話をするようになったが、その可愛らしい印象が変わることはなかった。”早く会いたい” ”なにしてるの?” ”ディズニー行こ” ”一緒に住みたい” 本当に可愛いかった。


 聖と初めて会う日。パッと見た印象は”可愛い”だった。六本木の美術館に行って、新宿に移動して昼からお酒を飲んだ。普段はあまりお酒を飲まないらしく、酔っている様子だった。男性の言う、酔った女の子は可愛いってこんな感じなのかなって思った。

 その後、二件目は聖と私の家の中間点である錦糸町に移動した。移動する途中、聖は手を繋いできた。可愛い。可愛すぎる。一方で初めて聖を男として意識した。

 盛り上がった私たちはカラオケに移動した。私が入れた曲のBGMが流れる個室で、何度もキスをした。
「私、2つも年上だけど付き合う気ある?お金持ってるわけじゃないし、ママ活できないよ。」
『お金目的じゃないよ。元カノも年上だった。付き合いたいと思ってるけど、元カノと別れたばっかりだから、、、』
「そうだったんだ。別れた相手のこと気にするんだね。」
『違うよ、共通の友達が多かったから。元カノの事は全然好きじゃなかった。、、、付き合おう。』

 その日は一緒にホテルに泊まった。私が聖のを少し触っただけで果てていた。可愛かった。2度目も同じだった。3度目で漸く聖と合わさった。最中に聖は私を腕で持ち上げた。男らしさを感じた。

 朝、駅に向かう途中に聖が『早く父親に紹介したい。友達にも紹介したい。元カノは会わせたこと一度もないんだけどね』と言っていた。


 聖は、ほぼ毎日仕事終わりに私の家に来た。来ない日は寝落ち電話をした。毎日、好きと言ってくれた。私の周りにいる男の話を聞いては、落ち込んでいる様子だった。シロが亡くなった後に飼った、猫のクロをよく可愛がってくれた。お気に入りの服に毛がついてもにこにこしていた。

 そのうち気がついたら、聖は1ヶ月以上自分の家に戻っていなかった。私の家には聖の荷物が増えていった。


 夏になって聖の父親と会うことになった。なぜ母親は居ないのかというと、聖の親は既に離婚していたからだ。色々と家庭環境が複雑なようであった。
 一緒に海に行った。聖は、はしゃいで回っていた。聖の父親から結婚する気はあるかと聞かれ、あると答えた。
 その後、聖の祖父母に会い、聖の地元のお祭りに行った。都会の夏祭りは初めてだった。田舎の屋台とはラインナップが違うようだった。

 2ヶ月後には、私の帰省と共に聖も私の地元に来て、私の家族と会った。家族は聖をいい子だと言ったが、父親だけは聖の髪が長いことを気にしているようだった。


 それからも毎日一緒に過ごした。私が前髪の長いロン毛が好きだというと、聖は前髪を伸ばした。
 友達に聖の写真を見せると、みんな口を揃えて美男子だと言った。
 聖はお風呂上がりに「何気にここ拭き忘れるよね」と言って、私の足の甲を拭いてくれた。
 私が元彼の高野さんが居る飲み会に参加するか、しないかで喧嘩した。
 冬には、新しくアオという名の猫を迎えた。
 4人(私と聖、クロとアオ)で毎日一緒に寝たし、私の枕は聖の腕だった。
 聖に寄ってくる女もいたが、聖は常に断っていた。
 聖の休みは不定期だが、月に一度は休みを合わせて外でデートした。


 私の家は、2年の定期借家である。1年半前、この家を出るまでに同棲してくれる彼氏を見つけると決めていたことを思い出した。聖は、元々私が住んでた街を気に入っていたし、私も離れたくなかった。今の家から徒歩10分程度の駅近2LDKに引越した。


 そして現在である。変わらず毎日可愛いと言ってくれるし、仕事の話をよくする、恋人であり、相棒みたいな存在だ。

 次、このシリーズを更新するときは、聖との結婚である事を祈る。

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