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【3人目】共依存(17歳)

 結局、偉王から「お前の膝枕で泣きたい。今までのことは懺悔する。土下座でも何でもする」と言われ、のこのこと戻ってしまった。

 親も学校も芽衣もを裏切る行為であることは理解していたので、言えなかった。

 双方の親はすぐに気がついた。偉王の父は、私の学校の校長宛に、私を寮に監禁するよう手紙を送っていたらしい。その他、私を呼出して”偉王と性交渉しない””万が一妊娠しても偉王側は一切の責任を負わない”という契約書に署名と拇印をさせた。偉王が家に連れ込む形でお邪魔した際、不法侵入者だ、この山姥め、と言ってカメラで写真を撮られた。が、結局私の環境は何も変わらなかった。


 この頃の偉王は、仕事をしながらもダンス等の出演ででクラブに出入りすることが増えていた。私も着いて行った。そこで初めてDJを知った。かっこいい、私もやりたいと思った。
 さっそく、イベントで知り合ったDJに教わることとなった。勿論、偉王には秘密だった。

 この頃から偉王は浮気をするようになった。浮気が判明する度別れたし、お前しかないと言われる度復縁した。


 そして、私個人でもイベントに出入りするようになり、クラブに知り合いが増えた。初めてDJのオファーが来た。これをきっかけに、色んな人と仲良くなり、色んなイベントに出させてもらえることとなった。時には県を超えて、有名なイベント会場でDJすることもあった。
 勿論学校はしっかり通っていた。仲良くしてくれる友達は多くはなかったが居たし、後輩からは何故かDJとしてよく知られていた。

 偉王は、活躍場所を増やしていく私をよく思っていないようだった。ことあるごとに私が出るイベントに来て、復縁して欲しいだとか、俺と一緒に活動して欲しいと言うようになった。正直嫌気がさしていた。

 あるイベントの日、偉王がある女を連れてきた。顔は微妙だけど、胸が大きい女だった。そしてまた私に一緒に活動してくれて言ってきた。偉王の頬をビンタして、首にあったキスマークをつねり、持っていた白葡萄ジュースをかけた。


 ある日、いつものように街を歩いていると、凄くタイプなロン毛の男性がいた。どこかで会った事がある気がして、声をかけた。どうやら初対面だった。名前はヒデと言うらしい。もう30手前で彫師をしていた。連絡先だけ交換して別れたが、ヒデの事が頭から離れられなくなった。

 また、DJ活動をする中で、ごますりに必死になってる人や、態度をころっと変える人を多く見た。そういうのは嫌だなって思ってからDJは辞めた。


 その後、偉王はあの胸の大きい女と付き合って、妊娠した。そして、一緒に東京の歌舞伎町に行ったらしい。お金が尽きて、野宿した結果、子供は居なくなった。薬物を始めたらしい。クラブで共通の知人だった人たちから色々聞いた。
 でも正直、あの時自殺しなかったやつが、私を殺せなかったやつが、薬物なんかしないだろうと思った。

 数年後、薬物で捕まって、胸の大きい女とも別れた。そして、また薬物で捕まったらしい。そして今はホストしてるらしい。正直、あいつの性に合ってるなと思った。

 愛って何だったんだろう。

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