令和6年7月3日最高裁大法廷判決(旧優生保護法事件)
昨日(令和6年7月3日)出された大法廷判決は、戦後13例目の法令違憲判決であり、立法行為の国賠法上の違法性、なにより除斥期間(改正前民法724条後段)の適用といういくつもの論点について画期的な判断を示したものすごい判決でした。
というわけで、さっそくどんな判決だったか、簡単な私なりの評価つきで紹介させてもらいます!
1 事案の概要
令和6年7月3日、旧優生保護法に基づく不妊手術を受けた者を原告とする5つの国家賠償請求事件について、最高裁大法廷判決がなされた(以下、本稿では、令和5(受)1323を「札幌事件」、令和5(オ)1341を「仙台事件」、令和4(受)1411を「東京事件」、令和4(受)1050を「大阪事件」、令和5(受)1319を「兵庫事件」と記載する。)。
昭和27年に改正された旧優生保護法は、一定の対象者(特定の障害等を有する者、配偶者が特定の障害等を有する者、本人又は配偶者の4親等以内の血族関係にある者が特定の障害等を有する者)に対する生殖を不能とする不妊手術を定めていたところ、①本人かつ配偶者の同意を得るもの(同法3条1項)、②都道府県の優生保護審査会の審査によるもの(同法10条)があり、また、精神病などを患う者については③保護義務者の同意によって都道府県優生保護審査会を経てなされるもの(同13条2項)があった(以下、本件規定という。)。
各事件の原告ら(Xら)は、いずれも、本人またはその配偶者が、昭和35年から43年頃にかけて、本件規定に基づく不妊手術をうけたものである。
Xらは、国に対し、本件規定は憲法13条、14条1項に違反しており、本件規定に係る国会議員の立法行為は違法であって、Xらは上記不妊手術が行われたことによって精神的・肉体的苦痛を被ったなどと主張して、平成30から31年にかけて、国家賠償法1条1項に基づく損害賠償を求める訴訟を提起した(本件訴訟)。これに対し、国は、不妊手術が行われてから本件訴訟提起にいたるまで20年を経過し、Xらの請求権が消滅した(改正前民法724条後段)旨を主張した。
2 訴訟の経過
各事件の原審では判断が分かれ、仙台事件で仙台高裁は除斥期間の主張を採用し、原告の請求を棄却したものの、その他の事件では、各高裁は除斥期間の主張を排斥し、原告の請求を一部認容していた。仙台事件ではXらが、その他の事件では国が上告した。
※以下、兵庫事件の最高裁判決を「本判決」と記載する。なお、他の4判決もほぼ同内容である。
3 本判決の要旨
⑴ 本件規定の憲法適合性・国家賠償法上の違法性
「憲法13条は、人格的生存に関わる重要な権利として、自己の意思に反して身体への侵襲を受けない自由を保障しているところ(参照判例省略)、不妊手術は、生殖能力の喪失という重大な結果をもたらす身体への侵襲であるから、不妊手術を受けることを強制することは、上記自由に対する重大な制約に当たる。したがって、正当な理由に基づかずに不妊手術を受けることを強制することは、同条に反し許されないというべきである。」
「これを本件規定についてみると、平成8年改正前の優生保護法1条の規定内容等に照らせば、本件規定の立法目的は、専ら、優生上の見地、すなわち、不良な遺伝形質を淘汰し優良な遺伝形質を保存することによって集団としての国民全体の遺伝的素質を向上させるという見地から、特定の障害等を有する者が不良であるという評価を前提に、その者又はその者と一定の親族関係を有する者に不妊手術を受けさせることによって、同じ疾病や障害を有する子孫が出生することを防止することにあると解される。しかしながら、憲法13条は個人の尊厳と人格の尊重を宣言しているところ、本件規定の立法目的は、特定の障害等を有する者が不良であり、そのような者の出生を防止する必要があるとする点において、立法当時の社会状況をいかに勘案したとしても、正当とはいえないものであることが明らかであり、本件規定は、そのような立法目的の下で特定の個人に対して生殖能力の喪失という重大な犠牲を求める点において、個人の尊厳と人格の尊重の精神に著しく反するものといわざるを得ない。」
「したがって、本件規定により不妊手術を行うことに正当な理由があるとは認められず、本件規定により不妊手術を受けることを強制することは、憲法13条に反し許されないというべきである。なお、本件規定中の優生保護法3条1項1号から3号までの規定は、本人の同意を不妊手術実施の要件としている。しかし、同規定は、本件規定中のその余の規定と同様に、専ら優生上の見地から特定の個人に重大な犠牲を払わせようとするものであり、そのような規定により行われる不妊手術について本人に同意を求めるということ自体が、個人の尊厳と人格の尊重の精神に反し許されないのであって、これに応じてされた同意があることをもって当該不妊手術が強制にわたらないということはできない。」
「憲法14条1項は、法の下の平等を定めており、この規定が、事柄の性質に応じた合理的な根拠に基づくものでない限り、法的な差別的取扱いを禁止する趣旨のものであると解すべきことは、当裁判所の判例とするところである(参照判例省略)。しかるところ、本件規定は、①特定の障害等を有する者、②配偶者が特定の障害等を有する者及び③本人又は配偶者の4親等以内の血族関係にある者が特定の障害等を有する者を不妊手術の対象者と定めているが、上記のとおり、本件規定により不妊手術を行うことに正当な理由があるとは認められないから、上記①から③までの者を本件規定により行われる不妊手術の対象者と定めてそれ以外の者と区別することは、合理的な根拠に基づかない差別的取扱いに当たるものといわざるを得ない。」
「以上によれば、本件規定は、憲法13条及び14条1項に違反するものであったというべきである。そして、以上に述べたところからすれば、本件規定の内容は、国民に憲法上保障されている権利を違法に侵害するものであることが明白であったというべきであるから、本件規定に係る国会議員の立法行為は、国家賠償法1条1項の適用上、違法の評価を受けると解するのが相当である(参照判例省略)。」
⑵ 改正前民法724条後段の適用の可否
「不法行為をめぐる法律関係の速やかな確定を意図する改正前民法724条の趣旨に照らせば、同条後段の規定は、不法行為によって発生した損害賠償請求権の除斥期間を定めたものであり、同請求権は、除斥期間の経過により法律上当然に消滅するものと解するのが相当である。もっとも、このことから更に進んで、裁判所は当事者の主張がなくても除斥期間の経過により上記請求権が消滅したと判断すべきであり、除斥期間の主張が信義則違反又は権利濫用である旨の主張は主張自体失当であるという平成元年判決の示した法理を維持した場合には、不法行為をめぐる法律関係の速やかな確定という同条の上記趣旨を踏まえても、本件のような事案において、著しく正義・公平の理念に反し、到底容認することのできない結果をもたらすことになりかねない。同条の上記趣旨に照らして除斥期間の主張が信義則違反又は権利濫用とされる場合は極めて限定されると解されるものの、そのような場合があることを否定することは相当でないというべきである。」
「そして、このような見地に立って検討すれば、裁判所が除斥期間の経過により上記請求権が消滅したと判断するには当事者の主張がなければならないと解すべきであり、上記請求権が除斥期間の経過により消滅したものとすることが著しく正義・公平の理念に反し、到底容認することができない場合には、裁判所は、除斥期間の主張が信義則に反し又は権利の濫用として許されないと判断することができると解するのが相当である。これと異なる趣旨をいう平成元年判決その他の当裁判所の判例は、いずれも変更すべきである。」
「本件の事実関係の下において本件請求権が除斥期間の経過により消滅したものとすることは、著しく正義・公平の理念に反し、到底容認することができない。したがって、第1審原告らの本件請求権の行使に対して上告人が除斥期間の主張をすることは、信義則に反し、権利の濫用として許されないというべきである。」
4 各論点の検討
⑴ 本件規定の憲法13条適合性
本判決の引用する令和5年10月25日最高裁大法廷決定は、性同一性障害の性別取り扱いの特例法に関する事件で「身体への侵襲を受けない自由」憲法13条で保障されることを初めて述べた判決であり、本判決でも令和5年決定の「身体への侵襲を受けない自由」に関する三段階審査が履践されている点で注目される。
旧優生保護法では、およそ本人の同意を問題にせず、あるいは、本人の自由な意思を担保する仕組みをもたない点において、本判決は令和5年決定以上に、いっそう直接的な制約として論じていると思われる。
本判決は、規範として、「正当な理由に基づかずに不妊手術を受けることを強制することは、同条に反し許されないというべきである」とする。そして、本件規定の目的がもっぱら優生思想にあって、特定の遺伝的障害を有する者を「不良」と評価し、その遺伝的形質を淘汰するものであると認定し、「立法当時の社会状況をいかに勘案したとしても、正当とはいえないものであることが明らか」とまで述べ、目的審査のみでおよそ手段の適合性を論じることもせず違憲を導いている。このような論証は、優生思想に対しては昭和23年当時においてすらおよそ合理性を認めない点で徹底している。これは、令和5年決定においては特例法の制定時から制約の必要性が低減したとした論証とは一線を画する。
本判決は、令和5年決定の「身体への侵襲を受けない自由」における三段階審査の論証手法を確立しつつ、他方で目的審査のみでも違憲になることを示した点で先例的な意義を有すると思われる。
⑵ 本件規定の憲法14条適合性
本判決は、本件規定において手術の対象者とされた者とその他の者との区別を問題としており、憲法13条との関係で、区別する目的自体に正当な理由がないことが論証されているため、憲法14条との関係では、具体的なあてはめを行わずに、「合理的根拠」がないと認定している。
⑶ 国家賠償法上の違法性
本判決では、在外国民選挙権事件(平成17年9月14日最高裁大法廷判決)を引用し、本件規定にかかる立法行為が「本件規定の内容は、国民に憲法上保障されている権利を違法に侵害するものであることが明白であったというべきであるから」国賠法上違法であるとしている。
本判決は、「以上に述べたところからすれば」と簡単な理由付けにより、明白性を肯定するが、目的自体を違憲としていることからすると、立法行為の時点においてすでに国賠法上も違法であったという評価をしたものと言える。
⑷ 改正前民法724条後段の適用の可否
ア 問題の所在
本判決では、旧優生保護法の立法という国の不法行為が認定されており、優生保護法に基づく不妊手術によって、Xらに精神的・肉体的損害が発生しているため、損害賠償請求権の発生時期は、不妊手術の時期である昭和35年から43年頃である。そして、本件の訴訟提起時が平成30年から31年にかけてであるから、国賠法4条の準用する改正前民法724条後段の適用により、債権の発生から20年の除斥期間を経過したものとして請求権が消滅するかどうかが問題になる。
イ 判例・民法改正の状況
平成元年12月21日最高裁判決では、「民法七二四条後段の規定は、不法行為によって発生した損害賠償請求権の除斥期間を定めたもの」と解され、その性質として、当事者の主張・援用がなくても、期間の経過により法律上当然に請求権が消滅する旨が判示された。そのように解した理由について、平成元年判決は、「同条がその前段で三年の短期の 時効について規定し、更に同条後段で二〇年の長期の時効を規定していると解することは、不法行為をめぐる法律関係の速やかな確定を意図する同条の規定の趣旨に沿わず、むしろ同条前段の三年の時効は損害及び加害者の認識という被害者側の主観的な事情によってその完成が左右されるが、同条後段の二〇年の期間は被害者側の認識のいかんを問わず一定の時の経過によって法律関係を確定させるため請求権の存続期間を画一的に定めたものと解するのが相当であるから」と述べる。
これに対し、あまりに画一的な除斥期間の運用が被害者にとって酷な結果を生じさせる場合には、平成元年判決の建前を維持しつつも、時効停止の規定を用いて一定の配慮が図られてきた。不法行為の被害者が心神喪失の常況に陥ったのに後見人が就かなかった事例において、「後見人に就職した者がその時から六箇月内に右損害賠償請求権を行使したなど特段の事情があるときは、民法一五八条の法意に照らし、同法七二四条後段の効果は生じないもの」とした(平成10年6月12日最高裁判決民集52巻4号1087頁、平成10年判決)。また、不法行為の被害者が死亡し、加害者がその死体を隠匿したため、被害者の相続人が被害者死亡の事実を知ることができなかった事例において、「相続人が確定しないまま上記殺害の時から20年が経過した場合において,その後相続人が確定した時から6か月内に相続人が上記殺害に係る不法行為に基づく損害賠償請求権を行使したなど特段の事情があるときは,民法160条の法意に照らし,同法724条後段の効果は生じないもの」とされた(平成21年4月28日最高裁判決民集63巻4号853頁、平成21年判決)。
しかし、判例による柔軟化にも限界があり、例えば平成21年判決では、被害者死亡の事実が明らかになって、相続人が確定してから6か月以内に訴訟を提起することが必要であるとなるし、平成10年判決でも後見人の就任から6か月以内の訴訟提起が不可欠であった。
このような状況を受けて、平成29年の民法改正によって、除斥期間ではなく長期消滅時効であることが明記されるに至っている(現行民法724条2号)。
イ 判例変更の要否
本判決では、除斥期間の建前を維持しつつも、請求権の消滅には①除斥期間が経過したという当事者の主張が必要であること、②除斥期間の主張が信義則に反し又は権利の濫用として許されないと判断することができる場合がありえること、を認める限度で、平成元年判決、その他の判例を変更した。
そもそも、原審(兵庫事件の大阪高裁)は、(本判決の要約によると、)「除斥期間の経過による効果を認めるのが著しく正義・公平の理念に反する特段の事情がある場合には、条理にもかなうよう、時効停止の規定(同法158条から160条まで)の法意等に照らして、例外的に上記効果を制限できると解すべきであるところ、本件請求権については、上記特段の事情があるものとして、本件規定が憲法の規定に違反していることを上告人が認めた時又は本件規定が憲法の規定に違反していることが最高裁判所の判決により確定した時のいずれか早い時から6か月を経過するまでの間は、上記効果が生じないというべきである」と判示している。
平成10年判決、平成21年判決からは、①請求権の行使を妨げる事情があり、②除斥期間の経過後も請求権を行使させなければ正義に反する特段の事情があり、かつ③請求権行使を妨げる事情が消滅してから6か月以内の権利行使にかぎり、時効停止の規定の法意を借りるものとする傾向が読み取れる。本判決の原審もこの傾向にそった規範を定立したものといえる。
しかし、このような原審の判断は、「本件規定が憲法の規定に違反していることを上告人が認めた時又は本件規定が憲法の規定に違反していることが最高裁判所の判決により確定した時」を請求権行使を妨げる事情の消滅ととらえることになるが、今まさに争われている紛争そのものの終結が同時争われている除斥期間の適用を排除する要件となってしまい、ほとんど背理であろう。
本件のように国が積極的に違法でない旨を主張し、損害賠償をしてこなかった事案においては、請求権行使を妨げる事情の消滅を類型的に観念することが極めて困難であり、時効停止の法意を借りることによる救済は、理論的にむずかしかったものと思われる。
したがって、除斥期間の建前を維持するためには、本判決のように事例判断として一定の基準を示すことなく、本件を救済する限度での判例変更は必要であったものと考える。
ウ 本判決の射程・意義
本判決はあくまで事例判断として一般的基準が示されておらず、また本判決中にも「除斥期間の主張が信義則違反又は権利濫用とされる場合は極めて限定されると解される」と指摘しており、本判決の射程は極めて限定的である。
本件が「極めて限定」的場合であったことを基礎づける事情として、本判決は以下の事情を挙げている。①除斥期間の立法趣旨が必ずしも妥当しないこと、すなわちa立法行為による違法な権利侵害が明白であって国を保護する必要性がなく、他方でb立法行為である以上、加害者側である国の立証活動が困難になるというものではないこと。②被害者の救済の必要性が極めて高いこと、すなわちc国家の政策として積極的に権利侵害行為を行い、その結果生じた被害は重大であって、国の責任は重いこと、d被害者による権利行使が極めて困難であったこと(本件規定の削除以前は、国家の立法行為自体が憲法適合性の推測を与えるし、本件規定の削除後も、国は不妊手術が適法であったという姿勢を取り続けてきた)、e本件規定の削除後、国の被害補償に関する立法不作為が違法に近いレベルであったこと。
これらの事情をすべてすべて満たすような事例は容易には想定しがたいから、実質的にも本判決の射程は極めて限定的であろうと考えるべきである。したがって、本判決の先例的意義は、除斥期間の経過による権利消滅に対して、平成10年判決、平成21年判決のように時効停止の法意を借りることができない場合でも、信義則・権利濫用の主張が極めて限定的場合には許されることが示された点にあるといえる。
6 参考:旧優生保護法条文(昭和27年改正後のもの)
第一章 総則
(この法律の目的)
第一条 この法律は、優生上の見地から不良な子孫の出生を防止するとともに、母性
の生命健康を保護することを目的とする。
(定義)
第二条 この法律で優生手術とは、生殖腺を除去することなしに、生殖を不能にする
手術で命令をもつて定めるものをいう。
(2)この法律で人工妊娠中絶とは、胎児が、母体外において、生命を保続するこ
とのできない時期に、人工的に、胎児及びその附属物を母体外に排出すること
をいう。
第二章 優生手術
(医師の認定による優生手術)
第三条 医師は、左の各号の一に該当する者に対して、本人の同意並びに配偶者(届
出をしないが事実上婚姻関係と同様な事情にある者を含む。以下同じ。)がある
ときはその同意を得て、優生手術を行うことができる。但し、未成年者、精神病
者又は精神薄弱者については、この限りでない。
一 本人若しくは配偶者が遺伝性精神病質、遺伝性身体疾患若しくは遺伝性奇型
を有し、又は配偶者が精神病若しくは精神薄弱を有しているもの
二 本人又は配偶者の四親等以内の血族関係にある者が、遺伝性精神病、遺伝性
精神薄弱、遺伝性精神病質、遺伝性身体疾患又は遺伝性畸形を有しているも
の
三 本人又は配偶者が、癩疾患に罹り、且つ子孫にこれが伝染する虞れのあるも
の
四 妊娠又は分娩が、母体の生命に危険を及ぼす虞れのあるもの
五 現に数人の子を有し、且つ、分娩ごとに、母体の健康度を著しく低下する虞
れのあるもの
(2)前項第四号及び第五号に掲げる場合には、その配偶者についても同項の規定
による優生手術を行うことができる。
(3)第一項の同意は、配偶者が知れないとき又はその意思を表示することができ
ないときは本人の同意だけで足りる。
(審査を要件とする優生手術の申請)
第四条 医師は、診断の結果、別表に掲げる疾患に罹つていることを確認した場合に
おいて、その者に対し、その疾患の遺伝を防止するため優生手術を行うことが公
益上必要であると認めるときは、都道府県優生保護審査会に優生手術を行うこと
の適否に関する審査を申請しなければならない。
(優生手術の審査)
第五条 都道府県優生保護審査会は、前条の規定による申請を受けたときは、優生手
術を受くべき者にその旨を通知するとともに、同条に規定する要件を具えている
かどうかを審査の上、優生手術を行うことの適否を決定して、その結果を、申請
者及び優生手術を受くべき者に通知する。
(2)都道府県優生保護審査会は、優生手術を行うことが適当である旨の決定をし
たときは、申請者及び関係者の意見をきいて、その手術を行うべき医師を指定
し、申請者、優生手術を受くべき者及び当該医師に、これを通知する。
第六条ないし第九条の二まで省略
(優生手術の実施)
第十条 優生手術を行うことが適当である旨の決定に異議がないとき又はその決定若
しくこれに関する判決が確定したときは、第五条第二項の医師が、優生手術を行
う。
第十一条 省略
(精神病者等に対する優生手術)
第十二条 医師は、別表第一号又は第二号に掲げる遺伝性のもの以外の精神病又は精
神薄弱に罹つている者について、精神保健法(昭和二十五年法律第百二十三号)
第二十条(後見人、配偶者、親権を行う者又は扶養義務者が保護義務者となる場
合)又は同法第二十一条(市町村長が保護義務者となる場合)に規定する保護義
務者の同意があつた場合には、都道府県優生保護審査会に優生手術を行うことの
適否に関する審査を申請することができる。
第十三条 都道府県優生保護審査会は、前条の規定による申請を受けたときは、本人
が同条に規定する精神病又は精神薄弱に罹つているかどうか及び優生手術を行う
ことが本人保護のために必要であるかどうかを審査の上、優生手術を行うことの
適否を決定して、その結果を、申請者及び前条の同意者に通知する。
(2)医師は、前項の規定により優生手術を行うことが適当である旨の決定があつ
たときは、優生手術を行うことができる。
第十四条以下 省略
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