アメリカで車を運転する

Fさんは2度目のペーパーテストに合格して、1週間後に路上試験を受けることになりました。彼女は日本の車の免許を持っていないので自動車教習を受けるのですが予約が4時間分しか取れませんでした。そのくらいで路上試験に合格するとはとても思えません。そこで私が助手席に乗って学校の駐車場で練習しました。
 
本当はアメリカの免許を持って2年以上の人しか助手席に乗って教える事はできないと言われていたのですが、背に腹は代えられない。ちょっと男勝りのFさんはスピードを出しすぎる傾向があり、急ハンドルや急ブレーキがよくあります。そこに気をつけるように言い、新米教官と新米生徒の付け焼き刃的運転練習のおかげで(?)路上試験では無事1発で合格しました。(ホッ)
 
日本で10年以上運転していた私もアメリカの運転免許は取りましたが、マニュアル車しか運転したことがなかったのでオートマ車はシフトをPの状態じゃないとエンジンがかからないことも知りませんでした。ウィンカー操作も逆です。そして最大の問題は日本と違い車は右側通行です。まっすぐ走っているときはいいのですが、曲がる時にどちらの車線に入ればいいのか迷います。
 
ある日、私が運転していて一般道路からフリーウェイに入ろうとするとき助手席にいたFさんが「あっ」と言いました。瞬時に間違ったと思ってしまい逆車線に入ってしまいました。フリーウェイなので次の出口まで逆走しかありません。幸い車が少なく、次の出口まで逆走しましたが、通り過ぎる車が「逆だよ〜」と笑顔で向きを表す指サインをしてくれ無事に近くの出口からフリーウェイを降りることができましたが、冷や汗ものでした。
 
またこんなこともありました。ESLの授業の昼休みに娘達を迎えに帰宅しなければならない時のことです。学校からいつものようにフリーウェイに乗って、アパートに帰ろうとしたのですが、入口を間違ってしまいました。そこで再度フリーウェイに乗ろうとしたのですが、それが自宅と逆の北方向への入り口でした。日本でほとんど高速道路走ったことがなく、フリーウェイの逆方向に行くためにはフリーウェイの下をくぐって反対方向に入口から入らなければならないのに、パニクっている私はそれを思いつかず、目に入った入口からまた同じ北(North)行きの入口から乗ってしまったのです。
 
運転し始めて3週間ぐらいのことです。フリーウェイは次の出口まで行かないと途中で引き返すこともできません。フリーウェイを降りて、このまま行くとカナダのバンクーバーに行ってしまいます。それを数度繰り返しました。やっとフリーウェイを降りて一般道路を使うことを思いつき、フリーウェイを降りました。そこは見慣れない住宅地でしたが、道を迷いながらも南行きの表示を頼りにどうにか帰宅できました。
 
車のナビも携帯電話もない時代です。娘達に遅くなると連絡することもできませんでした。幸い、何も知らない彼女らは心配した様子もなく待っていてくれました。そんなわけで私は今でもアメリカのフリーウェイは嫌いです。

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