【小説】初めての留守番
七月某日、雨宮は留守番を任された。新社屋の一階である。その都会的なオフィスはまだ稼働していない。引っ越しではなく、第二第三のオフィスとして、会社が二階建てのビルを買い上げた。内装のリフォームはまず一階、そして今は二階の工事中である。留守番を兼ねて常駐している社員が、その日は休みを取った為、初めて雨宮の出番になった。ワイシャツの袖をまくりあげて、おかしいと思いながらもサッカーのキーパーグローブを持参したのは、上司からのメールで“明日のGKは頼んだぞ”と言われたからだ。
「君は