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旅をする動物

やっぱりやめておけばよかったと思う瞬間と
やっぱり行ってみてよかったと思う瞬間がある。

それくらい人の心って複雑だなぁと感じる。
その複雑さをこうして言葉にして消化しようとすることも
どうしようもなく浅はかで不思議だなぁとも思う。

文庫本をリュックに入れてお守りがわりに持ち歩いていた。
『旅をする本/星野道夫』
展示会場でラッパーの友人に勧められて買ったもの。

序文最初のパンチライン。

”人間の気持ちとは可笑しいものですね。
どうしようもなく些細な日常に左右されている一方で、
風の感触や初夏の気配で、こんなにも豊かになれるのですから。
人の心は、深くて、そして不思議なほど浅いのだと思います。
きっと、その浅さで、人は生きてゆけるのでしょう。”

『旅をする木/星野道夫』

星野道夫は学生時代、たまたま神田町の洋書専門店で見つけたアラスカの写真集に惹き込まれ、アラスカ シシュマレフの村長に手紙を出す。
そんな経緯で写真家としてアラスカに住み始めて15年経った頃のエッセイ。

個人的に星野道夫の写真でも最も好きな1枚がある。
カリブー(トナカイ)の群が水辺を渡っている写真。
寒さは、南へ向かうカリブーのその足を早めるらしい。
力強く大らかで美しい。
そんなカリブーのような存在になりたい。

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