【備忘録】4/22 渋谷セカンドステージ『渋谷再発見2022』〜 古くて新しいこの街から、文化を生み出す公開会議 〜
■ 2022年の渋谷が持つ最大の武器はなにか?
▷起伏と放射(麻生鴨)
・放射状の中心としての地の利。高低差によって自在に視点を変えられる。
・位置エネルギーが中心に集約される。
・街のあり方と地形とメディア環境の変化が連動している。どんどん坂の下に中心が移動している。(南後)
▷概念としてのストリート(草野絵美)
・影響力の起点が『egg』のグラビアからSNSに移行して、最盛期の渋谷系を再構築する流れがある。
・『シブヤ』が概念として中に浮いていて、世界中からアクセス可能になっている。
▷ “ 倫理観 ” が最先端(田中元子)
・若い頃の渋谷には、親に言いたくない思い出ばかりある。どうせわかってもらえないから。それが渋谷の武器。
▷バーチャル素材(南後由和)
・コロナ禍で特に明白になった。リオ五輪の閉会式で扱われたようにスクランブル交差点が日本の都市の象徴になっている。最近ではミヤシタパークが映えスポット。
・バーチャルスペースでも渋谷をモデルにしたものが多数出現している。ARやVRと実空間が掛け合わされた時にどうなるか?
▷中間性 いろいろな意味で(宇野常寛)
ex.丸の内と六本木の間(旧日本と新日本の間)
中央線沿線と六本木の間(20世紀サブカル文化と現代IT文化の間)
【質疑応答】
Q:なぜ世界中の人々はスクランブル交差点が大好きなのか?(麻生)
A:周囲から見下ろせるからではないか?(南後)
道が日常的に広場化している祝祭の場(南後)
サイバーパンクの象徴として扱われたからではないか?(草野)
ボトムアップの全体主義的な「日本らしさ」を象徴している(宇野)
Q:スクランブル交差点が観光アイコン(or SNS投稿の素材)としてしか機能しないのはなぜか?ストリートの機能がバーチャルに奪われてしまったのではないか?(宇野)
A:自社メンバーも多国籍で一度も会ったことがない人も大勢いる。ネット上で生じたカルチャーを再現するために活動している。(草野)
熱や肉体が作るものが、今ではネットを経由して広がっていく時代になっている。また、他の地域とは違った最先端の感覚が、行政も含めて渋谷にはある(麻生)
優しさやバランス感覚を基にしたカルチャーが渋谷から生まれるとしたら、新しいカルチャーのかたちになるのではないか?渋谷区の行政は物分かり良いが、そこから外れた場所から発芽するカルチャーに期待したい。(田中)
どの時代も実空間にメディア環境が組み込まれていく。最近ではネット上だけでは発散できない熱を発散するために、若者はストリートに出てきて新たなストリートカルチャーを作っている。(南後)
90年代の渋谷系はコミュニティに紐づいていたので、物の話にはならなかった。現在のtoiktok系は『tiktok 』というプラットフォーム(物)ありき。(宇野)
■ これからの渋谷で新しい文化を生み出すために必要な物とは何か?
▷越境と混淆(麻生鴨)
・インパクトある文化は「ぶつかり合う」ことで生まれる。
・渋谷が高層化しても、人が混ざり合う場所は結局グラウンドレベル。
▷シブヤバースフォーエバー(草野絵美)
・バーチャルの渋谷とリアルの渋谷を同時並行で作っていき、相乗効果で盛り上げていく。
・バーチャルとリアルを共存させ、それらがぶつかって出来上がったカルチャーのオフ会の場として渋谷を存在させる。
▷人間への興味(田中元子)
・人間ができる「これっぽっち」がまだフル活用されていない。コペンハーゲンなどでは取り組みが始まっている。
・渋谷でこれを活用するためには中間的なもの(やさしさなど)がキーワードになる。
▷立体型パブリックスペースのポテンシャル(南後由和)
・人々の視線は下(スマホに)、建物は上に(高層化)。ストリートがグラウンドレベルから高層化している。
・道や坂が広場化していくという渋谷の特色が、新たに建てられている高層ビルでアーカイブ化されている。
▷渋谷を取り巻く街たち(宇野常寛)
・渋谷のポテンシャルはすでに掘り尽くされている。さらにコロナ禍で通勤をしなくなり、繁華街が中心ではなくなってしまった。
・職住近接の街を「中間的」な場所として作り上げていく。渋谷的な場所を移植する。
・暮らす街で仕事もするなら、渋谷という穴に「ホッと」しに行くようになれば良い。
Q:「パブリックスペース」とはなにか?(宇野)
A:近年は無菌化されていて窮屈。過渡期だと信じたい。(田中)
ミヤシタパークも同質性が高すぎて入りづらい。どの世代でも一人でいられる空間デザインが必要。(南後)
パリにあるカフェか公園かわからないようなモヤッとしたスペース、他人と干渉し合わない場所が思い浮かぶ。あまり細かく決めない方がよい。(麻生)