影法師。

 彼女は私の影になった。
 最初彼女は私を自分の影にしようとして必死になっていろんな試みを続けていた。

 その試みはことごとく私にとって耐えられないようなとても不快なものだったので彼女の努力は報われなかった。
 そして彼女はいつの間にか私の影になっていた。

 彼女から逃げ出したくてそんなに遠くに逃げ出しても気づくと彼女はそこにいて私を傷付け続けてやまない。

 彼女は私の影になることで私についてくるのだけれど、そうしたところで彼女自身が報われることはもうないのだ。
 なぜなら彼女は影だから自分の自由な行動がとれる訳ではなくただ私についてくることしかできなのだから。

 影だからどんなに文句を言ったところで自分を好きなように動かすことはできない。
 私が動くのに合わせて動くしかなくない。
 自由が無くなっていくだけなのに彼女は私の影をやめない。
 その不思議と異常さに私はいつも怯えている。

 何もかも逆恨み。
 そしてありもしないことを考えて信じられないやり方で傷つけ続けてくる彼女に私は不気味なものしか感じ取れなくて怯え続けているだけなのだ。
 
 彼女が思い込んでいることの一パーセントさえも事実ではなく、私を傷付けたいための彼女の言い掛りなのだから。
 どんなことでも自分の思い通りではないとおかしいという感覚の狂った以上な彼女のことを考えると本当に怖くなる。
 私の影をやめて欲しい。
 心からそう願っているのだけれど彼女は影をやめてくれない。
 いつまでもどこまでも彼女は私についてくる。
 その状況をやめてはくれない。

 彼女が何故私の影になったのか。
 それを絶対やめないのか。
 ずっと考え続けてきた。

 彼女は自分自身として生きるのが嫌なのかもしれないと思いついた時、そんな彼女と知り合ったことを心から後悔した。

 彼女の息子との結婚を解消して、彼女の他人になってからも彼女は私の影をやめない。

 いつまでも影として私の足元にくっついて離れてくれない。

 私は影を切り離したい。
 そうしてほんとの自由になりたい。
 
 

ありがとうございます。 嬉しいです。 みなさまにもいいことがたくさんたくさんありますように。