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#芸術で一句 書とリトグラフ



 今までに二回、篠田桃紅さんの展覧会に行かせていただきました。
 どちらも本当に素晴らしくて感動しました。

 そうしてほんとうに長い時間、その展示室にいておんなじ書やリトグラフを何回も何回も観て、それでも離れがたいという状況に陥りました。

 それを言葉であらわすことができるとはあんまり思えなくて、かなり迷いました。自分に表現できるんだろうか?そう考えて二の足を踏んでいました。

 ただ一色のリトグラフに描かれていたのは太い一本の線(面ということができるほどの太い線)だったり、何本もの線の重なりだったりなのですが、例えば夜の森を表している絵を見ていると、その場所の温度だったり空気感だったり、そこにいる生き物たちの声や気配までも感じられるような気がしてきてしまう。どうしてそれが感じ取れる表現を素早いタッチで描き切ることができるんだろうという疑問が湧いてきてその場所から離れることができなくなってしまう。そういうことの繰り返しで、一枚の絵を時間をかけてじっくりと見続けた上に、何回も何回も同じ絵をもう一度、もう一度、って見直し続けているうちに時間がするする過ぎていて驚きました。

 とにかく魅了されてしまってうっとりとしていた感じです。

 こんな時間が持てるようになるなんて想像もしていなかったので本当に感激でした。何もかも忘れて夢中になって見惚れてしまいました。


 それを短歌と俳句で、書き表すことができたら本当に感激です。


 できるんでしょうか?

 
一息に言葉を線に描き切るその小気味よさその鮮やかさ

瞬間を閉じ込めたこのリトグラフ掛けた空間空気が変わる

描く人の生きる力を閉じ込めた書の表した気品と強さ

見る人の背筋を伸ばす勢いと静謐な色静寂描く

いつまでも残るほんとの芸術に圧倒されて動けなくなる


そして、
書を見つつ山河を想う立秋か

秋の声チケット届く桃紅の

薄原桃紅の書を思い出す

菊枕当て桃紅の夢を見る

恩人に新酒贈る日書に浸る


 

 

 







 

ありがとうございます。 嬉しいです。 みなさまにもいいことがたくさんたくさんありますように。