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仲林プロ オーラス親満和了らず【Mリーグ超絶逆目無し問題】

Mリーグ2023-24シーズンが終わりました。
U-NEXT Pirates 優勝おめでとうございます。
強すぎです。
中でも仲林プロの安定感は異常でした。
僕のようなレベルの人間でも
「この人はヤバい」
と感覚的にわかります。


結局パイレーツが強すぎたため、
最終戦は風林火山とサクラナイツどちらが3位の賞金1000万円を獲得するか、
というところが最注目ポイントとなっていました。

こちらでも書きましたが、
やはり1,000万円というのはインパクトがありますね。

おそらく賭博を想起させるからでしょう、
実況で
「1,000万を賭けためくり合いだ!」
みたいなフレーズは出ませんでしたが、
優勝が決まってしまった最終戦にしては十分楽しめたと思います。

しかも争っている選手が勝又プロと堀プロっていうのも良かったです。

堀プロの7pぶった切り直後8s出和了とかアツかったです。

結局この二人の争いは堀プロに軍配があがり、
オーラスは勝又プロは倍満ツモでも条件を満たせず、
実質役満縛りみたいな状況となってしまいます。


と、そんな最終戦のオーラス、3着だったラス親の仲林プロが、
親満を堀プロから見逃し、
そのスキにトップ目の園田プロがアガって半荘終了ということになりました。

もし仲林プロが堀プロから12,000点をアガっていると、
勝又プロの逆転条件が大きく緩和されて次局へ連荘となっていたところです。

最後の最後に絶妙なモヤッとポイントを残して、
賛否両論巻き起こしつつ、
2,023-24シーズンは幕を閉じました。

ファイナルシーズンの「“逆”目無し」は話が違う

以前、レギュラーやセミファイナル時点での「“逆”目無し問題」、
つまり、脱落ボーダーを大きく上回ったチームの立ち回りについて、
noteを書きました。

要するに、あくまでも優勝を目指しているんだからレギュラーとかセミファイナルとかそんなこと関係なく、
稼げるところでポイントを稼ぐのが当然だよね、
という話です。

ただこれはレギュラーシーズン、セミファイナルシーズンでの話で、
最後のファイナルでこういう状況になってしまった場合はもちろん話は違いますよね、ということです。

レギュラー突破、セミファイナル突破どころの話ではなく、
優勝がほぼ確定している「超絶逆目無し」な状況です。

和了する意味はないので通常は和了らない

最終戦のオーラス、
仲林プロは園田プロにダブル役満を打っても大丈夫なくらいの圧倒的な状況でした。

この状況で、仲林プロが連荘してゲームを終わらせないという選択は無意味なので、
普通に競技としては仲林プロは和了を目指す必要はありません。

なのになぜモヤモヤ感を残したのか

このオーラス、仲林プロはアガる必要がまったくないのです。
そもそもアガる意味がないのです。

アガらずという選択は別に普通なのですが、
なぜモヤモヤ感を視聴者に残したのか。

大きく2つの原因があると思います。

1.アガるつもりがないのにテンパイを組んでしまっていたから
2.鈴木優プロからのエールとそれに呼応する実況解説の煽り

まず1についてです。

2着目に役満条件が入っている場合などは、
緊急避難的に和了に向かえるよう一応手を組んでおく、
ということがありますが、今回はそのケースにも当てはまりません。

基本的には絶対にアガることはないので、手を組む必要はまったくなさそうです。

なのになぜ仲林プロはちゃんと手を組んでいたのか。

一部では「八百長だ」なんて声も出ていますが、
そんなことあるんですかね?

さすがにこんなバレバレの八百長したら、
自分の今後の経歴に傷がつくレベルだと思うんですが・・・・

個人的な予想としては、「かかって」いたのではないかな、
と思います。

あと一局、伏せれば優勝という場面で、思いがけず高くて早そうな手が入る。

理由の2と関連して、前試合後インタビューでの鈴木優プロからのエールの件もあって、
「この手を早く成就させればワンチャンこの半荘でトップという道もある?」
という気になり手をすすめる。

しかしテンパイして落ち着いたときにはたと気づく。

「いや普通にアガんなければ絶対優勝なんだからアガる必要なくね?」

となり、当たり牌が出てもアガらずという選択を取ったと。

このくらいの大きな舞台での最終戦オーラスともなれば、
いっとき正常な判断力を失っていたとしても不思議ではありません。


次に2についてです。

初戦思いがけずトップをとった鈴木優プロから、
試合後のインタビューで仲林プロに対して
「レギュラーもセミファイナルも最終戦はデイリーダブルで締めているからファイナルも頼みまっせ」
みたいなエールが贈られました。

チームメイトによるこういう発言と、
実況解説がこれに乗っかったことによって、
「パイレーツは最終戦もトップを狙う流れなのかな」
と視聴者に勘違いさせるような流れができてしまっていました。

しかし南3局でピンフのテンパイをリーチしなかった時点で、
仲林プロがトップ狙いでないことは明確となりました。

この時点で実況解説は
「仲林トップ狙ってないですよ」
「オーラス1局で伏せるもありますよ」
と言っていたにもかかわらず、
オーラスの手を見て
「これアガりますかね?」
「これリーチでしょ」
と立場をブレさせてしまっていたのも問題でした。
「アガる意味がないのでアガらないでしょう」
と断言しても良かったくらいです。


この1,2が揃ってしまうと、
「仲林プロはトップを狙って手を組んでいたのに、なぜか堀プロから当たり牌が出た瞬間に見逃してトップを狙うのをやめた」
というように見えます。

あまりこういう大会を見慣れていない場合、
怒ってしまう風林火山サポーターも出てくるわけです。

八百長やないか!
とさけぶ人も出てくるわけです。

ディレクション面での交通整理が必須

今回の最終戦、見どころを1000万円をめぐる3位争いにもってきたのは、
得点状況をふまえて、番組側からの指示も間違いなく入っているはずです。

そして、Mリーグはエンタメでもあります。

となると、特にダントツのパイレーツの立ち回りに関しては、
ある程度番組としてのディレクションを入れてもいいのではないかと。

今回のように初戦終了時点で優勝がほぼ確定となった場合は、
初戦出場のパイレーツ選手が次戦の出場選手を煽って最終戦もパイレーツはトップを狙うという流れにしましょう、
実況解説もその方向で煽ってください、出場選手も限りなくトップを狙う立ち回りでお願いします。

みたいな感じで。
当然、最終戦オーラス、トップじゃないならトップになるまで連荘狙って攻めてくることになります。
これを全選手共有する。

下位の選手はそれを踏まえて打ちましょう、と。

逆に、初戦を終えて、最終戦わずかでも優勝を逃す可能性のあるポイントとなった場合は、インタビューで
「最終戦に出る選手はチームのために確実な勝利を目指して戦ってください」
みたいな流れにして、最終戦の立ち回りはトップ狙いという縛りはなくす。

オーラス、トップじゃなくても優勝が確定するなら無理に連荘は狙わないであろう立ち回りになります。

といった感じ。

今回の最終戦のような点数状況になってしまった場合、
パイレーツは点数的にはダントツなのに、
残念ながらエンタメ的には脇役に回ってもらう必要があります。

主役は1000万円争奪戦の風林火山とサクラナイツになってしまいます。どうしても。

この状況になったときに、
風林火山サポーターもサクラナイツサポーターも納得するような立ち回りと、
その「流れ」を、
番組側のディレクションによってパイレーツに与えてあげることが重要だと思います。

例えばダントツのパイレーツが最終戦もきっちりトップを狙うという流れが番組上しっかり作れていれば、
もし勝又プロの先制リーチに仲林プロが追っかけリーチをしたりしても、
「ダントツがおとなしくしてろよ!」
みたいな不満が出にくくなります。

「パイレーツはこう動きますよ」
という前提条件をさきに提示してしまい、
その条件のもとで戦う3位決定戦を楽しんでください、
というスタンスです。


Mリーグは今や相当多くのファンを抱えるコンテンツとなっているので、
最終戦、その主役となるチームのサポーターたちが違和感をおぼえないような、納得できるような勝負のフィールドを用意するのがエンタメ的観点からいえる番組の責任でしょう。


こういうダントツの立ち回りについてディレクションを一切入れないなら、
逆にパイレーツの選手たちには最終戦の立ち回りを想起させるような発言だけは控えてもらうべきでした。

中途半端にそのたぐいの発言をさせてしまうと今回のように
「パイレーツは最終戦もトップ狙っていたはずなのに、アガり牌打ったのが堀プロだったからトップ狙いをやめた」
とかいう邪推を生ませてしまいます。

麻雀は“歪む”のか?

今回の件で、こういう見逃しとかをすると麻雀が歪む、
みたいな意見もちらほら見聞きしたのですが、
このオーラスでそもそも正常な麻雀とはなんなのでしょうか。

人によっては、
「トップ目が配牌オリして、ラス目が役満狙っているような通常とは異なるいびつな状況こそがこのオーラスでの正しい形である」
といいます。

こういう人にとっては、
「このオーラスの状況でトップ目が普通に手を組んでいる状況こそが逆に歪んでいる状況である。いびつな状況であるのが自然なときに正常な手の進行をしているのだから」
ということになる。

逆に
「このオーラスは歪んだ場になるのが普通だとしても、それは絶対的な指標でみると歪んだ場であることに間違いはないので、自然かもしれないが歪んだ場であることに変わりない」
という人もいて、

そういう人にとっては
「こういうオーラスで歪んだ手組になるのが自然であるとしても、この場でトップ目が牌効率通りに手を進めることは、絶対的にみると正常な場である」
となる。

このあたりの
「麻雀が壊れる」
とか
「場が歪む」
という考えは、打ち手により感覚がかなり異なるので、
一概に評価できるものではないでしょう。


ダントツのパイレーツが配牌オリしてしまうと、
場が歪んでしまう
と考える人もいれば、
ダントツで普通配牌オリするのが正着なのに、
普通に手を組まれてしまうと場が歪む
と考える人もいて、
このあたりは昔から議論されている目無し問題に帰着するので、
簡単に答えが出る問題ではなさそうです。

この点はかなりいろいろな考え方があります。

個人的には

色々書きましたが、このオーラスが始まるとき、
個人的には
「絶対アガりにいかないでしょ、意味ないし。前局リーチしてないし。」
というのが最初に思ったことです。

しかし意外にも仲林プロが手を普通に組み始めたので、
「まさか鈴木優プロからのエールを受けてトップを???」
と思ってしまいました。

そしてすぐに堀プロから放たれる当たり牌。

風林火山サポーターは歓喜に湧いたはずです。
12,000点差が縮まる!
次局逆転できるかも!
まさに僥倖。

しかし仲林プロ、アガらず。

「アガらないんかい!」
となりましたが、
「いやそりゃそうだよな」
と思いました。だって意味ないもん。

アガらない選択自体はまあ普通だと思いますが、
満貫手を組んでしまったばかりに、
超絶歓喜から一気に落胆させられた風林火山サポーターの方々はちょっと気の毒に思えます。


あとこれ、普通のファイナル最終戦のように、
優勝チームがどこかというところにスポットがあたっていればそこまで話題にはならなかったと思うのですが、
よりによって3着争いにスポットがあたっている中でのコレですから、
なおさら悪目立ちしてしまった感もあります。



結局のところ、
なぜアガらないのに手を組んだのか?
というところに集約される今回のお話ですが、
個人的にはやはり
「ワンチャン狙ったけどやっぱり急に我に返った説」
をおしていきます。

実はわれわれド素人では思いつかないような意外な思惑があったりするかもしれません。

ひょっとしたら何かの配信かXかなにかで説明があるかもしれませんし、
「そんなもんどーでもいいだろ!」
ってことで、特に説明はないかもしれません。

どうなるかわかりませんが、少しだけ期待して、
楽しみに待っていようと思います。

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