「知・食・居」で防災ポーチを
防災袋を準備するぞ!と思って調べると、いろんな人や専門家のアドバイスがあふれている。そしてみんな最後に「必要な物は人それぞれ違います」で締める。私に必要なものを絞って教えてほしい。
そこで「緊急時に私が欲しくなるもの」を軸にして防災対策を考えたら、必要なものがぐっと絞れた。その結果が写真にある手のひら防災ポーチだ。
そして、その答えにつながるキーワードは「知・食・居」。以下に発災後数時間から一晩を過ごすのに私が必要と思った物と、その理由を書いてみる。
「 知 」ー 知ること、そして知るためのアイテム ー
ダンゴムシとキョロキョロ虫
買い物中、学校や職場で活動中に災害に巻き込まれた時、その瞬間どうするかを「知」っていたい。
「自衛隊防災BOOK」にはぐらりと来たらまず上を見て落ちてくるものから身を守れ、とある。(p.23) けして目を閉じてダンゴムシのポーズを取ることはしない。状況を素早く把握して能動的に対処するのだ。そのような行動をのぞめない小さな子どもたちにはダンゴムシが大切だ。
もちろん、上を見て状況判断できるということは、前提として、今いる場所の性質や非常口、避難経路は把握済だということである。上からに限らず様々な危険を回避しつつ安全を確保するのだ。
湧き起こる不安と疑問
身の安全が確保できたら、疑問が一気に湧き起こる。何が起きたかを「知」りたい。大事な人たちの無事を「知」りたい。
私は家族連絡カードにみんなの携帯番号と離れて暮らす親戚の連絡先を書き込み、小さなラジオとともに備える。脱出を容易にしてくれるのはライトだ。また、ホイッスルは防災用品として今やスタンダードだ。
遠隔地のハブにつながる家族連絡カード
混乱の中で電話はなかなか通じない。でも過去の大災害の時、発災地の中では繋がらない回線が、発災地から遠く離れたところへの通信はやや繋がりやすかったと聞く。だから遠隔地の知り合いや親戚に情報のハブになってもらう。例えば九州の叔母様。そのお一人をみんなで決めておいて、自分の無事をそれぞれがその方に知らせるのだ。伝言ゲームに強いお人を選ぶ必要があるかもしれない。
ポケットラジオ
また、ラジオがあればスマホの電池切れを心配せずにニュースが聞ける。災害のど真ん中で、何が起きているのかを目で見て把握するのは困難だ。老朽化したビル単体の倒壊に巻き込まれたのか、大地震なのかの見分けは渦中の人間にはつかない。だから情報が欲しい。いざという時のために備えるのだから品質の良いものを、という人もいる。普段持ちしたいのでコンパクトなポケットラジオで良いと、私は思う。ここは個人の考えだ。
コンパクトラジオは数をまとめれば400円ほどでライトまでついているものが販促品のサイトで買える。電池を絶縁して持ち歩くが、それでも2年も放っておけば液漏れでダメになる。定期的なメンテナンスをお忘れなく。
ライト
昼間でも建物の倒壊に巻き込まれると粉塵や停電で暗闇に閉ざされる。ライトがあれば足元の瓦礫を避けつつ脱出しやすくなる。ヘッドライトなら両手があくのでさらに良い。100均でも手に入るが、こちらもアウトドア用の堅牢なものもあり、好みと経済で選べば良い。どちらも電池の液漏れには注意を。
ホイッスル
「ここにいます! 助けて!」と自分がここにいることを知らせるための物。中の玉を震わせて音を出すタイプの笛は、雨や唾液で濡れると鳴らなくなる。
「 食 」ー 何かひと口 ー
落ち着いてから2、3分、または30分くらいできっと喉が渇く。不安とストレスにさらされた体が水と糖分を欲しがる。私は一本のペットボトルと飴玉を備える。
ペットボトル
「喉が渇くよ」と教えてくれたのは中学の恩師。かつて三原山が噴火して避難した時のことを話してくださった。また、脱水症の恐ろしさを知って以来、出かける時は必ず小さいものでも良いし、お茶でもコーヒーでも良いので、一本は持つようにしている。空になったボトルも捨てずに持って帰る。いざという時、水筒がわりにもなるので。
飴?ミント?
本当はポケット羊羹や高カロリービスケットなど、コンパクトで食べ応えがある物が良い。が、普通大人はおやつは持ち歩かない。口中をスッキリさせるミントタブレットが防災用に良いと教えてくれた人がいた。コンパクトだけれどたくさん入っていて、人と分け合うこともできるし、喉の渇きがおさまって大変良いとのことだった。でもたいていのミントタブレットはノンシュガーなので、私としては普通に飴玉が良いと思う。咳止めにもなる。お好みで良いと思う。
「 居 」ー しばらくの間自分を元気に保つ ー
やがて頑張って安全な場所に着けたら、落ち着ける体勢がとれると良い。体を冷やさない事は大切だ。私はウールのスカーフ、そして携帯トイレを備える。
椅子
「ではここでしばらくお待ちください」と言われて、座る場所がなかったら私は辛い。最近のシニア用の買い物カートは椅子になるものがある。良いかもしれない。発災時にそれ自体が足手まといになるかどうかはまた別問題だ。
シルクやウールのスカーフ
体感でわかるほど、化繊に比べてシルクやウールのスカーフの保温力は高い。色柄が好みでなくても、大判で清潔な物を一枚携えていれば何かと使える。またウールは天然の難燃繊維なので、少々なら火の粉の舞い降る中からの脱出にも役に立つ。
トイレ、またはオムツ
100均で携帯トイレは買える。ドライブの時に子どものために準備しておく人も多いらしい。でも「大人がそんな物、いざとなった時にどう使うのよ!」と聞かれたことがある。水の止まった公衆トイレの個室内で使うのだ。みんなが自分のものを自分で処理できれば「トイレ溢れ返り問題」は発生しない。もちろん、持ち帰るのだ。みんなのため、自分のため。
緊急時の介護用品
さて、電車内やエレベーター内に大勢の人と一緒に閉じ込められている時はどうする?特に女性は?「そんな時は大人用のオムツよ。スカートの中でサッとあてがって用を足せばいいのよ」と教えてもらったことがある。えっそんな… と思ったけれども、これは、良いかもしれない…と、最近は思っている。ちなみにその時に試しに買った介護用パンツは10年経って、まだそのまま押し入れに鎮座している。さて、私は普段スカート派ではないのだが、パンツ派の女性の緊急時はどうしよう….。また、そんなに吸収力があるのか。商品のバリエーションも増えているし、ゆっくり品定めに出かけてみようか。
考え方から実践へ
以上が「知・食・居」の考え方、緊急時に「欲しくなるもの」を軸にし、発災から数時間から一晩を想定して組み立てた防災対策だ。そして肝心なのは「常に持ち歩けること」その瞬間が起きたとき、手元に無ければ役に立たない。だから手のひらサイズにした。人によってはもう少し大きくても良いと思う。
大きさもそうだが「知りたい」と思うものも人それぞれ。株価動向にアクセスできないと爆死してしまう人も居れば、推しの無事をなんとしても確認したい人もいる。あなたが発災直後「知りたくなる物」は何か。あなたが気持ちよく「居る」のに必要な物は何か。
因みに「食」は健康な大人なら2食くらい抜いても死なない。「にしょくくらいたべなくても わたしはシナナイ」と、口ずさんでおくと良い。でも水は無いと状況によっては命にかかわる。
お天気の良い日に、スマホを置いて近所の公園で5時間くらい過ごしてみよう。自分に必要なものが見えてくる。
私が書きたかったことは以上だ。この先は見たい人にだけお見せする私が普段持ち歩いているアイテム達だ。二軍落ちして第二の人生を謳歌している防災用品もご紹介する。
私の持ち歩き品
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