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離れていても学べる?コロナ休校で起こったこと 緊急オンライントークレポート

新型コロナウィルスの感染拡大防止策として、国が全国の小中高校に「一斉休校」を要請したのは2月27日のこと。「学校がなくなる」という緊急事態に、保護者やすべての教育関係者が、一斉に考えることになりました。

「休校中の子ども達の過ごし方・学び方をどうしよう?」

学びを探究するメディア「Q」は、一斉休校は、教育現場の変革を推し進めるはずだと確信しています。休校要請に対応した「現場」では、何が起こったのか? そして、その現場を支えた当事者たちは、どんな体験をし、何を思ったのか。3/31のオンラインイベントでそれぞれのスピーカーが持ち寄った実践例をまとめました。

スクールタクトを活用したオンライン学習を5年生に提供/小金井市立前原小学校教諭・蓑手章吾さん

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東京都の小金井市立前原小学校で教員をしている蓑手先生。全国500校を超える学校が導入している、Webブラウザだけで協働学習・アクティブラーニングを導入できるschoolTakt(以下、スクールタクト)というサービスを活用し、休校になってからもオンラインで子どもたちと学習を続けてたといいます。

蓑手先生は5年生の学年主任。3クラス合計84名ですが、今回のオンライン学習は学習内容は限定しておらず完全自主参加ということで参加者は60名ほど。加えて3名の先生がこのサービスを利用して1ヶ月を過ごしました。

前原小学校では1人1台端末(約600人の生徒に対し約600台)を持ち、特に5年生はほぼすべての授業でPCを利用してきた背景があり、子どもたちはPCの利用に慣れていたそう。さらに蓑手先生の関心として、自己調整学習、探究型学習があったといいます。

(参考:chromebook端末の導入事例紹介動画  by AcerJapanChannel)

子どもたち一人ひとりがホーム画面を持っていてSNSに近いUIのスクールタクトでは、子ども同士も画面を確認できコメントやいいねの反応ができる仕組みになっています。この1ヶ月、ホーム画面ではそれぞれの生徒にその日の「めあて(目標)」と「振り返り」を記入してもらい、先生から生徒へ、そして生徒同士コメントし合うフィードバックを通して学びを深めていったそうです。

平日の1日のスケジュールは、まず9時にZoomで朝の会。そのZoomのルームは自習部屋として蓑手先生が学校にいる16時まで解放します。そのあと9時半からめあてを記入。12時〜のランチタイムのあとは、13時〜各自各々の場所で作業を進め、夕方あたりで振り返りを記入。16時には帰りの会を行います。

この取り組みは土日や春休みも実施しており、「好きでやりたいから」と参加し続ける生徒が多いのだそう。絵を描いたり料理をしたり、コメントに動画を貼れる機能を活かしながら自分のピアノの演奏をシェアしたり、好きな歌手のことをとことん調べてシェアをしてくれた生徒がいるそうです。

「学校だと『平等じゃないから』と踏み切れない人が多いのではと思います。僕は内部に反対の声がなく動きやすかったということもありましたが、とりあえず動いてみて、本当はやりたいけれどできないという声をちゃんと拾い、その子たちの環境を整える方針で進めていけば問題ないのではと思います。あるかないか分からない不満を懸念して動かないという選択肢は、僕にとってはありませんでした」

実際にスタート後に貸出の要望を受け、2〜3人には機器を貸出したのだそう。この動きに対して「自分はできないのに、ずるい」といったクレームは1件もなかったといいます。

休校ではなくテレラーンで、学びをマキシマイズする実験/東京コミュニティスクール理事長・久保一之さん

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東京都中野区にある3~12歳の子どもが通う全日制マイクロスクール、東京コミュニティスクール(以下、TCS)では、休校せずにテレラーンで春休みまでの学習を続けました。一方で理事長を務める久保さんはこう語ります。

「コロナ対応について、3月は前哨戦みたいなものでここからが正念場かなと思っているので、今の段階でのことをお話するつもりはあまりなかったのですが、今後のことをみなさんと考える上での情報提供として今回はお話できたらと思います」

1日のスケジュール概要は、8時半から朝の会が始まり、その後各学年各クラスがそれぞれ時間割のリンクに従い担当スタッフのルームへ移動、学習がスタート。午前中(1,2コマ目)は教科的な学びやチューターが見守る自学自習の時間、午後(3,4コマ目)はディスカッションの時間になります。

「不安をミニマイズしながら学びをマキシマイズしたいと思って取り組みました」と語る久保さんは、比較的スムーズにテレラーンは進んだと1ヶ月を振り返ります。

その理由には、①子どもたちがPC/タブレットを1人1台持っていたこと、②その操作にも慣れていたこと、③各家庭にWi-Fiの接続環境があったこと、④スタッフがテレラーンを実践するためのノウハウをすでに持っていたことがあると続け、さらに「子どもたち自身が自律的に学ぶことに対する準備がある程度できていたこと」が要因だと語ります。

休校前の金曜日に、久保さんは子どもたちに2つのことを伝えたのだそう。一つは、ICTのツールがあるからこそテレラーンができるのだということ、そしてもう一つは、自分は君たちが離れていてもそれぞれ望む学びをできると思っていて、だからこそこういう学びが成り立つんだということ。そうした前提があったからこそ、子どもたちがそれぞれ動いてくれて、学び合えたのだろうと語ります。

(参考:TCS保護者へのテレラーン取材記事 by 学びを探究するメディア「Q」)

また、「この先もテレラーンでずっとやった方がいいと思うか」というアンケートを子どもたちに実施したところ、Yes3人/No42人という結果に。「早起きしなくていい」「電車やバスに乗って学校に行かなくていい」「皆で話しやすい(ちゃんと聞いて、話すことがしやすい)」「オンラインの方が皆の顔が見えていい」という利点はあがったものの、「体を動かさずにずっとパソコンの前にいるのは疲れる」「やっぱり皆と一緒の方が楽しい」という声があがったそうです。

学校に行けないけど集まろう!ネットの中に「居場所」を作る/カタリバオンライン(NPOカタリバ代表)・今村久美さん

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学校に多様な出会いと学びの機会を届け、社会に10代の居場所と出番をつくるための活動に取り組んでいる認定NPO法人カタリバ(以下、カタリバ)。「場を作る」ということを約20年続けてきましたが、オンライン上で活動したことは皆無だったことから、この機会を「オンライン上で居場所を作れるのか?」という実験の機会と捉え、「カタリバオンライン」というサービスを立ち上げたと語ります。

被災地支援をしてきたカタリバでは、被災地で子どもたちに起きたことと同様のことが今回の休校期間に起こるのではないかと想定し、サービスの設計をしたのだそう。

具体的には、①生活リズムが乱れる、②ゲームやSNSに時間を使い過ぎてしまうようになる、③親子(家族)間だけでのコミュニケーションが家庭内不和を招くリスクを高める、の3つをリスクと考えていました。

3/31時点で、登録者数は約500人。参加している子どもたちは1日に平均約30人ほど。毎日同じ時間に集まり生活リズムを整えることを目的に、朝(9:30)夕(16:00)にホームルームが設けられていて、それ以外は毎日いくつかの活動が各ルーム(カタリバオンラインは会員制。会員のみ入室可能)で行われています。

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「朝のホームルームでは、『今日はどんな1日にしようか?』と子どもたちがそのとき話したいことを中心に皆で話します。その日は予定がある子どもや外に出れる子どもについてはそのように過ごしてもらいます。画面越しに見ていると親が近くにおらず1人で過ごしている子どもも多いため、キャストからその日のプログラムを紹介して子どもたち自身に好きな活動を選んでもらって希望のルームに移動してもらっています。一方で、何もしたくないという子どもたちのためにリビングルームを設置し、常に見守りの大人がいるようにしています」

たとえば、全国各地の運動ボランティアの方による運動のルーム、ハワイや台湾やベトナムからの参加もあるため英語しか話せない子どものための(日本の子どもも参加可能)フィリピンの英語の先生による英語学習のルームは毎日あるのだそう。また、未就学児のための保育士による手遊びのルーム、元教員・大学生が相談相手として在籍する自習ルームも設置。とにかく今関わっている人たちとできそうなことを実験的に実施して、コロナの被害が甚大なイタリアの子どもたちと日本の子どもたちの交流会を開催したりもしたそうです。

「驚いたこともたくさんあって、例えば難病を持っていてもともと家を出る機会が少なかった子どもに参加してもらえたり、学校に行けていなかったけれどここで毎日会える友だちができて外に出られるようになったと言ってくれた子もいました。オンラインに可能性を感じた1ヶ月でした」

オンラインでつながることで、学校の透明化が起こった3週間/ラーンネット・グローバルスクールナビゲーター・青木芳恵さん

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休校要請を受け、Zoomで午前中のみオンラインスクールを実施することにしたラーンネット・グローバルスクール(以下、ラーンネット)。3週間の様子をシェアしていただきました。

1週目。オンライン慣れしているのはスタッフも子どももそれぞれ半々。1週目はまずオンラインで顔を合わせることや、Zoomの機能に慣れる時間だったと語ります。全員でのラジオ体操とクラスごとの朝の会のあとは、オフラインと同様の自学自習の時間(マイスタディ)を行いました。

そのあとの自己選択タイムでは、スタッフが用意したアート・クッキング・算数・国語などプログラムの中から好きなものに参加する時間に。途中からは誰が何しているのかわからないミステリールームが生まれるようにもなったのだとか。

週の後半には子どもたちが自分でブレイクルームを作って移動しあったり、PC上でも学校と同様に自分たちの行きたい場所に行きやりたいことをやり始めたそう。この時点で、子どもたちからのプログラム提案も生まれるようになりました。

続いて2週目。スタッフが設定した探究テーマに基づく発表が行われ、「食べものと体」をテーマにそれぞれが自作の模型や自分で作った昼食の栄養素について発表したりと、画面共有や動画のシェア機能を活用して、学んだことを全体にシェアできるようになりました。

そして3週目。卒業式や保護者面談を控えていてスタッフの手も足りないため、1週目から「3週目はナビゲーターがいないよ」と伝え、子どもたちに1週間運営を任せたそう。中学生が朝の会を担当し、マイスタディの見守りをしながら、子どもたちが提案したプロジェクトが運営されていきました。

また、保護者にも企画を募集したところ、ヨガや工作、ミステリーアート、パンが膨らむ理由を探すクッキング探究などのプログラムがどんどん開催。OBの子どもも途中参加し、算数の問題をひたすら解くルームが生まれたりと、子どもたちで自主運営ができるようになりました。

理事長の炭谷は3週間を振り返り、「結果的にZoomを使えば学校でのことがほとんどできてしまったのはTCSと似ているが、プロセスが違った」と語ります。

ラーンネットにはオンライン慣れしている子どもとスタッフが多くなかったため、炭谷からは特別オンライン学習の提案はしなかったのだそう。するとスタッフからオンラインサポートの声があがり、実験的に始めたところ自然と子どもたちが集まってきて、自分たちでZoomで遊び始め、あっという間に使いこなしてしまったのだと語ります。

また、一番の気づきはオンラインで家庭と学校がつながることで、学校の透明化が起こったことなのだそう。オンライン学習に参加する子どもを毎日隣で見ることになった保護者たちから「うちの子ってこんなことができるんですね」「子どもが突拍子もないことを言ったときのスタッフの皆さんの対応が素晴らしい」といった声を多く受け取るようになり、さらに3週目には保護者の方にも学びの場に参加し、学校と家庭が一気に繋がったと語ります。

「学校ではできなかったこともできてしまった今、学校に行く意味を僕らももう一度考え始めています。もちろん学校ならではのことをやっていきたいと思っているのですが、問い直しの良いきっかけになったなと思っています」

ICT先進校、私塾の事例を紹介/教育ジャーナリスト・中曽根陽子さん

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現在、 WEBサイト『ビジネスジャーナル』で「中曽根陽子の教育最前線」を連載している教育ジャーナリストの中曽根陽子さん。一斉休校が要請された日から現場では何が起こっているのかを取材した記事が2本公開されています。

1)一斉休校の渦中、渋谷区立西原小学校がオンライン学習継続で驚異的成果を挙げている

まず1本目は公立小学校への取材で、東京都の渋谷区の中でいち早くスマートスクール宣言をした西原小学校・手代木英明校長への取材内容をご紹介いただきました。

渋谷区ではそもそも区内小中全校生徒にタブレット端末を配布していて、生徒たちは端末を自宅に持ち帰ることもでき、その扱いに慣れていたとのこと。急な休校後にも渋谷区の学習ファイルサーバーとコラボノートという協働学習システムを活用し、初日からオンライン学習を始められたそうです。

平日、子どもたちは毎朝サーバー内の「せんせいからもらう」フォルダの中に配信される算数や国語などの課題に取り組み、夕方には終えた課題を撮影したデータを「せんせいにわたす」フォルダに入れ、担任が確認できるという仕組み。こうした個人学習とは別に、3年生以上はコラボノートという協働学習ツールを活用し、バーチャルの模造紙上で意見交換もしているそう。

このオンライン学習で教師側に生まれた気づきとして、手代木校長は「一斉授業の中では埋もれがちだったが、オンラインだからこそ発露する子どもたちの隠れた才能・特徴を発見することができたということ。教師間のベテラン・若手の距離が縮まったこと」だと語りました。

2)近大附属中高はネットで学習継続、花まるはZoom自学室…問われる学校の存在意義

2本目は近畿大学附属高等学校・中学校と花まるグループのスクールFCの取り組みについてです。

近畿大学附属高等学校・中学校は、2013年に全校で1人1台のiPadを導入。すべての生徒と教職員が24時間365日やりとりできる通信システムを活用した学校運営をこれまで実施してきました。そうした背景から、「今まで通りの連絡システムに目を通すように」という一言だけで休校措置に入ったのだと言います。

その他、基本的には各自の先生の裁量に任されていて、オンラインの朝会を開催したり、生徒の要望でオンラインで一斉授業を独自に開催したりと、先生単位で取り組みが進められたのだそう。

同校の教育改革推進室長 乾 武司教諭は、「わざわざ学校に集まってくる意味を自分たちも考え直す機会になり、生徒たちも学校にこなくても学べることに気づき始めているのではと思う。これからは、わざわざ学校に集まって学ぶ意義を考えていかないといけない」と語ります。

一方で花まるグループのスクールFCでは、課題を出すだけではなくZOOMを使った自学自習室を設置。オープンされたZOOMのルームにミュートで入室し自習、もし質問があれば声を出せば待機している講師がブレイクルームに誘導し、1対1で指導を受けられるような仕組みを作りました。

もともと花まるグループでは自学自習を大事にしていて、場所を用意したら子どもたちが勝手に自習をし始めたのだといいます。子どもたちはお互いの様子を励みに自習し、保護者からは毎日のリズムができて非常によかったと声が届いているそうです。

イベント参加者とのQ&A 長期戦に向けてどうする?

発表後の質疑応答の時間には、運営の際に共有したグランドルールや、不特定多数を対象にする場合のセキュリティ対策についてなど具体の運営方法の相談から、参加者からの北京やスイスやオーストラリアの取り組みのシェア、地方の公立校の現状などたくさんの声が共有されました。

その中で、実際に取り組まれて感じられてきたこと、今後の長期戦に向けてのゲストスピーカーたちの声をご紹介してレポートを終えたいと思います。

Q:実際にやってみての課題感や気づきについて教えてください。

ラーンネット炭谷:自宅にいる子どものペースをどう作っていくのかは、簡単なことではないなと感じました。自律的に動くことに慣れている子どもは問題ないと思いますが、大人でも明日から自律的に学べるかと言われると難しい方だっていらっしゃるはず。これまで学校で皆で行ってきたことを家で一人でとなると、先生に従ってきた子どもはやはりご家庭でのサポートがある程度必要になるとは思います。

前原小学校蓑手さん:普段の授業から自己調整学習に力を入れてきたので、今回そこの財産が生きたかなと感じました。実際、学校が踏み切れない理由はそこにもあると思っています。その力を育てていけなかった学校側の問題もあるのですが、子どもに任せたら絶対に無理だと思っている大人もいます。オンラインに縛り付けるのは物理的にも経済的にも難しいとなってしまっています。

ジャーナリスト中曽根さん:任せてみるってすごく怖いんですよね。でもやらせてみたら、どんどんやり始める。大人が子どもたちの力を信じるマインドセットが非常に大事になるなと感じました。ブロックをかけているのは大人の方なので、大人が子どもを信じてサポートする姿勢が問われる時代になったと思います。

TCS保護者:TCSで伝えられた言葉によって、子どもは「オンライン学習はチャレンジで、僕たちはそれができるんだ。信じてもらっているのだ」ととてもポジティブに状況を受け止めていました。行動にどういう意味を持たせるのか、大人側のデザインの重要性を感じました。

ラーンネット炭谷:あとは、子どもって発信したいんですね。「こんなことやったよ、見てみて」とシェアしたがる子がすごく多かったんです。聞きたいわけではなくて、参加したい喋りたい、一緒にやり取りしたいという欲望がすごく強いんだなと分かりました。コンテンツにアクセスして学ぶというより、子どもたちは繋がりを求めています。どうやって繋がりを生むのかも重要だと思いました。


Q:この事態が長期化した場合にどうなると考えられていますか? オンライン学習は短期間だからできることなのでしょうか。

TCS久保さん:普段とほぼ変わらない学びができたのは、年度末だったからという理由があります。子どもたちは学びの流れが分かっていて、デバイスの使い方もわかっていました。一方で、4月から新1年生にもテレラーンを同様に導入するのは難しい部分も多いです。また、テレラーンは大体なんでもできますが、それが子どもたちや自分たちがやりたいことを全て実現させてくれるかと問われたらまた別物だと思います。

カタリバ今村さん:カタリバオンラインに来れている子どもたちは親のサポートがある程度ある子どもたちだと感じています。これが例えば普通の公立学校に通っていて、生活困窮家庭の子どもたちも誰一人取りこぼさないように進めるとなると、相当大変だろうと思っています。中国など諸外国はどう進めているのか気になります。

ラーンネット炭谷:年齢でも家庭環境でも必要なサポートが違います。中高生は自分で対応できるかもしれませんが、低学年は親のサポートがどうしても必要ですし、特に小学校に入ったばかりの子どもがいきなりオンラインで学習できるかと思うと想像できません。小さな子どもたちは絶対に抱きついてくるし、そうしたスキンシップに関してはオンラインでは対応ができない部分だと思っています。

前原小学校蓑手さん:コロナ休校で不幸中の幸いだったのは、ほぼやらなければいけない学習が終わっていた年度末だったことです。なので「好きなことをとことんやりなよ」と、僕らも振り切ることができました。それが長期化して学習指導要領に沿った勉強を進めましょうとなると、同じようには進められないだろうなと。前原小学校では市と交渉してガイドラインを作り一律パソコンを貸し出せる環境に整えましたが、オンラインの環境で格差を生まないための動きが必要になると思います。

Q:今後の見通しについてお聞かせください。

前原小学校蓑手さん:長期化した場合には、教科書にある程度沿っていかないと学習指導要領をこなせなくなってしまいます。評価のことも考えると普段の授業と変わらない進め方も必要になってくるかと思います。

ただ、自分が学年主任の5年生については算数の授業などは最初の5-10分教師が解説してあとは個別のレベルに合った方法で進めてもらっているんですね。こうした個別学習のあり方であればある意味ZOOMでも学習指導要領に沿った授業はできてしまうのではとも思っています。

TCS久保さん:ロックダウンで親も外出禁止になれば安心してテレラーンを続行するのですが、一番困るのは保護者がいたりいなかったりという中で10歳以下の子どもが家で一人でオンライン授業を受けるということです。

また、学びの部分もテレラーンだけでは不十分です。高学年はこれまでに一緒にあちこちに行っていろいろ調べて、学びの楽しさを知ってきているけれど、1年生にテレラーンから学びに触れてもらうのはもったいない。どうリスクをミニマイズしながら学びをマキシマイズしようかと、頭の中でモヤモヤし続けています。

そして何より、子どもたちがテレラーンを望んでいないという結果を重く見ています。それではない方法って何があるのか、あるいはテレラーンをもっといいものだと感じてもらうためにはどうすればいいのか…今のままでいいとは感じていないことが事実です。

(文:桐田理恵、編集:田村真菜)

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