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探求フェスは、物事を複雑に語れる場。【探求フェスプレイベント参加者インタビュー】

5月6日に開催した探求フェスプレイベント。参加者の一人であり、大学では哲学を学ばれているはーちゃんに、プレイベントに参加しての感想などをお伺いしました。

話し手:はーちゃん(探求フェスプレイベント参加者。大学生)
聞き手:鈴木唯、辻村夏穂(探求フェス運営メンバー)

ーーー今日はありがとうございます。早速インタビューの方に入らせていただければと思います。まず、探求フェスを知ったきっかけやプレイベントに参加した理由を教えてください。

篠原久美子さんが書いた戯曲『空の村号(※1)』に音楽をつけた先生にお世話になっていて。私が大学で哲学を専攻していることもあり、その先生から勧めていただいて知りました。探求フェスで哲学対話とかができるならいいなと。 チケットは高かったんですけど、「学びを応援するチケット(※2)があるよ」と背中を押してもらって参加しました。

※1:『空の村号』作/篠原久美子(斎田喬戯曲賞受賞)。東日本大震災で発生した福島第一原発事故により全村避難となった村の人々を、少年の視点で描いた作品。戯曲デジタルアーカイブにて、全文が公開されています。
https://playtextdigitalarchive.com/drama/detail/383

※2:経済的理由で参加をあきらめようとしている方に、参加チケットをプレゼントする仕組み。学びたい参加者と学びを応援したい方をマッチングして、学びたい想いがある方の探求をサポートします。

ーーー哲学を学ばれていることもあり、はーちゃんは既にいろんなことを考えてプレイイベントに来てくれたと思うんですけど、参加する前からプレイベントに期待していたことや、自分の中でこういうことを探求したいなって思っていたことはありますか?

みんなの考えてることを聞きたかったです。普段どういうことを考えてるんだろうっていうことを聞けるのもすごく楽しみにしていました。

ーーー探求フェスでの対話のテーマについて、普段お友達や身の回りの人と話す機会はありますか?

あんまりなくて。高校時代から先生に話しかけるのが好きで、先生とは結構話すんですけど、同級生とか部活の子とはあんまりそういう話はしなかったですね。引かれるってほどではないですけど、哲学では魂の話があって、魂って言うとちょっと引かれちゃうみたいな。

ーーーそうですよね。プレイベントに来てた人たちとは、そういうことも話せる感じでしたか?実際話してみて、皆さんのお話を聞いてみてどうでしたか?

こんな人たちがいたんだって思いました。引かずに聞いてくれるだろうなっていう人がいっぱいいて、すごく嬉しかったというか、これってすごいことだよな、貴重なことだよなって。ありがたいことだと思いました。

ゲストの堀潤さんを囲んでの対話の時間

ーーーはーちゃんにとっても良い出会いがあったなら、とても嬉しく思います。具体的なプログラムのことも聞けたらと思うんですけど、印象に残っているプログラムはありますか?

堀潤さんの姿勢がすごく印象的で。全部を見に行くというか、両方を見に行くというか。たとえば、共同親権というトピックがあったとして、それに賛成の人と反対の人がいて、批判を受けながらも両方の意見を聞きに行くとか。自ら北朝鮮に行ってその様子を伝えてくれるとか、本当のことを伝えることに身を捧げてる人に初めて会ったなって。

堀さんのドキュメンタリー映画『わたしは分断を許さない』の中でも、福島から沖縄に行った方が話してらっしゃったように、何か言うと、すぐ左だ右だとかそういう話になるけど、そうじゃなくて、両方知ることに身を捧げてる人に会えたことが、すごく嬉しかったです。

大学に入って、ひいおじいちゃんがユダヤ人っていう子とちょっと喋るようになったんですけど。その子が言ってたのは、「ユダヤ人は民族的なトラウマを負ってて、そのトラウマを解消することが大事なんじゃないかな」って言ってて。最初ガザの方から攻撃が始まったと思うんですけど、攻撃の仕方がホロコーストに似てたっていうところで、ずっと続いてるトラウマが刺激されちゃって、だから、そのトラウマを解消することがすごい大事だって言ってる子がいて。

私たちはそういった地域からの輸入に頼ってるし、なんか複雑。物事を複雑に語れる場だったなって、探求フェスは。

たとえば、(ドキュメンタリー映画『わたしを分断を許さない』の中で)福島から沖縄に行って、沖縄に行ったら、アメリカ軍の基地の反対運動に参加してて。その人は参加してるけど、別にその人はアメリカが嫌だって言ってるわけじゃないくて、とか。もう元には戻れないけど複雑に関わってるから、その複雑さを複雑なまま見れたなってすごく思ってます。

アイスブレイクワークショップでは、「探求したいこと」について各々が伝え合いました

ーーーはーちゃんのThanks Letter(※3)の「講演を聞いて感じたこと」という設問に「どちらか一方で語れるほど単純ではないことを考え続けたいと思います。 言葉は大事だけど、言葉を失った人、言葉にならない人とはどう向き合ったらいいでしょう」って書かれていますが、どこからこの発想が出てきたのかなと思ったんですが。

たとえば、戦争のショックで失語症になる人がいるっていう話と、今井紀明さんが仰っていた言語化ができない10代の子たちの話。この2つを見て、 自分の中から言葉が出ないとか、その言葉すらないところに対してはどうしたら良いんだろうなと思いました。

自分のことを思い返して思ったのが、自分の気持ちを代弁してくれてるような文章や言葉にまずは触れることだなって。自分から言葉が出てくるためには、「この人は私のことを言ってくれてる」って思うようなことや文章を言っている人に会うことが大事なんじゃないかと思ってて。意見を言うのを人任せにするのとは違うんですけど、自分の中から言葉が出なくて困ってる段階の場合は、まずは誰か言ってくれてる人の言葉に触れるのが大事なんじゃないかなって。

※3:学びを応援するチケットで参加した参加者が、応援チケットを購入してくれた方に宛てて書いた手紙のこと。

ーーーすごい。話ができない人がいたらどうしたら良いんだろうっていう問いに対して、その答えが出てくるのってすごく素敵だなと思います。
他のプログラムのことも聞いて良いですか?今井さんの講演はどうでした?


正直めっちゃ頭パンパンな状態で。そんな状態で聞いたので、映画ほど捉えきれなくてちょっと申し訳なかったんですけど。

言葉がないのはどうしたら良いんだろう。言葉がない時どうしたら良いんだろうっていう問いは、今井さんの話を聞いて思ったし、昔は心が折れるとグレちゃったりする子が多かったけど、今は自傷行為に走っちゃう子が多いというのは初めて知りました。支援が必要な子を学校とか職場に送り出すっていうのも大事だけど、そもそも医療支援が必要な子が多いっていうのも学びでした。

ーーー講演の裏で行われていた対話の時間では、何か学びを得られましたか?

久美子さんとちょっと話して、空の村号が好きっていう話とかもできて。名前と人生を持った人に会いに行くってすごく大事だよね、という話をしました。

「探求したいこと」について自由にアウトプットしたアイスブレイクワークショップ

ーーー普段から人の話を聞く機会や映画を見る機会はあると思うんですけど、体を動かしたり絵を描いたりといった活動もあったアイスブレイクやクロージングはどんな印象でした?

みんな上品だし、すごく良い距離感でした。みんな素直だなって。似顔絵をちゃんと一生懸命書くし、最初の方は大人しいけど、最後の方はわあってなる感じとかも、すごく自然な感じだし。良い距離感で自然と深まっていく感じがとても良かったです。

ーーーアンケートに「すごくパツパツで凪の時間が欲しかった」と書かれてたいました。そこは8月に向けての運営側の課題でもあると思うんですけど。「次はこういうプログラムやこういう時間があったら良いな」というところで何か思い浮かぶものはありますか?

プログラムは皆さんが素晴らしいものを用意してくださるので、その辺に関しては特にないんですけど、深く考えて色々話す時間と、「木の緑が綺麗だね」ってただお水飲むみたいな、そういう時間が好きなのでそれがあると良いかなって。

みんな真面目だし、ちゃんと考えるし。だからこそ、無駄に思えるような時間も良いのかなって。贅沢に時間を使うというのはなかなか勇気の要ることだし、せっかく集まったなら色々なことやりたいけど、そういう贅沢な時間の使い方もあっても良いのかなって。たとえば、ディズニーランドに行ってただ座るとか、そういうのも30秒あるだけでもいいなって。

ーーーたくさんインプットする贅沢と、何もしない贅沢の2種類がありますね。プレイベントの全体を通しての感想も聞きたいです。

すごく豊かだったと思います。たとえば、幸せっていう言葉一つ取っても意味が変わっちゃうくらい、いろんなものを見れたし、こんな人いるんだって人に会えたりとかして。一言で言うと、とても豊かだったなって思います。

時にメモを取りながら、熱心にゲストの講話に耳を傾ける参加者の皆さん

ーーープレイベントが終わって日常に戻ってから、世界の見え方というか、自分の中でちょっと変わったなみたいな部分とか、何か感じているものはありますか?

「知りたい。知ろう」って気持ちになりました。それに、前よりいろんなことを話したくなっているという変化はあります。プレイベントに参加するにあたって、パレスチナのこととかめっちゃ勉強したんですよ。本当に知らなかったので、恥ずかしいんですけど。大学にデモに参加してる先生がいらっしゃって、そういう先生がちらっと話してくださることとかも、 前は通り過ぎてたと思うんですけど、今はめっちゃ前のめりで聞く、みたいな。誰彼構わず「今のこの状況にどう思う?」とか、そういうことは話さないんですけど、「こういうニュースって知ってた?」って聞いてみるとか、「全然知らなかったんだけど、みんなどこで知ってるんだろうね」みたいにちょっと話題を出してみるとか、そういう変化はあったかなっていう。

ーーー堀潤さんや皆さんも仰っていましたけど、知ることでアンテナが張るから、 昨日までそこにあったはずだけど気づいてなかったものに気づいたりとか、いろんな情報がどんどん自分の中に引き寄せられていくという感覚は私も感じました。
これからさらに豊かな世界が広がっていくことを願っています。今日も貴重な探求の時間になりました。ありがとうございます。

ここには書き切れないほど、他にもたくさんのことをお話してくれたはーちゃん。一つ一つの言葉を丁寧に紡ぎ、しなやかに世界を見つめる感性の豊かさに、私自身たくさんの気づきや学びをいただきました。こうした学び合いこそが探求そのもの、対話そのものなのだよなあと、この場に居合わせられる幸福に心満たされる夜でした。(取材後記:唯)

探求フェスの今後のイベント予定

探求フェス交流会

▶日時 5月26日(日)18:00-21:00
▶会場 MIX BAR VOX
〒160-0022 
東京都新宿区新宿2-11-7 第33宮廷ビルB1F
新宿三丁目駅C5出口徒歩1分またはJR新宿駅東口徒歩10分
▶参加費 3,500円(飲み放題付)
▶定員 22名
▶参加申し込み方法 InstagramやXのDMまたはメールにてご連絡ください。
メール:pcptankyu@gmail.com
SNS:@tankyu_fes
※お酒を出すお店ですので、未成年の方のご参加につきまして不安な方はご相談ください。

『探求フェス』ってなに!?~説明会&プレイベント報告会~

一般社団法人ピースセルプロジェクト
▶︎日時 6月3日(月)19:00 - 20:30
▶︎会場 オンライン(ZOOMにて実施)
▶︎チケット代 無料
▶︎チケット購入方法 Peatixより申し込み(下記リンクからお申し込みください)


探求フェスメインイベント 

▶日時 2024年8月25日(日)13:00〜8月26日(月)16:00
▶会場 長瀞げんきプラザ
▶︎参加対象 学びを深めたい方*年齢制限なし(多世代間での学び合い促進のため)
▶︎参加費・プログラム等の詳細は、今後順次リリース予定


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