見出し画像

若者の恋愛力が落ちたから昔よりも結婚できない人が増えた?

こんにちは!
『サブカル婚活先生』タンクガールです。
結婚相談所業界最大手のIBJ加盟店を運営する本職の婚活アドバイザーで、特にオタク(サブカル好き)の婚活のお手伝いを得意としてます。
私自身もデブ、ダサい、オタク、対異性コミュ障の四重苦を抱えていましたが、必死の努力で乗り越え、無事に婚活を成功させることができました。
その時得た経験とノウハウを生かし、同じような悩みを抱えるサブカル好き婚活者と、同じ目線に立ったサポートで着実な成果を挙げています。

これまで「恋愛経験なしのオタク30歳↑が、どのように婚活をすれば成功に至れるのか」を語って参りました。

今回は少し気になる時事ニュースがあったのでテーマに婚活よもやま話をしたいと思います。
お付き合い頂ければ幸いです。

以下は毎日新聞の記事より一部を抜粋です

24日に開かれた三重県議会一般質問で、県が2023年度当初予算案で少子化対策として掲げる「結婚支援」を巡り、自民会派の石田成生議員(四日市市選出)が「結婚を望む人が少なくなった原因は恋愛力が落ちてきているからではないか」と持論を展開し、県に「恋愛力」という視点からの調査・検証を求めた。
元記事は以下
https://mainichi.jp/articles/20230224/k00/00m/010/261000c


この議員さんの主張を簡単に要約すると

「最近の若者は、私たちの世代と比べて、恋愛する力が落ちているから結婚を望まなくなったのではないか(クソデカため息」
「少子化の原因は、恋愛をタブー視してきたせいでは」

って感じになりますね

議会の中でも荒唐無稽な意見と批判があったようで、ネット上でも否定的な意見が多数を占めていました。

私は正直、このニュースには愕然としました。
誤った認識で若者を軽んじる姿勢(本人には自覚は無いと思いますが)は改めて欲しいです。

そもそもこの議員さんの提唱する恋愛力という概念の定義が曖昧ですが、存在すると仮定した上で、昔の若者よりも今の若者の方が恋愛力が劣ると言われれば、私はノーと即答します。

その理由を語っていこうと思います。

かつての日本は「国民皆結婚」だった

日本ではひと昔前まで「国民皆結婚」と言われるくらいほぼ全ての男女が結婚を経験していました。
内閣府のデータから引用すると、今から約50年前の1970年の生涯未婚率が男性1.7%、女性3.3%というデータもそれを裏付けています

ここから年々、生涯未婚率は上昇し、2022年の生涯未婚率は男性20.3%、女性17.8%に到達しています。
生涯未婚率とは50歳時点の未婚率で、この年齢になるまで結婚しない人は、その後結婚する確率が低いため、そう言われています。

なぜこれほど多くの人が結婚をしたかというと、日本の社会システムを上手く回すためには、結婚という制度が不可欠だったからです。
もっとわかり易く言うと、結婚していないと生きられない人がたくさんいたからです。

こういった背景をかるくなぞるだけでも、昔の人が恋愛力が高かったから結婚できたという理論が、いかに破綻しているかがわかると思います。

生きるために結婚が不可欠だった時代

結婚がどのようにして社会システムに組み込まれていたか具体例を挙げていこうと思います。
まず、ひと昔前は自分や結婚相手の親との同居が今よりも一般的でした。
そして、女性たちが、現代と比べると社会に出て働き続けることが難しかったので、男性が稼ぎ、女性は家庭に入る選択肢を取ることが多かったです。
子育てや家事には同居する親が協力(介入)したり、老いた親の介護は家族がするものと相場が決まっていました。

つまり、女性は結婚しないと、安定した収入を得るのが難しいし、高齢者も誰かに介護してもらう必要があるため、結婚という制度に社会全体が強く依存していたということです。
当人たちはもちろん、親世代やお年寄りも結婚という制度がないと満足に生きられなかったわけです。

だから、20歳を超えると家族や周りの人が口煩く「早く結婚しろ」と言うだけでなく、結婚適齢期になると、どこからともなく、おせっかいなおばちゃんが縁談をいくつも持ってきたりもしました。

会社でも、女性社員が入社したら、上司が釣り合う年齢の男子社員に紹介するのは当たり前。
もっと極端な例を挙げれば、男性社員の「お嫁さん要員」として若い女性を雇用する企業だって珍しくなかったなんて話も聞いたことがあります。
今だったら、セクハラで訴えられること間違いなしですが当時は、それが「当たり前」として浸透していました。

どれだけ社会が若者を結婚させるために躍起になっていて、結婚する若者側もその影響を受けていたかがわかります。

結婚は現代における受験や就職と同じレベルで生きるために必須の関門だったわけです。
受験や就職では、第一志望に合格できなくても、社会に適応して生きる糧を得るため、いずれかの進学先や就職先を見つけて進んでいく人がほとんどだと思います。

ひと昔前まで、多くの人が結婚できていた理由はまさにそれと同じです。

自己の満足感だけを重視して結婚相手を選ぶのではなく、生きていくために結婚が必要なので、適齢期に出会った「それなり」の相手と多くの人が結婚していたのです。

件の発言をした議員さんのご年齢も60代前半でした。
その年代の方々が結婚する頃、例に挙げた50年前ほどではないにしろ、社会のバックアップ体制が充実しており、ほとんどの若者が25歳ないし30歳までには結婚するという共通認識(同調圧力に近い感情)を持っていました。
例え、恋愛して自分の力で相手を見つけた場合でも、「結婚しなきゃ!」という共通認識は、抜群の効果を発揮します。

現在の若者と比べると高下駄をはかせてもらっている状態であるにも関わらず、自分たちが結婚できたのは恋愛力が高いおかげと自認するのはもはや滑稽ですらあります。

社会の進歩で結婚がマストではなくなったことも影響

そんな時代から現代に向かって、世の中は大きく変化しています。
企業も男女雇用機会均等法をしっかり順守する傾向が強くなってきたので、女性が男性とそん色なく、社会で活躍して安定した収入が得やすくなっています。
親の介護にしても、介護保険制度が整備され、福祉サービスが充実しているため、家族への依存度は下がりました。

社会システムが盤石になるにつれ、結婚への依存度が下がり、若者や高齢者が結婚しなくても生きられるようになったということです。

否が応でも結婚しなければ、生きづらかった時代と比べると、多様な生き方が選べるようになった分、健全な社会になったことは間違いないでしょう。

その一方で、社会的なバックアップがなくなったため、「結婚ししたい!」と思っても結婚することが、かなり難しくなったという弊害が発生しています。
それこそが、必死に頑張らないと結婚できない「大婚活時代」の到来です。
これが生涯未婚率がアップしている原因にほかなりません。

恋愛結婚至上主義の台頭も

恋愛力に関係のあるお話をしていくと、恋愛結婚至上主義の台頭も結婚を難しくしている大きな原因です。

昔のように結婚適齢期になると、必要に駆られて身近な相手と結婚するのではなく、自分が満足するレベルの恋人と結婚したいと思う人がほとんどです。
ひと昔前と比べると、結婚に重視するのが生きる(生活)していくためという現実面ではなく、自分の心を満たすための理想が重視されるようになったともいえるかもしれません。

受験や就活のように生きるために必要であれば、自分の納得は二の次で現実的な相手を迷わず選べます。
しかし、結婚が生きるために必ずしも必要なくなっているため、自分が納得できる相手と結婚できないのであれば、独身を選ぶという人が増えました。
しかし、誰もが思い描くような結婚相手なんて数が限られており、それは大抵のケースで自分よりもレベルの高い相手です。

客観的な目線で自分と釣り合うレベルの相手を紹介されたところで、素直に受け入れられない人だって沢山いることでしょう。

受験や就活だって、生きるためにする必要が無くなれば、きっと第一志望に入れないなら、無理に進学や就職しなくていいやと思う人も増えることでしょう。

その例でわかりやすい例を一つ上げるなら、女性が持っている上昇婚志向(自分よりも社会的ステータスが上の男性との結婚を望む傾向)です。
生きる糧を男性に依存しなければならなかった時代からの名残ですが、今も健在です。

女性の社会的ステータスが上がる一方で、非正規雇用など低所得の男性も増えており、相対的に上昇婚の対象足り得る男性が少なくなっている現実も浮き彫りとなっています。

恋愛結婚至上主義の裏では、「結婚したいけど、女性が振り向いてくれない」と嘆く男性たちの声と、「好きになれるような男性がいない(もう結婚している)」という女性たちの恨み節がこだましています。

昔と比べると、多様な生き方ができるようになった分、自由の代償を今の若者たちは支払っているだけ。

このような中で勝ち抜いて結婚しようと思ったら、昔よりもはるかに高い恋愛力が求められると言っても良いかもしれません。

恋愛強者は今も昔も上位3割だけ

これまで、結婚を取り巻く、社会状況の変化を紐解いてきましたが、昔と比べて、今の若者たちが結婚できない理由が「恋愛力の低下」などという意見がいかに見当違いか分かって頂けたはずです。

また、独身研究家・荒川和久氏が提唱している「恋愛強者上位3割の法則」というものがあります。
どの時代であっても他生の際こそあれど、恋愛に長けた男女は、だいたい上位3割しかいないというデータに裏打ちされた理論です。

参考記事

上記記事を読んで頂ければわかる通り、今も昔も恋人がいる男女の数に大差ありません。
若者の恋愛離れは、センセーショナルな見出しをつけてに報道したいマスコミによって捏造された概念にすぎないということにも納得することでしょう。

件の発言をした議員さんは、まさに「40年前の若い頃の俺はモテた」と自負する御仁と推測されますが、見当違いも甚だしいことがこの記事からも明らかになってしまったといえるでしょう。

現代の若者が結婚できない(しない)という現実は長い時間をかけて形成されてきた社会情勢の影響を受けているにすぎません。
にも関わらず、若者の恋愛力の低下などとありもしない問題で当て擦ろうなんて恥ずべきことだと思います。

政治家の皆さんは、もっと広く現実的な視点で有意義な議論をしてもらいたいものですね。

今回は、一生懸命努力をしているのに中々結婚できなくて苦しむ若者たちを一番近くで応援している立場として看過できない意見だったので、つい全力でツッコミを入れてしまいました。

次回以降は、また別の婚活についてのお話をしていきたいと思います。

もし少しでもためになったと思われる方はスキもお願いします。
モチベーションが爆上がりします。

では、またお会いしましょう!

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?