「行けたら行く」の男女感。

週末の鉄板焼き屋。

近くの席では若い男女が食事をしており、職場での男女の価値観の違いについて熱く議論をしていた。


「『行けたら行く』っていうのは、要するに丁重なお断りなのよ」


その女性は同席する男性に説教口調でそう言い放った。現役時代のジェロム・レ・バンナを彷彿とさせるような、とてつもない言葉のストレートパンチである。

彼はなんとかガードしたものの、その表情はやはり苦しそうである。

当たり前だ。ジェロム・レ・バンナのストレートをまともに受けて平気な顔をしていられるのは、おそらくサモアの怪人マーク・ハントか、南海の黒豹レイ・セフォーぐらいだからだ。


少し間を置いて、何とか体勢を立て直した彼は力強く彼女に反撃した。

「行けたら行くっていうのは、『出来る限り行けるようにする』って事やねん。文字通りやん」

文字通りやん。なんと説得力のある言葉だろうか。

この「文字通りやん」と言い切る事で彼は彼女を論破しようとした。それはある意味で、軽量級の柔道家が重量級の相手に巴投げを仕掛けるような、そんな捨身技的覚悟すら感じ取れた。


しかし、彼の捨身技は見事に失敗した。


「そういう男が多いから、女は困るんだよ」


なるほど。今日もまた一つ賢くなった。そんな考え方を持っていなかったかもしれない。

ありがとう、ミス・レ・バンナ。



ソクラテス先生。あなたが歴史に残した言葉に、今日は助けられた気がします。

「自分自身が無知であることを知っている人間は、

自分自身が無知であることを知らない人間よりも賢い」





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