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短歌のおもちゃ箱13

今日は年齢を詠みこんだ歌です。詠みこんだ年齢順に掲載します。

・美しき二の腕だして誇るべき二十歳の夏よ遠き船影

・あと一歩の勇気がわれになきことも自覚しており三十歳になる

・思うまま己を通せる女教師が教職を去るその年四十

・虚と実の間に歌があることを知れども知命五十は近し

・恥ずかしき思い出さえも受け容れる齢を知命と言うか孔子は

二、四、五首目が私自身の年齢であり、一、三首目は他者の年齢です。前にも書きましたが、女子校の教員でした。教え子の中には、女優、歌手、オリンピック選手、Vリーガーといった世界に飛び出したものもいます。まあ長いこと勤めましたから。母校に帰ってきて同僚になった生徒も何人もいます。一首目は、やり投げで活躍した生徒を詠んだもので、彼女は大学時代スポーツ雑誌の「Number」にも取り上げられました。「美しき」はこの場合「逞しき」と同意ですね。

短歌はその女子校に勤務し始めた29歳のときから始めました。

三首目は、先輩教師のことです。頭がよくて、きれいで、わがままな人でした。「40歳まで教師をしている自分の姿が想像できない」とか、「スナックのママが自分には一番合った職業だ」とか言っていました。40歳で教職を去り、先日60歳を過ぎたばかりで逝去されたという話を聞きました。

孔子の言葉に従って、昔から30歳を而立、40歳を不惑、50歳を知命、60歳を耳順、70歳を従心(ただし従心はあまり人口に膾炙していません)と言います。

なかなか孔子のようには生きられません。



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