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宮田笙子選手パリ五輪日本代表「辞退」の背景について


 あきらかに自分と近い関係の人物から悪事についてチクられるというのは、元々仲が悪い相手なら仕方ないと納得できるものの、仲の良い相手だとショックが大きいもので、人によっては寝込むような出来事だと思います。

 世の中、完璧な人間というはなかなかいないもので、誰でも何かしらのスキがあります。そういったスキを他人に攻撃されてもなお先に進めるかどうかが競争を勝ち残れるメンタルが求められる厳しい社会に私たちは暮らしております。

体操女子、パリ五輪日本代表「宮田笙子(19)」選手が喫煙及び飲酒を6月末~7月初めにそれぞれ1回づつ行ったことを理由に日本代表を辞退

 宮田選手の日本代表「辞退」が「資格停止処分」と誤認される形で広まり、SNS上では「処分が重すぎる」、「処分は適正である」などの投稿が散見していますが、現時点では宮田選手に対して日本体操協会からの処分は決定していません

 事実確認を含めた話し合いの結果、宮田選手が「辞退」したのであって、日本体操協会から「戒告」や「資格停止」処分があったわけではないことに留意が必要です。(注1、2)


日本体操協会の記者会見内容要約

【時系列】
7/15:宮田選手に関する情報提供(喫煙と飲酒について)が、内部の人間からモナコ強化本部にいる本部長へあり。
7/16:コーチから宮田選手へ任意の確認。
7/17:宮田選手へ一時帰国の指示。
7/18:本人たち到着後、都内で宮田選手のご両親とコーチ、弁護士同席のもと聞き取り確認。聞き取り時間は時間は21時半か22時~24時過ぎの2時間半~3時間程度。(宮田選手が話しやすい環境を作るために一時的に人数を減らす場面もあった)

【聞き取り内容】
・6月末~7月初め:プライベートな場での一度の喫煙行為、都内某所。(本人申告)
・6月末~7月初め:ナショナルトレーニングセンターのアスリートヴィレッジの居室内で一人で一度の飲酒。(本人申告)

【その他】
・行動規範に抵触するかどうかの話し合いの結果、辞退を申し出るという結論になった。
・処分については、本人だけの問題ではなく全体(日本体操協会)としての責任を確認する必要があり、事実を明らかにしたうえで全体の中での処分がそれぞれある。委員会が事実確認とともに、適正な判断がされると考えている。
・オリンピックが間近に控える状況で、短期間に処分の決定ができるか疑問が残るが、出来るだけ早いうちに処分の決定を実施するよう考えている。
・エントリーの期日を過ぎているため、現時点では4名で戦わざるおえない。
・今まで行動規範違反で処分を受けた選手は確認した範囲ではいない。
・他の選手について、喫煙飲酒の確認作業が間もなく行われる予定。
・細かい確認はしていない。

聞き取り内容にある内部通報者の存在

 聞き取りを行った際に宮田選手は憔悴しており、本人が喋れるようになるまで相当な時間がかかった模様です。記者会見では宮田選手が喫煙、飲酒をした心情について「プレッシャー」という言葉が何度も出てきており、おそらくキャプテンでエースという立場から相当なプレッシャーを抱えており、そのストレスから喫煙、飲酒に手を出してしまったものと思われます。

 20歳未満の喫煙、飲酒は法令違反ではありますが、罰則規定はありません。2022年4月1日から成年年齢が18歳に引き下げられたこともあり、19歳での喫煙、飲酒に対する過度な対応はどうなのかといった声が出てくるのは理解できます。(注3、4、5)

 いっぽうで、日本代表だろうと法令違反なのだから厳格に処分すべきだという声も何もおかしなところはありません。

 仮に日本代表の資格停止処分だった場合には、処分の重さについて議論の余地があると思いますが、宮田選手に関しては辞退であり、話し合いのなかで辞退に至るまでの経緯も日本体操協会が定める行動規範や法令に関する部分より、宮田選手が喫煙、飲酒しているとの通報をした人物の存在が大きいように見えます。

 記者会見の内容から、内部の人間がモナコ強化本部にいる本部長へ宮田選手が喫煙と飲酒をしていると通報したことが明らかにされていますが、この内部の人間というのは宮田選手視点から見れば誰なのかはある程度推察出来る状況だと思われます。

 プライベートな場での喫煙行為(都内某所)とナショナルトレーニングセンターアスリートヴィレッジ「居室内にて一人で飲酒行為」と本人から申告されており、喫煙と飲酒について内部から通報がある状況というのは「宮田選手が喫煙、飲酒について話した相手かその人物からの伝聞または、喫煙現場への同席や居室内にあった空き缶などを目撃した」などになってきます。

トップレベル競技者用トレーニング施設として設置され、JOC及びJOC加盟競技団体に所属する選手・スタッフが専用で利用しています。

味の素ナショナルトレーニングセンター

 19歳という若さで日の丸を背負い、オリンピックへ向けてキャプテンかつエースとして大きなプレッシャーを抱えながら強化合宿に取り組んでいるなか、通報した人物が自分に近い人物であるだけなく誰なのかある程度推察出来てしまうだけの情報が揃っていること、喫煙と飲酒という法令違反、日本体操協会が定める行動規範違反、JOC派遣規定にある法令の遵守違反などの現実から宮田選手の心が折れてしまい、辞退に至ったように見えます。

宮田選手の今後と責任について

 日本体操協会の記者会見でも宮田選手の今後について、突き放すのではなくケアをしていくむねが強く語られていました。

 過去確認したなかで、日本体操協会の行動規範違反で処分を受けた選手はいないため、今回の喫煙と飲酒に関しての処分内容は今後の基準になりえるだけに処分内容については難しい判断を迫られることになります。

 20歳未満の喫煙と飲酒に関しては、法令では当事者に罰則がないいっぽうで監督者と販売者には罰則がもうけられています。この罰則規定は当事者よりも周りの大人たちに責任がおかれており、宮田選手を預かっていた日本体操協会の責任は大きいんじゃないでしょうか。

 もちろん宮田選手本人が自制すべきだったのは事実ですが、喫煙と飲酒が1回づつとストレスから気の迷いで手を出してしまったのだとしたら、メンタル面のケアも含めてしっかりサポートされていれば防げた事柄のように思います。

 宮田選手が今回のことで選手生命を諦めることなく、この先も体操競技へ取り組んでいけることを願っております。


注釈)

1)公益財団法人日本体操協会規程

公益財団法人日本体操協会「日本代表選手・役員の行動規範」

https://www.jpn-gym.or.jp/wp-content/uploads/2024/06/JGA_kodokihan_2024.pdf

【行動規範】
8、日本代表チームとしての活動の場所においては、20歳以上であっても原則的に喫煙は禁止する
※2016 年度から数年かけて段階的に全面禁止とする
9、日本代表チームとしての活動の場所においては、20歳以上であっても飲酒は禁止とする
ただし、合宿の打ち上げ、大会のフェアウェルパーティー等の場合は監督の許可を得て可能とする

【違反選手・役員に対する処分】
日本代表選手・役員が、前記の行動規範に違反した場合は、本会「倫理規程」の適用があるものとし、「倫理規程」予定の手続きによって処分を科する

公益財団法人日本体操協会「日本代表選手・役員の行動規範」

2)倫 理 規 程

https://www.jpn-gym.or.jp/wp-content/uploads/2022/05/jgareg_09_2021.pdf

(違反行為)
第3条 次の各号は、第2条適用範囲内の者、あるいは団体にとって違反行為となる。
(12) その他、違反行為をしたとき

(処分の対象行為の期間)
第4条 第3条の違反行為があった時から三年を経過したときは、処分を目的とする手続きを開始する
2 対象行為をした者については、調査過程において弁明の機会を設けるものとする。

第5条 前条の違反行為に対する処分は、次の各号のとおりとする。
(1) 永久追放
(2) 登録抹消
(3) 資格停止
(4) 戒告
(5) その他、必要に応じた処分

倫 理 規 程


3)明治二十九年法律第八十九号
民法

第一編 総則
(解釈の基準)
第二条 この法律は、個人の尊厳と両性の本質的平等を旨として、解釈しなければならない。
第二章 人
第三節 行為能力
(成年)
第四条 年齢十八歳をもって、成年とする。

明治二十九年法律第八十九号
民法

4)明治三十三年法律第三十三号
二十歳未満ノ者ノ喫煙ノ禁止ニ関スル法律

第一条 二十歳未満ノ者ハ煙草ヲ喫スルコトヲ得ス第二条 前条ニ違反シタル者アルトキハ行政ノ処分ヲ以テ喫煙ノ為ニ所持スル煙草及器具ヲ没収ス

明治三十三年法律第三十三号
二十歳未満ノ者ノ喫煙ノ禁止ニ関スル法律

5)大正十一年法律第二十号
二十歳未満ノ者ノ飲酒ノ禁止ニ関スル法律

第一条 二十歳未満ノ者ハ酒類ヲ飲用スルコトヲ得ス第二条 二十歳未満ノ者カ其ノ飲用ニ供スル目的ヲ以テ所有又ハ所持スル酒類及其ノ器具ハ行政ノ処分ヲ以テ之ヲ没収シ又ハ廃棄其ノ他ノ必要ナル処置ヲ為サシムルコトヲ得

大正十一年法律第二十号
二十歳未満ノ者ノ飲酒ノ禁止ニ関スル法律



生成AIが作成した「オリンピック女子体操日本代表選手のエースが会議室での話し合いの結果、憔悴した様子で日本代表を辞退した写真」





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